上位モデルとの並行開発によって得たメリットとは?
【開発者インタビュー】「DCD-2500NE」はディスク再生に特化して“価格帯最強”を狙った
デノンが“New Eea(新時代)”というコンセプト掲げて手がけた中核ラインナップ「2500シリーズ」。その素顔に迫る連続インタビューの第二回目は、ディスク再生にあえて特化したSACDプレーヤー「DCD-2500NE」(発表会の詳細レポート)の開発を担当した出口昌利氏にお話を伺った。
■あえて今、ディスク再生に特化したSACDプレーヤーを手がけた理由
ーー DCD-2500NEは、デジタル入力は省略して、あえてディスク再生に特化したモデルです。ディスク再生に機能を絞り込むことは、音質面でも優位に働いたのでしょうか。
出口氏 もしもUSB-B入力を搭載するとすると、回路規模は当然大きくなりますよね。筐体内の使用できる容積は限られているので、機能を絞ってシンプルな構成とした方が、回路パターンなども自由に設計できるメリットがあります。
デノンはノイズ対策の様々なノウハウを持っているため、USB-B入力を備えたからといって音質的に不利になるということはありません。しかし、デジタル入力を搭載すればそれに伴って回路規模が大きくなります。コスト面でも、ディスク再生に特化すれば様々な物量を集中させることができます。総合的に見て、ディスク再生に特化したことのメリットは大きいです。
ーー 本機は昨年発表された上位モデル「DCD-SX11」と並行して開発が行われ、ドライブメカもDCD-SX11から継承しています。
出口氏 DCD-2500NEに搭載されたドライブメカ「Advanced S.V.H. Mechanism」は、DCD-SX11と全く同一のものです。さらにはAdvanced AL32 Processing Plusの処理を行うまでの流れも回路設計的には同様で、デジタル信号処理のブロックはDCD-SX11 と同じ構成としています。もちろん、DACの周辺回路やD/A変換以降のアナログ回路、電源については、上位モデルとは投入できる物量に差が出てきます。しかし、DCD-SX11などの上位モデルで培ったノウハウを活かして、アナログ回路も電源もさらなる強化を図っています。
ーー DCD-SX11と同じドライブメカ、そしてデジタルパートを備えながら、税抜きで18万円という価格です。
出口氏 お客様に「この価格でこんな音が!?」と感じでもらうことを目指して開発を進めてきました。
ーー 本機の位置付けとしては「DCD-1650RE」の後継機種ということになりますよね。
出口氏 そうです。しかし本機で目指したのはディスク再生に特化した“究極のディスクプレーヤー”であり、DCD-1650REの後継モデルというグレードに収めようという考えは、開発段階においてまったくありませんでした。一方で、9世代続いた1650シリーズの系譜を断ち切るのではなく、その良さをしっかりと継承していくことも意識しました。
■準フラグシップ「DCD-SX11」の技術要素を惜しみなく投入
ーー DCD-SX11とDCD-2500NEは開発期間が非常に近かったとのことですが、具体的にはどのような流れで開発が行われたのでしょうか。
出口氏 時系列で言うと、私はDCD-1650SE、DCD-1650RE、DCD-SX1という順番でデノンのディスクプレーヤーを担当してきました。そしてその合間には、プリメインアンプやネットワークプレーヤーの開発にも携わってきたのですが、そのノウハウはディスクプレーヤーの開発にも活かすことができました。
そして、DCD-SX1で非常に大きな評価をいただいた後に開発に着手したのが、DCD-SX11でした。DCD-SX11は準フラグシップ機ですが、「SX1を超えてやろう」という意欲を持って取り組んだモデルでした。実際、コスト的な制限があるなかで、様々な音質対策や音質部品を検討・開発することができました。ドライブメカもそのひとつです。
そしてDCD-2500NEは、このDCD-SX11に少し遅れて開発が始まった製品でした。設計段階で言えば1ステージ遅れていたのですが、少しでも高みに近づけようと、DCD-SX11で検討したことは、できるだけDCD-2500NEにそのまま搭載するよう意識していました。
