【特別企画】USB-DAC/ヘッドホンアンプ「DS-200」など
ハイコスパで話題の新進オーディオブランド「Soundfort」とは? 開発者にこだわりを聞いた
片山:ふと会社を辞めまして(笑)。今まではお客さんに言われたものを作っていたのですが、今度は自分がやりたいものを作ってみたいという思いが、ふつふつと沸いてきたのです。それでパンッと日本の会社を辞めて、一人で深センに行って、会社を作ってスタートしたと。
−−すごい決断力と行動力ですね。
片山:それが2008年のことです。ただその後は、やはり楽しいばかりでもなくて。元から作りたかったオーディオ製品の開発も手がけたのですが、正直に言って、あまり時間を掛けられませんでした。当初の事業の柱は、日本のお客様のEMS(電子機器受託製造サービス)の支援や開発の支援などでしたから。オーディオを片手間でやっているという状態にフラストレーションがあったのです。
そんなときに、いまSoundfort製品の販売を行っていただいているMJTSの杉山さんに偶然お会いして、意気投合しまして。ブランドを立ち上げて、日本メーカーとしてやっていこうと決意しました。製造は中国で行っていますが、日本人に向けたハイクオリティな商品をきっちり作っていこうと。それでSoundfortというブランドを立ち上げたのが2014年です。
−−では、Soundfortを立ち上げてからまだ2年くらいということですね。
片山:はい。おかげさまでお客様からの反響はすごく良くて、最近では良いサイクルが回るようになってきました。ちゃんと聴いて頂けると、良さを分かって頂けるようです。
Soundfortの第一弾製品は「DS-100」「AS-100」「HS-100」の3種類だったのですが、そのうちDS-100を進化・発展させたのが、今回聞いていただいた「DS-200」です。
■Soundfortの音作りに50年のオーディオキャリアはどう活きた?
−−素晴らしい製品だと思いました。レビュー記事は別途、次回お届けしようと思っています。…ところで製品開発にあたって、片山さんがオーディオに関わってこられた50年近いキャリアは、どのように活かされたのでしょうか?
片山:まず基本の部分をしっかりやるという考え方は、間違いなく真空管やトランジスタで回路を組んでいたころの経験が生きているでしょうね。性能をキチッと出すために、基板の部品配置やパターンをしっかり妥協無く作り込みます。
Soundfortの音のコンセプトは、できる限り色付けせず、フラットに出していくということです。音源をそのまま出すのが理想です。そのためには、足腰とも言える基板設計の根幹がきっちり出来ていないとダメなんです。
そのしっかりした足腰を作った上で、コンデンサーや電源周りの部品の吟味を行います。これも、単に良いものを使えばいいというものでもなくて、全体のバランスで音の印象が決まりますから、とにかくいろんな組み合わせを試すわけです。
たとえばコンデンサーでしたら、電解コンデンサー、セラミックコンデンサー、タンタルコンデンサー、最近では高分子フィルムコンデンサーなどがあって、それぞれにたくさんの種類があるわけです。そういうものを組み合わせながら、なるべくナチュラルな音が出るように調整していきます。とにかくトライ&エラーしかないですね。
−−かんたんに仰っていますが、ものすごく難しいことですよね。