成功の記録を塗り替えたIFA2011
<IFA>ハイテッカー氏特別インタビュー ー「IFAがエレクトロニクス市場を元気にする」
「IFA2011」も、残す会期があとわずかとなった。メッセ・ベルリン社のイエンズ・ハイテッカー氏、ディリク・コスロフスキー氏に今年の手応えを聞いた。
8月31日のプレイベントに開催された、メッセ・ベルリン社のオープニングカンファレンスでも発表されたとおり(関連ニュース)、IFA2011は展示スペースが昨年の4%アップとなる「140,200m2」と、過去最大規模となった。また出展者数においても、昨年の1,423社という記録を塗り替える1,441社が参加した。まだイベントの期間中であるため統計は取られていないが、一般来場者/プレスの来場予約数は、昨年以上の実績を記録しそうなのだという。
記者もイベント取材で各ブースを回っていると、会場は明らかに昨年よりも賑わいを見せていた。特に会期の前半はプレスルームの席取りが大変だったり、原稿を書いている最中も、ドイツ語や英語だけでなく、各国から取材に訪れたジャーナリストの話す言語が、実に多彩だった。日本人ジャーナリストの数も昨年までよりさらに多かった。IFAは世界で最も大きなエレクトロニクスショーとして、見逃すことのできないイベントとなっている。
今年のイベントの成果を、ハイテッカー氏、コスロフスキー氏はどのように受け止めているのだろうか。
− 6日間の会期なかばを過ぎて、今年のIFA2011の反響をどのように捉えていますか。
ハイテッカー氏:会場がこれまでのどの年に開催したIFAよりもエネルギーに満ちています。出展者と来場者のコミュニケーション、プレスによるIFAの報道など、全てとても良いムードに包まれていると思います。
今年は春に日本の方々が大地震と津波という大変な困難に遭遇し、また欧米各国も年初から苦しい経済環境にさらされ続けてきました。このような環境の中で、IFAが昨年までの好調を持続することができるのか、私たち主催者も色んな課題を克服してきましたし、周りの関係者の方々も恐らく不安を感じていたのではないでしょうか。
IFA2011の幕が開けてからは、そんな周囲の不安は一気に吹き飛んでしまったように思います。数字の実績はカンファレンスでもご紹介した通りですが、初日からの盛況ぶりはIFAに足を運んだトレードビジターの方々を大いに勇気づけたと思います。これから訪れるクリスマスシーズンのビジネスに、不安を抱いて臨む覚悟を決めていたトレードビジターの方々は、コンシューマーのエレクトロニクスへの期待を肌で感じ、自信を付けたのではないでしょうか。IFAがエレクトロニクス業界を元気にする見本市であることが、今年も証明されたと実感しています。
コスロフスキー氏:IFA2011の出展者の地域別分布をみてみると、日本からは出展者/展示面積ともに昨年を超える規模でのご参加をいただきました。日本から多くの出展者の皆様が積極的にIFAへご参加いただけたことは、私たち主催社の誇りです。日本メーカーの方々の出展を実際に拝見しても、イノベーティブな出展内容や、エネルギーに満ちた展示ブースに、おそらく多くの来場者が驚かされたのではないかと思います。様々に困難な状況下にあると言われる日本のメーカーが、紛れもなく健在であることが、ここヨーロッパで見せつけられたことは大変重要な意味を持っていると思います。
例えばソニーは、プレスカンファレンスで同社初のAndroidタブレットを発表して、そのスタイルや機能には、ブースで実機を手にした多くの来場者が釘づけになっていました。単にスペックが魅力的なだけではなく、あのカンファレンスでストリンガー氏や平井氏が述べたように、「アップルのiPadに迫り、追い越そう」とする意気込みが製品から伝わってくるように感じました。
