「技術の進歩とマーケットのシフトを見据えていく」
dts Japan小玉新社長インタビュー − 積極的なマルチデバイス対応/クラウド展開も重視
1993年の映画『ジュラシック・パーク』への採用から始まり、高い技術力で高品位なデジタルサラウンドフォーマットを提供してきたDTS。CES 2012では、スマートフォンやタブレットといった様々な視聴デバイスに拡充していくエンターテイメントシーンの今後を見据え、それらをサポートする技術とその用途提案を打ち出した。“ホームシアターの音響技術”に留まらない今後の展開にも期待が掛かる。
今回は、5月1日より同社の日本法人であるdts Japanの社長に就任した小玉章文氏に、今後のビジョンや注力していくポイントをインタビューした。
技術の進歩とマーケットのシフトを見据え、積極的なマルチデバイス対応を
−− dts Japanの代表取締役社長 就任おめでとうございます。小玉社長のプロフィールをお聞かせ下さい。
小玉章文氏(以下、小玉) 約20年にわたって、ソフトウェアセキュリティ企業やデジタルメディアのコンテンツプロバイダーなど、様々な外資系企業の日本法人の立ち上げに携わってきました。メタフォリック(株)、グレースノート(株)、エクスピードネットワークス(株)、マクシス(株)、3DOジャパン(株)といった各企業の代表取締役を歴任し、本年5月1日よりdts Japanの代表取締役社長に就任いたしました。
−− DTSでは、今後どういった部分を重視して事業を展開されていきますか。
小玉 大きく表現すれば、私は“波に乗ること”が大切だと考えています。マーケットでいま何が起こっているかということを的確に掴むことが重要です。また、インフラのスピードに合わせることも大事です。
かつては、アメリカ、ヨーロッパ、日本…と国や地域によってモノが普及していくスピードは違い、市場性も異なっていました。ところが最近では、情報の伝達速度が格段に早くなったこともあり、世界で同時に起こることが多くなってきています。
さらに、国よってレギュレーションや法制度は変わってきますが、最近では新しいサービスに対してあとからレギュレーションが作られる場合もある。それくらい新しい技術の登場とそれが普及するスピードが早まっているということでしょう。そういう“波”に乗っていくことが大切です。
−− YouTubeが良い例ですね。
小玉 これまでは新しく開発された規格や技術を各地のマーケットに向かって伝えていく流れが主でしたが、これからはまずマーケットのシフトを常に念頭においていくことが必要であると考えています。さらに、コンテンツを楽しむデバイスも多様に進化していますし、技術の進歩とマーケットをよく見ていくことが大事だと思います。
−− VODサービスをはじめとして、動画コンテンツを配信で楽しむ環境が急速に広がっていますね。デバイス面でも、特にスマートフォンやタブレットなどは、いまや通信デバイスと同時にエンターテイメントデバイスになってきています。
小玉 コンテンツを様々なデバイスで楽しめる環境が進んでいます。DTSとしても、エンターテイメントのマルチデバイス化の波に乗ることは重要です。
−− そういう面をとっても、音に関する事業は裾野が広いですね。
小玉 そうだと思います。しかし、あれもこれもと手を出して中途半端になり、クオリティを下げてしまうことは避けたい。DTSとしては、スケーラビリティを視野に入れながらも、マルチデバイスを広くサポートしていきたいです。
スマホ/タブレットへの対応やVODの配信環境を注視 − ゲーム分野にも注目
−− 技術面でのアプローチはどう考えていますか。
小玉 普及を促進するためには、まず作り手側・供給側にとってなるべく簡単でシンプルなツールを提供していくことが重要だと考えています。DTSはエンジニアリングが強いのでよく対応できると思います。
−− 具体的に技術面ではどういったものに力を入れていくお考えでしょうか。
小玉 メインは11.1chを実現するサラウンドフォーマット「DTS Neo:X」に力を入れ、その他の状況を見ていく考えです。
−− 既にLG製端末などでDTSのオーディオ技術が採用されていますが、スマートフォンやタブレットなどのデバイスに対する今後の展開についてはいかがでしょうか。
小玉 スマートフォンやタブレットで音をどう楽しむかというのは大きなテーマになっていくと思います。またその2つでは、スマートフォンよりも、画面が広く映像コンテンツを見やすいタブレットへの展開が主流になっていくと思われます。
