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“世界初”機構搭載モデルがリニューアル

人気シリーズ「CKR」第2世代機はどう変わったのか? オーディオテクニカ開発者に聞く

公開日 2016/06/20 10:28 インタビュー:岩井 喬/構成:編集部
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さらに進化を遂げた
「DUAL PHASE PUSH-PULL〈Hi-Res Audio〉DRIVERS」


―― さて、「DUAL PHASE PUSH-PULL〈Hi-Res Audio〉DRIVERS」について、第一世代機から進化した点を教えてください。

小澤:そうですね、第一世代機リリース後も技術検討を進めるなかで、細かな改良点を積み上げた感じです。最上位のCKR100は、装着感と音のバランスのなかでいちばん大きく取れる口径13mmの振動板を採用。やはり大きい方が音の表現の幅が広がるので、ギリギリまで大きい口径を狙っています。

φ13mm振動板と純鉄ヨークを採用した2つのダイナミック型ドライバーを対向配置し、2つのドライバーを逆位相で駆動させることで、効率良く磁気を伝達しハイレゾ音源も極致まで描き出すという「DUAL PHASE PUSH-PULL〈Hi-Res Audio〉DRIVERS」を搭載

そしてCKR90は、CKR9から大きく変化しました。CKR9は上位機と同じドライバーを搭載しつつ他のパーツでコストを抑えましたが、第二世代のCKR90は、口径の異なる振動板を搭載するという、上位機とは全く違う機構を採用しています。

本機も2つのダイナミック型ドライバーを対向配置した「DUAL PHASE PUSH-PULL〈Hi-Res Audio〉DRIVERS」を搭載。CKR100との差異は、2つのドライバーの口径が異なること。φ13mmのものとφ10.4mmのものを組み合わせることで、高域特性を改善し、ハイレゾ音源も余裕で再生できる高解像度・広帯域再生を実現したという。

田久保:φ13mmのものをそのまま使う方が楽ではあったのですが、やはり新しい技術の引き出しを持っておきたいということで、このような構成にチャレンジしました。

―― でも同じ口径の振動板の方がパラレルなプッシュプル動作ができるのではと思ってしまうのですが?

小澤:使っているマグネットの大きさが同じなので、プッシュプル動作はパラレルに行えます。高域の良さを引き出しハイレゾ対応を実現しつつ、低域も確保できるのがメリットです。

―― 新しい機構として、CKR100/90にはドライバーの前後直進運動を向上させるアルミニウムスタビライザーが追加されましたね。

アルミニウムスタビライザー(写真・金色のリング部)により、高いレスポンス性能を獲得

田久保:はい、やはり倍音を抑えるには金属系素材で押さえた方が締まった音になるんです。

―― そしてCKR70のドライバーは、ミクロンオーダーで新設計されたものとのことですが、これについてもう少し詳しく教えてください。

小澤:ドライバーは、下から上に組み立てるのと、上から下に組み立てるのではだいぶ変わるんです。通常は振動板、マグネット、トッププレート…という順番なんですが、今回は逆。後者の順番で組み立てました。また、マグネットの留め方ひとつでも音が変わりますから気を配りました。これにより、組立精度が上がっています。数値にすると数ミクロンほどの違いですが、音はかなり変わります。


実はこれ、もっと上の価格帯のモデル向けに開発していた技術だったんですが、今回思い切ってCKR70に投入しました。なので非常にお買い得なモデルと言えると思います(笑)


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