ハイテッカー氏:東芝の大角氏に登壇いただいた、オープニング・キーノートのスピーチも忘れられないものになりました。いま大震災という困難から力強く立ち上がろうとする日本の方々の思いを、ヨーロッパにお越しいただき、届けていただいた大角氏の勇気と熱意に感服いたしました。災害から立ち直るため、いま東芝に何ができるのか。そして東芝が提供できる数々の技術や製品が、世界各国に暮らす人々にどんな豊かさをもたらすことができるのか、非常に興味深い内容が込められた、エモーショナルなスピーチでした。
− 昨年は「エコロジー」を大きくテーマに掲げるブースが多かったことが印象的でしたが、今年は「エコロジー」が各社製品のコンセプトや技術に浸透したように思います。ただコンセプチュアルな言葉を看板やポップにして掲げるのではなく、完成した製品の実力で勝負するのだ、という意気込みが感じられました。
コスロフスキー氏:そうですね。エコ性能はもはやホームアプライアンスだけでなく、テレビやホームシアターなどコンシューマー・エレクトロニクス製品についても「スタンダード」として根付きつつあると思います。エコは概念だけでなく、完成商品の機能やパフォーマンスとして形をなして今年一斉に登場してきたと思います。
− カメラや周辺機器など、デジタル・イメージングの出展も、今年は非常に盛況でした。一方で、来年2012年にはIFAと同じ時期に、同じドイツでデジタルイメージング分野の世界的な見本市であるフォトキナが開催されます。同イベントとの関係において、来年IFAはどのように今年の成功を持続させていく戦略をお持ちですか。
ハイテッカー氏:今年は仮説ホールの「X19」を設置して、数多くの出展のお申し込みをいただいたデジタル・イメージング分野の出展者の方々に有効な展示スペースをご提供させていただきました。まだ全てのご出展者とお話ができていませんが、いくつかの出展者の方々からは、さっそくIFAへの出展にご満足いただけているとのコメントをいただきました。来年は確かにフォトキナの開催年になりますが、私はデジタル・イメージング分野の出展者の方々は、IFAの持つ重要な意味をきちんとご理解いただいていると思っています。
フォトキナは、カメラや周辺機器のマーケットにおいては確かに世界最大規模の見本市ですが、どちらかと言えばよりプロフェッショナルを吸引する魅力を持ったイベントです。対して、IFAではカメラを軸にした、テレビやタブレットなどホームエレクトロニクスとの「連携」を来場者に対して効果的に見せることができますし、マスマーケットに対して製品の魅力を強くアピールすることができます。カメラの製品についても、いま急速にホームネットワークに繋がって、「コネクトワールド」の一端を担うデバイスとして重要な存在になっています。
またIFAはクリスマスシーズン前のもっとも効果的なビジネスシーズンに、世界各国のトレーダーとつながりが持てるミーティングポイントとして、他のイベントでは考えられないほどの実力を持っています。そういう観点からでは、IFAのスケールは格段に異なっています。今年はデジタルイメージング商品を持つ大メーカーが、それぞれの製品について力をこめて紹介していました。これからのデジタルイメージング製品を提案する場所としてIFAはベストであり、来年も多くのメーカーにご参加いただけるものと考えています。
− コンシューマー・エレクトロニクスの分野では、今年も3DやスマートTVが目立っていました。
ハイテッカー氏:3Dに関して言えば、昨年は「イントロダクション」でした。今年は完全にマスマーケットに移り、コンシューマーが次に購入したい製品として、3DやスマートTV対応機がヨーロッパでも注目を浴びています。多くの一般コンシューマーが新しいテレビを購入する際に、3DやスマートTV対応は絶対条件にはなりませんが、どうせなら3DやスマートTVのテレビを選ぶはずです。これからさらにヨーロッパでも普及が進むだろうとみています。
ー 日本のエレクトロニクス市場については、今後をどのように考察していますか。
ハイテッカー氏:今回のIFAに参加された日本の方々と直接お会いして、私はこれからの日本がより力強さを増してくるだろうと実感しました。IFA2011でビジネスの成功を勝ち取っていただき、ぜひまた来年ここでお会いしたいと願っています。