さらに、配信ストリームの技術的な状況にも常に目を向けていきます。配信型コンテンツにおけるDTS技術の採用を考えたとき、私たちの圧縮技術と配信のバンド幅が上手く合うことで、高品位なサービスが提供できるようになっていくでしょう。実際VODへの採用は、現在様々なサービスが登場している米国での展開が一番早いと思います。またそのほかに、音へのこだわりが多いゲーム分野へも注目しています。
ホームシアターだけじゃない、様々なシーンでDTSロゴマークを目にするように − クラウド展開を重視
−− 昨年度、御社はBtoB向けの展開にも力を入れていらっしゃいましたが、今後の展開はどうなっていくのでしょうか。
小玉 これからはBtoC向けにも積極的な展開をしていきたいと考えています。また、クラウド展開をどうしていくか。これを重要視しています。クラウド化によってエンターテイメントシーンのフェーズが変わっていくことは明白です。
もちろん今後とも、プレミアムブランドとしてのDTSをより確立していきます。まずはコアなユーザーに響かなくてはならない。品質と性能をコントロールしていくことが大事だと思っています。そこからさらに裾野を広げていきたいと思います。
今後エンターテイメントシーンにおいてクラウド化が主流になり、ハイクオリティなサービスが展開される時代には、DTSの高品位な技術がマッチすると思います。
−− dts Japanとしての展開についてはどういったビジョンを持っていますか。
小玉: DTS全体としての連携は今までと変わりません。国内の展開については、日本は家電周りのサービスとしては一番活発な展開が期待できるのではないでしょうか。日本のマーケットは製品やサービスに対する要求レベルが高く、そこで各家電メーカーとも他社製品との差別化を高いレベルで図っています。そこにDTSのプレミアムな技術が大きく寄与できる余地があるのではないかと思います。
これまで、dtsのロゴマークを目にする場所はホームシアターシーンが多かったと思いますが、これからの戦略でもっと広げていきたいです。様々な形で広がっていくエンターテイメントシーンやコンテンツそれぞれに最適化されるオーディオソリューションを提供するブランドとして、認知力を高めていきたいですね。
今回は、5月1日より同社の日本法人であるdts Japanの社長に就任した小玉章文氏に、今後のビジョンや注力していくポイントをインタビューした。
技術の進歩とマーケットのシフトを見据え、積極的なマルチデバイス対応を
−− dts Japanの代表取締役社長 就任おめでとうございます。小玉社長のプロフィールをお聞かせ下さい。
小玉章文氏(以下、小玉) 約20年にわたって、ソフトウェアセキュリティ企業やデジタルメディアのコンテンツプロバイダーなど、様々な外資系企業の日本法人の立ち上げに携わってきました。メタフォリック(株)、グレースノート(株)、エクスピードネットワークス(株)、マクシス(株)、3DOジャパン(株)といった各企業の代表取締役を歴任し、本年5月1日よりdts Japanの代表取締役社長に就任いたしました。
−− DTSでは、今後どういった部分を重視して事業を展開されていきますか。
小玉 大きく表現すれば、私は“波に乗ること”が大切だと考えています。マーケットでいま何が起こっているかということを的確に掴むことが重要です。また、インフラのスピードに合わせることも大事です。
かつては、アメリカ、ヨーロッパ、日本…と国や地域によってモノが普及していくスピードは違い、市場性も異なっていました。ところが最近では、情報の伝達速度が格段に早くなったこともあり、世界で同時に起こることが多くなってきています。
さらに、国よってレギュレーションや法制度は変わってきますが、最近では新しいサービスに対してあとからレギュレーションが作られる場合もある。それくらい新しい技術の登場とそれが普及するスピードが早まっているということでしょう。そういう“波”に乗っていくことが大切です。
−− YouTubeが良い例ですね。
小玉 これまでは新しく開発された規格や技術を各地のマーケットに向かって伝えていく流れが主でしたが、これからはまずマーケットのシフトを常に念頭においていくことが必要であると考えています。さらに、コンテンツを楽しむデバイスも多様に進化していますし、技術の進歩とマーケットをよく見ていくことが大事だと思います。
