デノン「PMA-60」にも採用
クアルコムの先進的デジタルアンプ「DDFA」が第二世代に進化。その詳細をキーマンに聞いた
クアルコムの先進的なデジタルアンプ・デバイス「DDFA」が第二世代へと進化。デノン「PMA-60」に搭載されたこともあり、さっそく注目を集めている。今回、クアルコムでDDFAのマーケティングを担当するDamien Vandenbeyvanghe氏にインタビューを実施。DDFAの優位性を改めて確認しつつ、最新世代の進化ポイントについてお話を伺った。
■デノン「PMA-60」に搭載された第二世代DDFAの進化のポイントとは?
優れた音質とコストパフォーマンスが大いに評価され、近年希に見る大ヒットを飛ばしたデノンのプリメインアンプ「PMA-50」(関連ニュース)。その心臓部と言えるキーデバイスが、クアルコム社のフルデジタルアンプ「DDFA」である。
デノンはその後もDDFAを採用した製品を展開。PMA-50の後には、DDFAを軸にさらなる音質強化を図ったネットワークレシーバー「DRA-100」として製品化した。その一方で、Hi-Fiネットワークオーディオプレーヤー「DNP-2500NE」ではヘッドホンアンプ部にもDDFAを採用した。
そしてDDFAは、2016年末に第2世代へと生まれ変わった。それまでのDDFAはデジタル信号処理を担う「CSRA6600」とフィードバックを担う「CSRA6601」による2チップ構成だったのが、新世代「CSRA6620」ではこれが1チップに集約された。すでにデノンはこれを据置型ヘッドホンアンプ「DA-310USB」に採用済みだ。もはやDDFAは単なるデバイスの枠を超え、製品の顔と呼べるほど存在感を増して来た。
そしてこの秋、デノンはPMA-50の後継にあたる「PMA-60」を発表(関連ニュース)。本機も新世代DDFA「CSRA6620」を採用したとのことで、人気モデルの進化版に期待は高まるばかりだ。
今回は、クアルコム社でDDFAのマーケティング担当するDamien Vandenbeyvanghe氏に独占インタビューの機会を得た。改めてDDFAのアドバンテージと、第2世代DDFAの詳細について話をうかがった。オーディオ専業で今年70周年を迎えるデノンがそこまでDDFAに惚れ込む魅力とは? 今後の製品展開は?!
■なぜDDFAはデジタルアンプとして優れた性能を備えているのか
DDFAとは、Direct Digital Feedback Amplifierの略だ。元々はストリーミングラジオ、近年ではaptXで名を知られるなどオーディオ業界とも関連の深い英CSR社が開発した音質重視の画期的なデジタルアンプ技術だ。後にクアルコム社がCSR社を買収したことから、「クアルコム社のDDFA」になった。通信関連の技術および半導体メーカーとして著名なクアルコム社が「なぜ高音質のオーディオアンプを?」と疑問に思っていた読者なら、ここで合点が行ったことだろう。
話が少し横道にそれたが、特徴はその名の通りズバリ「Direct Digital Feedback Amplifier」。「デジタル方式のフィードバック機能を持つデジタルアンプ」という意味で、筆者の知る限り、他に同様の技術は見あたらない。
そもそもアンプにおけるフィードバック(帰還)機能とは、増幅後の出力波形と入力波形を比較して補正を行い、歪(ノイズ)を低減するアイデア。出力を入力に帰還するので、精度が低いと“副作用”もあるが、限られたコストで音質を劇的に向上できる技術として幅広く採用されいる。DDFAは、デジタル技術でクローズド・ループによる高精度なフィードバックを行うことで、複雑で高価になりがちなアナログ方式を上回る高音質を狙っているのだ。
その効果は、クアルコム社が測定データとして明示している。一般的なアナログ方式のフィードバックを採用するアンプのTHD(全高調波歪)特性は、0.01%〜0.1%オーダーで、周波数によっても変化が大きいケースもある。
対するDDFAは全帯域に渡ってTHDを桁違いの0.001%レベルに抑えていることが分かる。グラフは20kHzまでだが、この点をDamien氏に尋ねたところ、20kHz以上も大きく特性が乱れることはなく、ハイレゾにもしっかり対応できるとの回答を得た。20kHz以上の特性については、DDFA自体よりもむしろ、出力段のパワーステージなどセットメーカー側の設計が支配的と考えて良いだろう。
セットのスペック表記では、THD特性は、1kHzの一点で示されることが多く、裏を返せば、1kHzのTHDが低くなるように設計すれば、高性能に見せることもできるので、ユーザーとしては目を光らせたいポイントと言える。
■デノン「PMA-60」に搭載された第二世代DDFAの進化のポイントとは?
