<IFA>テクニクスキーマンに訊く:アナログプレーヤーなど新製品詳細と今後の展開
― そして今回、アナログターンテーブルも開発発表されました。私も含め、多くの方が熱望していたことと思います。
小川氏:テクニクスブランド復活となるとそういったお声をいただくと想定はしていたんです。しかし昨年来、本当に想定以上の熱烈なご希望をいただいており、非常に有り難く感じています。アナログターンテーブルをどういうかたちで出すかについては、かなり議論しました。ハイファイ向けなのか?DJ用なのか?と……。でもやはりテクニクスのコンセプトとして、伝統の技術と最先端技術を融合させて新たな価値を生み出していくという考えがありますから、「限界にチャレンジしよう」と。
― 単に過去製品の技術をそのまま使うのではなく、今だからこそ実現できる技術も投入されているんですね。
井谷氏:DDモーターは70〜80年代で成長が止まっているんです。再発にあたっての課題はDDモーター特有の、モーターそのものの振動でした。これを解決しないとハイエンドユーザーには認めてもらえないだろう、と。ですので今回、コアレスモーターを採用してコギングを排除しました。これはBD再生機等で培ったノウハウが活きましたね。「SP-10MK2」や「SL-1200MK2」とほぼ同等のトルクを実現する予定です。
― 「SP-10MK3」ではなく?
井谷氏:実用的にはそこまでしなくてもいいと思ったんですよ。プラッターや制御方法などを工夫すればいい音が出せるだろう、と。
もうひとつの挑戦はモーターの制御技術です。「SL-1200MK2」は1979年の発売ですが、当時は民生用にマイコンが出ていない時代だったのでカスタムLSIで制御していました。しかしその後、特にDIGAの開発で、学習制御や回転位置制御をしながらトルクをあわせるというノウハウを蓄積しました。それを応用すれば、ハイエンドプレーヤーにも満足できる音質を実現できるのではないかと考えました。
― 商品化の際はアームなどもついてきますか?
井谷氏:そのあたりは今いろいろと話し合っています。
― そして気になるのは価格です。どのくらいの貯金をしていればいいでしょうか(笑)? きっと多くの方が手に入れたいと思う製品なので、そういった方の期待に応える価格だといいなと思っているのですが。
小川氏:多くの方に手にとっていただきたいという思いも持ちつつ、現在検討しているところです。