−− VODサービスをはじめとして、動画コンテンツを配信で楽しむ環境が急速に広がっていますね。デバイス面でも、特にスマートフォンやタブレットなどは、いまや通信デバイスと同時にエンターテイメントデバイスになってきています。
小玉 コンテンツを様々なデバイスで楽しめる環境が進んでいます。DTSとしても、エンターテイメントのマルチデバイス化の波に乗ることは重要です。
−− そういう面をとっても、音に関する事業は裾野が広いですね。
小玉 そうだと思います。しかし、あれもこれもと手を出して中途半端になり、クオリティを下げてしまうことは避けたい。DTSとしては、スケーラビリティを視野に入れながらも、マルチデバイスを広くサポートしていきたいです。
スマホ/タブレットへの対応やVODの配信環境を注視 − ゲーム分野にも注目
−− 技術面でのアプローチはどう考えていますか。
小玉 普及を促進するためには、まず作り手側・供給側にとってなるべく簡単でシンプルなツールを提供していくことが重要だと考えています。DTSはエンジニアリングが強いのでよく対応できると思います。
−− 具体的に技術面ではどういったものに力を入れていくお考えでしょうか。
小玉 メインは11.1chを実現するサラウンドフォーマット「DTS Neo:X」に力を入れ、その他の状況を見ていく考えです。
−− 既にLG製端末などでDTSのオーディオ技術が採用されていますが、スマートフォンやタブレットなどのデバイスに対する今後の展開についてはいかがでしょうか。
小玉 スマートフォンやタブレットで音をどう楽しむかというのは大きなテーマになっていくと思います。またその2つでは、スマートフォンよりも、画面が広く映像コンテンツを見やすいタブレットへの展開が主流になっていくと思われます。
さらに、配信ストリームの技術的な状況にも常に目を向けていきます。配信型コンテンツにおけるDTS技術の採用を考えたとき、私たちの圧縮技術と配信のバンド幅が上手く合うことで、高品位なサービスが提供できるようになっていくでしょう。実際VODへの採用は、現在様々なサービスが登場している米国での展開が一番早いと思います。またそのほかに、音へのこだわりが多いゲーム分野へも注目しています。
ホームシアターだけじゃない、様々なシーンでDTSロゴマークを目にするように − クラウド展開を重視
−− 昨年度、御社はBtoB向けの展開にも力を入れていらっしゃいましたが、今後の展開はどうなっていくのでしょうか。
小玉 これからはBtoC向けにも積極的な展開をしていきたいと考えています。また、クラウド展開をどうしていくか。これを重要視しています。クラウド化によってエンターテイメントシーンのフェーズが変わっていくことは明白です。
もちろん今後とも、プレミアムブランドとしてのDTSをより確立していきます。まずはコアなユーザーに響かなくてはならない。品質と性能をコントロールしていくことが大事だと思っています。そこからさらに裾野を広げていきたいと思います。
今後エンターテイメントシーンにおいてクラウド化が主流になり、ハイクオリティなサービスが展開される時代には、DTSの高品位な技術がマッチすると思います。
−− dts Japanとしての展開についてはどういったビジョンを持っていますか。
小玉: DTS全体としての連携は今までと変わりません。国内の展開については、日本は家電周りのサービスとしては一番活発な展開が期待できるのではないでしょうか。日本のマーケットは製品やサービスに対する要求レベルが高く、そこで各家電メーカーとも他社製品との差別化を高いレベルで図っています。そこにDTSのプレミアムな技術が大きく寄与できる余地があるのではないかと思います。
これまで、dtsのロゴマークを目にする場所はホームシアターシーンが多かったと思いますが、これからの戦略でもっと広げていきたいです。様々な形で広がっていくエンターテイメントシーンやコンテンツそれぞれに最適化されるオーディオソリューションを提供するブランドとして、認知力を高めていきたいですね。
小玉章文氏 プロフィール KODAMA,Akifumi 1956年生まれ 岡山県岡山市出身。テクノロジーやエンタテインメント業界に精通し、約20年にわたってソフトウェアセキュリティ企業やデジタルメディアのコンテンツプロバイダーなど様々な外資系企業の日本法人の立ち上げに携わる。メタフォリック(株)、グレースノート(株)、エクスピードネットワークス(株)、マクシス(株)、3DOジャパン(株)の代表取締役を歴任し、2012年5月1日よりDTSの日本法人であるdts Japanの代表取締役社長に就任。 |