優れた音質とコストパフォーマンスが大いに評価され、近年希に見る大ヒットを飛ばしたデノンのプリメインアンプ「PMA-50」(関連ニュース)。その心臓部と言えるキーデバイスが、クアルコム社のフルデジタルアンプ「DDFA」である。
デノンはその後もDDFAを採用した製品を展開。PMA-50の後には、DDFAを軸にさらなる音質強化を図ったネットワークレシーバー「DRA-100」として製品化した。その一方で、Hi-Fiネットワークオーディオプレーヤー「DNP-2500NE」ではヘッドホンアンプ部にもDDFAを採用した。
そしてDDFAは、2016年末に第2世代へと生まれ変わった。それまでのDDFAはデジタル信号処理を担う「CSRA6600」とフィードバックを担う「CSRA6601」による2チップ構成だったのが、新世代「CSRA6620」ではこれが1チップに集約された。すでにデノンはこれを据置型ヘッドホンアンプ「DA-310USB」に採用済みだ。もはやDDFAは単なるデバイスの枠を超え、製品の顔と呼べるほど存在感を増して来た。
そしてこの秋、デノンはPMA-50の後継にあたる「PMA-60」を発表(関連ニュース)。本機も新世代DDFA「CSRA6620」を採用したとのことで、人気モデルの進化版に期待は高まるばかりだ。
今回は、クアルコム社でDDFAのマーケティング担当するDamien Vandenbeyvanghe氏に独占インタビューの機会を得た。改めてDDFAのアドバンテージと、第2世代DDFAの詳細について話をうかがった。オーディオ専業で今年70周年を迎えるデノンがそこまでDDFAに惚れ込む魅力とは? 今後の製品展開は?!
■なぜDDFAはデジタルアンプとして優れた性能を備えているのか
DDFAとは、Direct Digital Feedback Amplifierの略だ。元々はストリーミングラジオ、近年ではaptXで名を知られるなどオーディオ業界とも関連の深い英CSR社が開発した音質重視の画期的なデジタルアンプ技術だ。後にクアルコム社がCSR社を買収したことから、「クアルコム社のDDFA」になった。通信関連の技術および半導体メーカーとして著名なクアルコム社が「なぜ高音質のオーディオアンプを?」と疑問に思っていた読者なら、ここで合点が行ったことだろう。
話が少し横道にそれたが、特徴はその名の通りズバリ「Direct Digital Feedback Amplifier」。「デジタル方式のフィードバック機能を持つデジタルアンプ」という意味で、筆者の知る限り、他に同様の技術は見あたらない。
そもそもアンプにおけるフィードバック(帰還)機能とは、増幅後の出力波形と入力波形を比較して補正を行い、歪(ノイズ)を低減するアイデア。出力を入力に帰還するので、精度が低いと“副作用”もあるが、限られたコストで音質を劇的に向上できる技術として幅広く採用されいる。DDFAは、デジタル技術でクローズド・ループによる高精度なフィードバックを行うことで、複雑で高価になりがちなアナログ方式を上回る高音質を狙っているのだ。
その効果は、クアルコム社が測定データとして明示している。一般的なアナログ方式のフィードバックを採用するアンプのTHD(全高調波歪)特性は、0.01%〜0.1%オーダーで、周波数によっても変化が大きいケースもある。
対するDDFAは全帯域に渡ってTHDを桁違いの0.001%レベルに抑えていることが分かる。グラフは20kHzまでだが、この点をDamien氏に尋ねたところ、20kHz以上も大きく特性が乱れることはなく、ハイレゾにもしっかり対応できるとの回答を得た。20kHz以上の特性については、DDFA自体よりもむしろ、出力段のパワーステージなどセットメーカー側の設計が支配的と考えて良いだろう。
セットのスペック表記では、THD特性は、1kHzの一点で示されることが多く、裏を返せば、1kHzのTHDが低くなるように設計すれば、高性能に見せることもできるので、ユーザーとしては目を光らせたいポイントと言える。