また2500シリーズはミドルクラスのモデルですので、より多くの台数を想定します。ですのでコスト面でのスケールメリットを活かした部品選択が行えます。例えば、DCD-SX11に使用した大型コンデンサーは高価ですが、DCD-2500NEでも採用することができました。また、DCD-SX11とDCD-2500NEで設計や部品を共有することで得られるコスト的なメリットもありました。
■あえて今、ディスク再生に特化したSACDプレーヤーを手がけた理由
ーー DCD-2500NEは、デジタル入力は省略して、あえてディスク再生に特化したモデルです。ディスク再生に機能を絞り込むことは、音質面でも優位に働いたのでしょうか。
出口氏 もしもUSB-B入力を搭載するとすると、回路規模は当然大きくなりますよね。筐体内の使用できる容積は限られているので、機能を絞ってシンプルな構成とした方が、回路パターンなども自由に設計できるメリットがあります。
デノンはノイズ対策の様々なノウハウを持っているため、USB-B入力を備えたからといって音質的に不利になるということはありません。しかし、デジタル入力を搭載すればそれに伴って回路規模が大きくなります。コスト面でも、ディスク再生に特化すれば様々な物量を集中させることができます。総合的に見て、ディスク再生に特化したことのメリットは大きいです。
ーー 本機は昨年発表された上位モデル「DCD-SX11」と並行して開発が行われ、ドライブメカもDCD-SX11から継承しています。
出口氏 DCD-2500NEに搭載されたドライブメカ「Advanced S.V.H. Mechanism」は、DCD-SX11と全く同一のものです。さらにはAdvanced AL32 Processing Plusの処理を行うまでの流れも回路設計的には同様で、デジタル信号処理のブロックはDCD-SX11 と同じ構成としています。もちろん、DACの周辺回路やD/A変換以降のアナログ回路、電源については、上位モデルとは投入できる物量に差が出てきます。しかし、DCD-SX11などの上位モデルで培ったノウハウを活かして、アナログ回路も電源もさらなる強化を図っています。
ーー DCD-SX11と同じドライブメカ、そしてデジタルパートを備えながら、税抜きで18万円という価格です。
出口氏 お客様に「この価格でこんな音が!?」と感じでもらうことを目指して開発を進めてきました。
ーー 本機の位置付けとしては「DCD-1650RE」の後継機種ということになりますよね。
出口氏 そうです。しかし本機で目指したのはディスク再生に特化した“究極のディスクプレーヤー”であり、DCD-1650REの後継モデルというグレードに収めようという考えは、開発段階においてまったくありませんでした。一方で、9世代続いた1650シリーズの系譜を断ち切るのではなく、その良さをしっかりと継承していくことも意識しました。
■準フラグシップ「DCD-SX11」の技術要素を惜しみなく投入
ーー DCD-SX11とDCD-2500NEは開発期間が非常に近かったとのことですが、具体的にはどのような流れで開発が行われたのでしょうか。
出口氏 時系列で言うと、私はDCD-1650SE、DCD-1650RE、DCD-SX1という順番でデノンのディスクプレーヤーを担当してきました。そしてその合間には、プリメインアンプやネットワークプレーヤーの開発にも携わってきたのですが、そのノウハウはディスクプレーヤーの開発にも活かすことができました。
そして、DCD-SX1で非常に大きな評価をいただいた後に開発に着手したのが、DCD-SX11でした。DCD-SX11は準フラグシップ機ですが、「SX1を超えてやろう」という意欲を持って取り組んだモデルでした。実際、コスト的な制限があるなかで、様々な音質対策や音質部品を検討・開発することができました。ドライブメカもそのひとつです。
そしてDCD-2500NEは、このDCD-SX11に少し遅れて開発が始まった製品でした。設計段階で言えば1ステージ遅れていたのですが、少しでも高みに近づけようと、DCD-SX11で検討したことは、できるだけDCD-2500NEにそのまま搭載するよう意識していました。
また2500シリーズはミドルクラスのモデルですので、より多くの台数を想定します。ですのでコスト面でのスケールメリットを活かした部品選択が行えます。例えば、DCD-SX11に使用した大型コンデンサーは高価ですが、DCD-2500NEでも採用することができました。また、DCD-SX11とDCD-2500NEで設計や部品を共有することで得られるコスト的なメリットもありました。