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各タイトルの音質もレビュー

時代を作った「和フュージョン」の名盤群が新リマスターで蘇る! 録音現場の音を再現した立役者とは?

公開日 2016/09/01 11:47 大橋伸太郎
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それでは、具体的にどのようなプロセスでアナログテープからデジタルリマスタをやり直したのか。40タイトルの約半数のマスタリングを担当されたビクタースタジオのマスタリングエンジニア・袴田剛史氏に話を伺おう。

袴田剛史 氏

今回のリマスタの強力な武器というか影の立役者が、K2HD PRO MASTERINGとメモリーテックからの提案「UHQCD」だ。従来CD制作に広く使われてきたK2HDマスタリングは、最大100kHzの高帯域と24bitの高階調で音源を処理、44.1kHz/16bitCDフォーマットに192kHz/24bitまでの音情報をパッケージしてきた。

K2HDマスタリングがパラメータの再調整とプロセッサーの筐体等の改良で進化を遂げK2HD PRO MASTERINGに発展した。ビクタースタジオミキシングルームFLAIR各室にK2HDプロセッサーを増設、2台のプロセッサーを使用するなどリマスタのデジタル環境が大幅に進展したことが本シリーズ誕生の背景にあった。

何故CDというメディアを選択したかは最後にディレクター星氏のお話を引用するが、CD誕生から四半世紀近くが経ちパッケージング技術も大幅に向上し、新しい提案も現れた。アナログマスターの音を忠実にCDにパッケージしたいという願いで白羽の矢を立てたのがUHQCDなのだ。

メモリーテック株式会社は高価なガラスCD(1作20万円もした!)で話題を呼んだ会社。微細ピット転写技術と反射膜の特殊合金の採用で反射率を上げ、ピット情報の読み取り精度を上げたのがUHD CDだ。同一マスターを従来製法のCDとUHQ CDの両方で比較視聴すると、想像以上の差でUHQ CD採用になった。

袴田氏は続ける。「以前の機器はCDフォーマット専用ハード(システム)で音を例えばビット拡張して最後に戻す機器でしたが、今回はハイレゾパッケージのハードを採用しハイレゾにアップ(96kHz)、その後もマスタリングの過程の最後で44.1kHzにまるめこむ手法を採用しました。そうすると肌理の細かいマスタリングができます」

「今回のマスタリングは私を含め3人が担当しますが、エンジニアによってはCDのマスタリングは44kHzベースがベストという方もいます。それぞれの考え方に合わせて柔軟に使いこなせるのが今回のシステムの特長です。総合的に従来のCDから音質はずっと向上しているので『K2HD PRO MASTERING』をアピールしていきたいと思います


第一期リリースの秋本奈緒美の『Rolling80’s』のアナログマスターを聞くとよくぞここまで、と思うほど凝った音作りでプロデューサーの強い想いが感じられました。レコードで十分に再現されていなかった世界観を、今回こそどういう音に最終的にまとめるかが難題でした。

秋本さんに限らず、K2HD PRO MASTERINGで音の解像度が上がり、音世界のしなやかな佇まいが見えてくる。それが全作のマスタリングに一貫する思想です。作品によって低域を厚くしたらとか、中域を張り出したらどうかというニュアンスが加味されました。全作きめ細かく柔らかい自然でヒューマンな音が今回K2HD PRO MASTERINGを使ってできたという手応えがあります
」と高田氏が補う。


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