キーデバイスは直径5.8ミリの「マイクロHDユニット」
ビクターのヘッドホン“HP-FXC”シリーズ開発者に訊く − 独自技術「トップマウント構造」の秘密
■ルックスや装着感も重視したデザイン − HP-FXC50のホワイトモデルも登場
−−さて、両製品は音質以外にも注目点が多いですよね。ルックスのコンパクトさと装着感の軽さも印象的です。
柿本氏:トップマウント構造のおかげで、音響的に必要な部分のサイズはぐっと小さくなっています。そのため筐体形状の自由度が高く、ルックスや装着感を重視したデザインが可能なのです。
−−遮音性の高さと音漏れの少なさもうれしいところです。それもトップマウント構造によるものですよね。トップマウント構造の採用はこれらも狙ってのものだったのですか。
柿本氏:トップマウント構造の当初の狙いはあくまでも音質向上でした。ですがその副産物として、遮音性の高さと音漏れの少なさも得られたのです。
−−遮音性が高いので再生音量を下げられる。再生音量を下げれば音漏れはさらに少なくなる。自分の耳の健康のためにも、周りの人の気分のためにも、よいことになりますね。では最後に、トップマウント構造の今後の展開について一言お願いします。
柿本氏:「トップマウント構造」を搭載した商品ラインアップの充実やこの新構造を発展させる商品群についても検討したいと考えております。ぜひご期待をいただければと思います。
というわけで、開発者の方にとってもチャレンジだったというトップマウント構造だが、実際にHP-FXCシリーズをしばらく試聴してみて、そのメリットはやはり大きいと感じている。
音質については中低域の十分な量感を得つつ解像感も確保し、自然でバランスがよい。遮音性も、例えば電車内の「ゴォー」という騒音が本機を装着すると濁点が取れて「コォー」と明らかに軽くなり、効果的だ。トップマウント構造には確かな優位性があると言えるだろう。
売れ行きも好調で、それを受けてかHP-FXC50には早くも新たにホワイトバージョンが投入されるという。同社としてもこのイヤホン新シリーズには期待をかけているようだ。今後もデザインのバリエーションやさらに上の音を目指した上位モデルの投入などが楽しみである。
(高橋 敦)