ー ありがとうございました。
8月31日のプレイベントに開催された、メッセ・ベルリン社のオープニングカンファレンスでも発表されたとおり(関連ニュース)、IFA2011は展示スペースが昨年の4%アップとなる「140,200m2」と、過去最大規模となった。また出展者数においても、昨年の1,423社という記録を塗り替える1,441社が参加した。まだイベントの期間中であるため統計は取られていないが、一般来場者/プレスの来場予約数は、昨年以上の実績を記録しそうなのだという。
記者もイベント取材で各ブースを回っていると、会場は明らかに昨年よりも賑わいを見せていた。特に会期の前半はプレスルームの席取りが大変だったり、原稿を書いている最中も、ドイツ語や英語だけでなく、各国から取材に訪れたジャーナリストの話す言語が、実に多彩だった。日本人ジャーナリストの数も昨年までよりさらに多かった。IFAは世界で最も大きなエレクトロニクスショーとして、見逃すことのできないイベントとなっている。
今年のイベントの成果を、ハイテッカー氏、コスロフスキー氏はどのように受け止めているのだろうか。
− 6日間の会期なかばを過ぎて、今年のIFA2011の反響をどのように捉えていますか。
ハイテッカー氏:会場がこれまでのどの年に開催したIFAよりもエネルギーに満ちています。出展者と来場者のコミュニケーション、プレスによるIFAの報道など、全てとても良いムードに包まれていると思います。
今年は春に日本の方々が大地震と津波という大変な困難に遭遇し、また欧米各国も年初から苦しい経済環境にさらされ続けてきました。このような環境の中で、IFAが昨年までの好調を持続することができるのか、私たち主催者も色んな課題を克服してきましたし、周りの関係者の方々も恐らく不安を感じていたのではないでしょうか。
IFA2011の幕が開けてからは、そんな周囲の不安は一気に吹き飛んでしまったように思います。数字の実績はカンファレンスでもご紹介した通りですが、初日からの盛況ぶりはIFAに足を運んだトレードビジターの方々を大いに勇気づけたと思います。これから訪れるクリスマスシーズンのビジネスに、不安を抱いて臨む覚悟を決めていたトレードビジターの方々は、コンシューマーのエレクトロニクスへの期待を肌で感じ、自信を付けたのではないでしょうか。IFAがエレクトロニクス業界を元気にする見本市であることが、今年も証明されたと実感しています。
コスロフスキー氏:IFA2011の出展者の地域別分布をみてみると、日本からは出展者/展示面積ともに昨年を超える規模でのご参加をいただきました。日本から多くの出展者の皆様が積極的にIFAへご参加いただけたことは、私たち主催社の誇りです。日本メーカーの方々の出展を実際に拝見しても、イノベーティブな出展内容や、エネルギーに満ちた展示ブースに、おそらく多くの来場者が驚かされたのではないかと思います。様々に困難な状況下にあると言われる日本のメーカーが、紛れもなく健在であることが、ここヨーロッパで見せつけられたことは大変重要な意味を持っていると思います。
例えばソニーは、プレスカンファレンスで同社初のAndroidタブレットを発表して、そのスタイルや機能には、ブースで実機を手にした多くの来場者が釘づけになっていました。単にスペックが魅力的なだけではなく、あのカンファレンスでストリンガー氏や平井氏が述べたように、「アップルのiPadに迫り、追い越そう」とする意気込みが製品から伝わってくるように感じました。
ハイテッカー氏:東芝の大角氏に登壇いただいた、オープニング・キーノートのスピーチも忘れられないものになりました。いま大震災という困難から力強く立ち上がろうとする日本の方々の思いを、ヨーロッパにお越しいただき、届けていただいた大角氏の勇気と熱意に感服いたしました。災害から立ち直るため、いま東芝に何ができるのか。そして東芝が提供できる数々の技術や製品が、世界各国に暮らす人々にどんな豊かさをもたらすことができるのか、非常に興味深い内容が込められた、エモーショナルなスピーチでした。
