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国内メディア向け記者会見

<CES>ソニー平井社長が語る'17年の展望。「ハードの存在意義を信じ、確かな結果を残す」

公開日 2017/01/06 15:17 山本敦
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VRビジネスの手応えは?

「PlayStation VR」は昨年2016年の秋に発売され、しばらく品切れ状態が続くほどの好調ぶりだ。ソニーにとって、今後も力を入れていくビジネスフィールドになることは間違いないはずだが、今年はどんな展開を見せてくれるのだろうか。

「PS VRはとてもよい立ち上がりだったと思う。今後の成長をサポートするため、VRコンテンツはゲーム系を中核に引き続き強化していくが、グループ会社のソニーピクチャーズ、ソニーミュージックを巻き込み“ゲーム以外のVRコンテンツ”を今年は強化していく。できればソニー以外のコンテンツプロバイダーにも合流して欲しい。そして少し先の話だが、BtoBでも積極的にパートナーを見つけたい。VRの様々な可能性を具体的に探りはじめることになる一年になるだろう」。

PS VRは品切れ状態が続く大ヒットを記録

VRは一般のコンシューマーがコンテンツを撮影・編集して、PlayStationのVRプラットフォームで楽しめるようになればベターだ。可能性はあるのだろうか。平井氏は次のように答えている。

「確かにコンテンツ製作の方面でも、コンシューマーが手軽にVR映像を撮影して楽しめることは大事だ。しかしながら、これはなかなか難易度が高い問題。たくさんの4Kカメラを球体につないだり、映像を貼り合わせて全天球のVR動画をつくったりと、ユーザーにとって手間のかかることはなるべく避けたい。今年よりも少し先の時点で取り組みたい課題として考えている」。

「フロント側もダブルレンズ」のXperiaがあってもいい

デジタルイメージングは、ソニー自身がαやサイバーショット、アクションカムにXperiaなどカメラ関連の製品を展開する際の主軸事業だが、一方でデバイスを外販して稼ぐビジネスも大事な収入源になっている。自社のデジタルカメラ商品については「ハイエンド商品はかなりの好評を世界中でいただいている。今後もプレミアムモデルにこだわりながら、レンジ展開を積極的にやりたい」と平井氏は引き続き注力していく姿勢を示している。

VR同様、HDRコンテンツも一般ユーザーカメラを携えて撮影し、ブラビアで見ることができたら盛り上がるはず。ソニーに作戦はあるのだろうか。平井氏は「具体的なことはまだ言える段階にはない」としながらも、カメラの正常進化の延長線上に位置づけながら、HDR対応を「何らかのかたちで実現したい」と意欲をみせた。一方で、そのために現状で必要になるコストの大きさ、大容量ファイルをさばく手段などの課題をクリアにすることも必要であると指摘した。

昨年はアップルのiPhone 7 Plusが、メインカメラに2つのレンズユニットを搭載する“2眼”仕様となって注目された。それ以前からHUAWEIやASUSもダブルレンズのカメラユニットを備えたスマホを手がけ、新しいフォトイメージングによる“感動”にスポットを当ててきたのだが。「ソニーはどうする?」という記者からの質問に、平井氏は興味深い回答を返してみせた。

「おかげさまでソニーのイメージセンサーであるExmor RSを採用していただくメーカーが増えている。ダブルレンズがブームになれば、当社にとっては断然“2度おいしい”というわけだが(笑)。一方で昨今は、スマホ市場の伸びが若干鈍化している地域もあると伝えられている。ダブルレンズのインパクトは基本的にポジティブであると見ているが、全体のパイとしては少ないかもしれない。これからスマホメーカーがどうメリットを打ち出していくか、そしてそれが浸透していくかを注視しなければと思っている」。

「当然ながら『じゃあソニーのXperiaはどうなんだ』と切り返されるだろう。ご存知の通り、今のXperiaはすべて単眼だが、今後どんなモデルを展開していくかについては様々な検討をしている。あくまで私個人の見解として聞いて欲しいが、もし仮に『インカメラもダブルレンズ』なスマホがあれば、セルフィーなどいろいろな面白いことができるのではと思っている。スマホの楽しい使い方が提案できるだろう。まだちょっと先の話ではあるが」。

「音のソニー」というイメージを粘り強く全世界に浸透させる

当サイトの読者であればご存知の方もいるかもしれないが、ソニーは北米市場で一度、iPodに押されて“ウォークマン”をほぼ撤退してしまった過去がある。HiFiオーディオのプレゼンスについてもあまり高くない。だから「北米市場でオーディオは苦戦している」と平井氏も素直な見方を示している。ただ、けっして肩の力を落としているわけではない。

「北米マーケットの方々と膝詰めで話していても、『ソニーはテレビ・4Kは好調だ。次はオーディオだね』と言われる。他社のように有名なアーティストにイメージキャラクターとして協力してもらう手も一つだが、それも含めてソニーの『SONY=ハイクオリティなオーディオ』というメッセージを北米のファンに伝えていくためには、方法論よりも先に、まずは私たち自身が腰を据えてメッセージを発していくことが先決。なかなか関心を持っていただけないと言われているハイレゾも、ハードやコンテンツを積極的に揃えて、粘り腰で魅力をアピールしていくことが大切だ。おかげさまで現状ブランドイメージの高いアジア、欧州、中南米のように、北米もいち早くいい方向へ持って行きたい」と答える平井氏の口調は力強い。

次ページ短焦点プロジェクターは北米でうけるのか

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