スペシャルインタビュー<前編>
動画配信時代を担う高音質技術「DTS Express」− 2012年のDTS新思想に山之内正が迫る
2012 International CESにて、様々な視聴デバイスに拡充していくエンターテイメントシーンをサポートする技術とその用途提案を打ち出したDTS。マルチデバイスにおける配信型コンテンツ時代を見据え、“ホームシアターの音響技術”に留まらない“トータル・サウンドソリューションプロバイダー思想”を掲げて動き出したDTSの姿に、評論家 山之内正が迫る。
多くのハリウッド関係者・著名人から支持されるDTS
山之内正氏(以下、山之内) CESの御社ブースは、以前と比べて模様替えをされたようにお見受けしました。今年は全体的に雰囲気が良かったですね。
藤崎賢一氏(以下、藤崎) ありがとうございます。去年まではサウスに出展していて、今年からセントラルに変わったこともあるかもしれませんが、仰る通りブースそのものも、例年までとは変化を持たせました。
伊藤哲志氏(以下、伊藤) “DTSの音”をいかにベストな形でお届けするか、という点に注力しました。騒がしい会場の中で“音”を訴求することは難しいのですが、その中で出来る限り良い環境で頼んで頂きたいと考えました。そのうちの1つが11.1chの「DTS Neo:X」シアターです。
山之内 スピーカーにはB&Wを使用していましたね。プロトタイプとはいえとても完成度の高いデモでした。
伊藤 さらに今回初めての試みとして、ハリウッドなど米国の業界関係者・著名人でDTSのファンを公言し、DTSの音を支持して下さっている方をブースに招き、“いかにDTSの技術がエンターテイメントに良い影響を及ぼしているか”を語って頂きました。
山之内 私が訪問したときは、アラン・パーソンズが来ていました。あまりにも普通にブースにいたので驚きましたが。ちなみに米国市場では、どれくらいDTSの技術が行き渡っているのでしょうか。
藤崎 ブルーレイソフトコンテンツにおけるDTSの採用率は86%です。ちなみに、他のフォーマットと並列して採用しているソフトもありますが、DTSフォーマットだけを採用しているソフトも多くあります。20世紀フォックスやユニバーサルの作品には以前から積極的に採用して頂いていましたが、最近はワーナー作品への採用も増えてきました。多くの映画スタジオから評価の声を頂いています。
山之内 高く評価される理由は何でしょうか。
藤崎 まずは“音質”だと思います。評論家の方やオーディオの専門家の方の意見では、トータルでは競合他社よりもDTSの音を評価するという声が高いです。また、映画スタジオでオーディオトラックを作る際の使い勝手の良さといった、作り手側にとってのメリットも挙げられると思います。例えばロスレスフォーマットである「DTS-HD Master Audio」の場合でいえば、1本のストリームにロッシーの「DTS Digital Surround」など複数のフォーマットを含んで、下位互換を持たせています。そのため、他社製のフォーマットではロスレスとロッシーを分けてそれぞれにエンコードを行わなくてはなりませんが、DTSフォーマットは1回のエンコードでオーディオトラックを作成できます。
山之内 製作者側にとっては、制作のスピードも重要なのですね。そういう点が評価されているというのは凄く納得できます。
テレビにデジタルメディアプレーヤー機能が必須になる「動画配信サービス」の時代
山之内 私がCESの会場をずっと回っていて強く印象に残ったのは、ビデオオンデマンド(VOD)をはじめとして、動画コンテンツを配信で楽しむ環境が急速に広がりつつあるということでした。
藤崎 はい。私たちから見ても、従来DTSの技術展開はAVアンプやBDレコーダーといったプロダクトがメインでした。しかし最近は、ネットワークを介して動画を楽しむことのできるデバイス、いわゆる“デジタルメディアプレーヤー(DMP)”およびDMP機能を有する製品の重要性を感じています。
伊藤 ネットワーク経由で動画をストリーミング視聴するというスタイルに関しては、ちょうど過渡期にあると感じています。その過程として、DMPというものがあるのではないかと思っています。
日本や北米などではあまりメジャーな機能とはいえないですが、中国のテレビメーカーや韓国のサムスン電子、LG電子などは、DTSデコーダーをテレビに採用し、テレビをDMPとして使うアプローチをしています。中国などといった、これから国内メーカーにとっても戦略的に重視しなくてはならないであろうマーケットで、DMP機能が必須になりつつあるわけです。現在、特に中国やヨーロッパの一部でこのDMP機能が重要視されています。実際に日本のメーカーと取引をさせて頂いている中では、パナソニックが欧州向けにDTSデコーダー搭載テレビを展開されています。
山之内 中国では、ユーザーがテレビを購入するときに「DTSデコーダー搭載モデルを選ぶ」という意識はどれくらいあって、それはエンドユーザー層にも広まっているのでしょうか。
伊藤 はい。実は、ここ最近で急速に“デコーダー搭載”という付加価値がテレビの選択基準になりつつあるようです。1年以上前であれば、国内メーカーに向けて当社からご提案をさせて頂くことが多かったのですが、ここ半年はむしろ各メーカーの方から積極的にお話を頂くような状況になっています。国内市場のニーズがより顕在化しつつあるのではないかと感じます。
動画配信時代のキーポイントとなる高音質技術「DTS Express」