− 昨年は「エコロジー」を大きくテーマに掲げるブースが多かったことが印象的でしたが、今年は「エコロジー」が各社製品のコンセプトや技術に浸透したように思います。ただコンセプチュアルな言葉を看板やポップにして掲げるのではなく、完成した製品の実力で勝負するのだ、という意気込みが感じられました。
コスロフスキー氏:そうですね。エコ性能はもはやホームアプライアンスだけでなく、テレビやホームシアターなどコンシューマー・エレクトロニクス製品についても「スタンダード」として根付きつつあると思います。エコは概念だけでなく、完成商品の機能やパフォーマンスとして形をなして今年一斉に登場してきたと思います。
− カメラや周辺機器など、デジタル・イメージングの出展も、今年は非常に盛況でした。一方で、来年2012年にはIFAと同じ時期に、同じドイツでデジタルイメージング分野の世界的な見本市であるフォトキナが開催されます。同イベントとの関係において、来年IFAはどのように今年の成功を持続させていく戦略をお持ちですか。
ハイテッカー氏:今年は仮説ホールの「X19」を設置して、数多くの出展のお申し込みをいただいたデジタル・イメージング分野の出展者の方々に有効な展示スペースをご提供させていただきました。まだ全てのご出展者とお話ができていませんが、いくつかの出展者の方々からは、さっそくIFAへの出展にご満足いただけているとのコメントをいただきました。来年は確かにフォトキナの開催年になりますが、私はデジタル・イメージング分野の出展者の方々は、IFAの持つ重要な意味をきちんとご理解いただいていると思っています。
フォトキナは、カメラや周辺機器のマーケットにおいては確かに世界最大規模の見本市ですが、どちらかと言えばよりプロフェッショナルを吸引する魅力を持ったイベントです。対して、IFAではカメラを軸にした、テレビやタブレットなどホームエレクトロニクスとの「連携」を来場者に対して効果的に見せることができますし、マスマーケットに対して製品の魅力を強くアピールすることができます。カメラの製品についても、いま急速にホームネットワークに繋がって、「コネクトワールド」の一端を担うデバイスとして重要な存在になっています。
またIFAはクリスマスシーズン前のもっとも効果的なビジネスシーズンに、世界各国のトレーダーとつながりが持てるミーティングポイントとして、他のイベントでは考えられないほどの実力を持っています。そういう観点からでは、IFAのスケールは格段に異なっています。今年はデジタルイメージング商品を持つ大メーカーが、それぞれの製品について力をこめて紹介していました。これからのデジタルイメージング製品を提案する場所としてIFAはベストであり、来年も多くのメーカーにご参加いただけるものと考えています。
− コンシューマー・エレクトロニクスの分野では、今年も3DやスマートTVが目立っていました。
ハイテッカー氏:3Dに関して言えば、昨年は「イントロダクション」でした。今年は完全にマスマーケットに移り、コンシューマーが次に購入したい製品として、3DやスマートTV対応機がヨーロッパでも注目を浴びています。多くの一般コンシューマーが新しいテレビを購入する際に、3DやスマートTV対応は絶対条件にはなりませんが、どうせなら3DやスマートTVのテレビを選ぶはずです。これからさらにヨーロッパでも普及が進むだろうとみています。
ー 日本のエレクトロニクス市場については、今後をどのように考察していますか。
ハイテッカー氏:今回のIFAに参加された日本の方々と直接お会いして、私はこれからの日本がより力強さを増してくるだろうと実感しました。IFA2011でビジネスの成功を勝ち取っていただき、ぜひまた来年ここでお会いしたいと願っています。
ー ありがとうございました。