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キリンジ・堀込泰行さんが体験したビクター“ウッドコーンシステム”のサウンド
■ビクター開発者が語る「EX-AR3」「EX-AR3LTD」の魅力
−−今回「EX-AR3」「EX-AR3LTD」を開発するにあったって、開発陣の方々がイメージしたコンセプトをご紹介ください。
今村:従来のウッドコーンシステムの開発と同じく、「EX-AR3」「EX-AR3LTD」では構想の段階から最終製品の完成直前まで、青山のビクタースタジオで活躍するエンジニアとチームを組んで音を練り上げて来ました。そのサウンドについては「アーティストの思いまでが見える」ようなサウンドを徹底的に追求してきました。
−−今村さんと上村さんは製品開発において、それぞれどのような役割を担っていらっしゃいますか。
今村:私はビクターのウッドコーンシステムの立ち上げ時から、スピーカーとアンプを含めたシステム全体の設計を担当しています。
上村:私は主にスピーカーの音響設計に携わっています。ユニットをエンクロージャーに配置したときに、吸音材や内部の音響材などをどのように配置して、どんな音をつくるかといった部分を設計しています。
今村:私と上村は2005年に発表したEX-A10の頃からパートナーを組んで、一緒にウッドコーンシステムの設計を行っています。
−−ビクタースタジオのエンジニアの方たちとは、システムのサウンドを追い込んでいく過程でどんなやり取りがあったのでしょうか。
今村:大抵は私たちが無理やりスタジオにおしかけて行くんですが(笑)。今回はポップス系、ジャズ系、クラシック系それぞれのジャンルで活躍されている3人のエンジニアの方に繰り返し意見をうかがいながら、サウンドを練り込んで行きました。エンジニアの方々は自分たちが録音したCDを持ってきて、WCシステムで再生した時にマスターテープのイメージがどれだけ再現できるかをチェックします。エンジニアからのリクエストを聞いていく中で、ある段階に達した時に「クラシックは良いけど、ジャズはだめ」だとか、「ポップスは良いけどクラシックはだめ」という闘いになって、方向性に悩まされることもありました。でも、それが最終段階に至ると「全員が良い」というところまで行き着くんです。EX-AR3/EX-AR3LTDでは、そのレベルに到達したという自負を持っています。通常、エンジニアは「小型のモニタースピーカーはマスタリングの最終段階だけで使う」という方が多いようですが、最近では「製作の最初から最後までウッドコーンシステム1台でマスタリングした」という方もいらっしゃるようです。コンパクトながら、大型スピーカーで聴くようなイメージがウッドコーンシステムでは得られるという評価もいただいています。
−−最新の「EX-AR3」は、昨年発売された「EX-A3」からどこが最も進化していますか。
今村:EX-A3を発表した段階で、ウッドコーンシステムのクオリティには満足していたものの、やはりどこか足りない部分も感じていました。小型のスピーカーなので音場表現は非常に優れているのですが、低音がまだ軽く、サウンドの「エネルギー感」や「低域の重心の低さ」という面ではまだ進化の余地が残されていると思いました。EX-AR3では、さらに豊かな音場表現を追求しつつ、低音の重心やエネルギーの向上にも力を入れてきました。
今回はキリンジの堀込泰行さんに製品を試聴していただきましたが、私たちが前モデルから向上を図ったエネルギー感や低音の量感、さらに解像度の違いなど全てに好評価をいただけたことをとても嬉しく感じています。「自分たちの音楽を、ウッドコーンシステムをはじめ、良質なシステムで聴いてくれる人たちのためにも、丁寧に曲を創っていきたい」という堀込さんのコメントが印象に残りました。私たちもこれから、ミュージシャンの方が作品に込めた思いを忠実に、オーディオファン、音楽ファンの皆様に届けられる製品をつくり続けて行きたいと思います。
東京港区新橋のビクタービル1Fにある ショールーム 「NIPPER'S GINZA」 堀込さんが試聴した 「EX-AR3LTD」も展示されている | 【ウッドコーンシステムも展示中】 |