山之内 先ほどストリーミングの話が出ましたが、回線の太さなどの環境もポイントとなると思います。コンテンツ側としては、クオリティを落とさず、回線速度に対応できるコンテンツでなくてはならない。このことについて御社での取り組みはいかがですか。
多くのハリウッド関係者・著名人から支持されるDTS
山之内正氏(以下、山之内) CESの御社ブースは、以前と比べて模様替えをされたようにお見受けしました。今年は全体的に雰囲気が良かったですね。
藤崎賢一氏(以下、藤崎) ありがとうございます。去年まではサウスに出展していて、今年からセントラルに変わったこともあるかもしれませんが、仰る通りブースそのものも、例年までとは変化を持たせました。
伊藤哲志氏(以下、伊藤) “DTSの音”をいかにベストな形でお届けするか、という点に注力しました。騒がしい会場の中で“音”を訴求することは難しいのですが、その中で出来る限り良い環境で頼んで頂きたいと考えました。そのうちの1つが11.1chの「DTS Neo:X」シアターです。
山之内 スピーカーにはB&Wを使用していましたね。プロトタイプとはいえとても完成度の高いデモでした。
伊藤 さらに今回初めての試みとして、ハリウッドなど米国の業界関係者・著名人でDTSのファンを公言し、DTSの音を支持して下さっている方をブースに招き、“いかにDTSの技術がエンターテイメントに良い影響を及ぼしているか”を語って頂きました。
山之内 私が訪問したときは、アラン・パーソンズが来ていました。あまりにも普通にブースにいたので驚きましたが。ちなみに米国市場では、どれくらいDTSの技術が行き渡っているのでしょうか。
藤崎 ブルーレイソフトコンテンツにおけるDTSの採用率は86%です。ちなみに、他のフォーマットと並列して採用しているソフトもありますが、DTSフォーマットだけを採用しているソフトも多くあります。20世紀フォックスやユニバーサルの作品には以前から積極的に採用して頂いていましたが、最近はワーナー作品への採用も増えてきました。多くの映画スタジオから評価の声を頂いています。
山之内 高く評価される理由は何でしょうか。
藤崎 まずは“音質”だと思います。評論家の方やオーディオの専門家の方の意見では、トータルでは競合他社よりもDTSの音を評価するという声が高いです。また、映画スタジオでオーディオトラックを作る際の使い勝手の良さといった、作り手側にとってのメリットも挙げられると思います。例えばロスレスフォーマットである「DTS-HD Master Audio」の場合でいえば、1本のストリームにロッシーの「DTS Digital Surround」など複数のフォーマットを含んで、下位互換を持たせています。そのため、他社製のフォーマットではロスレスとロッシーを分けてそれぞれにエンコードを行わなくてはなりませんが、DTSフォーマットは1回のエンコードでオーディオトラックを作成できます。
山之内 製作者側にとっては、制作のスピードも重要なのですね。そういう点が評価されているというのは凄く納得できます。
テレビにデジタルメディアプレーヤー機能が必須になる「動画配信サービス」の時代
山之内 私がCESの会場をずっと回っていて強く印象に残ったのは、ビデオオンデマンド(VOD)をはじめとして、動画コンテンツを配信で楽しむ環境が急速に広がりつつあるということでした。
藤崎 はい。私たちから見ても、従来DTSの技術展開はAVアンプやBDレコーダーといったプロダクトがメインでした。しかし最近は、ネットワークを介して動画を楽しむことのできるデバイス、いわゆる“デジタルメディアプレーヤー(DMP)”およびDMP機能を有する製品の重要性を感じています。
伊藤 ネットワーク経由で動画をストリーミング視聴するというスタイルに関しては、ちょうど過渡期にあると感じています。その過程として、DMPというものがあるのではないかと思っています。
日本や北米などではあまりメジャーな機能とはいえないですが、中国のテレビメーカーや韓国のサムスン電子、LG電子などは、DTSデコーダーをテレビに採用し、テレビをDMPとして使うアプローチをしています。中国などといった、これから国内メーカーにとっても戦略的に重視しなくてはならないであろうマーケットで、DMP機能が必須になりつつあるわけです。現在、特に中国やヨーロッパの一部でこのDMP機能が重要視されています。実際に日本のメーカーと取引をさせて頂いている中では、パナソニックが欧州向けにDTSデコーダー搭載テレビを展開されています。
山之内 中国では、ユーザーがテレビを購入するときに「DTSデコーダー搭載モデルを選ぶ」という意識はどれくらいあって、それはエンドユーザー層にも広まっているのでしょうか。
伊藤 はい。実は、ここ最近で急速に“デコーダー搭載”という付加価値がテレビの選択基準になりつつあるようです。1年以上前であれば、国内メーカーに向けて当社からご提案をさせて頂くことが多かったのですが、ここ半年はむしろ各メーカーの方から積極的にお話を頂くような状況になっています。国内市場のニーズがより顕在化しつつあるのではないかと感じます。
動画配信時代のキーポイントとなる高音質技術「DTS Express」
山之内 先ほどストリーミングの話が出ましたが、回線の太さなどの環境もポイントとなると思います。コンテンツ側としては、クオリティを落とさず、回線速度に対応できるコンテンツでなくてはならない。このことについて御社での取り組みはいかがですか。
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