アジア担当が今後の展望を語る
【インタビュー】モニターオーディオが今あえてHi-Fiスピーカーに専念する理由 ー ロクサン買収にも言及
■あえてパッシブスピーカーに専念するという、スピーカーメーカーとしての見識
話は少し逸れるが、ケノン氏によれば、かつてたくさんのスピーカーメーカーが存在したイギリスも現在ではその数をかなり減らしてしまっているらしい。それには日本と同じような事情があって、ハイファイ・オーディオへの関心がかつてに比べると小さくなってきていることが原因だという。特に若い世代においては、スマートフォンとイヤホンで音楽が聴けるからそれで十分という認識である。
そういう中で、驚いたことにモニター・オーディオではBluetooth対応などのいわゆるマルチメディアスピーカーの開発をやめてしまったのだという。日本での取り扱いをやめた、というローカルな話ではなく、本国での開発・生産自体を中止してカタログにも載せなくなった。
「いま売れているからといって安易にヘッドホンやBluetoothスピーカーに取り組むよりは、我々が最も得意とするパッシブ・スピーカーに専念しようということです。ですから、今年はそれで多少売り上げが落ちることはあっても、長い目で見て自分達の一番の強みを打ち出してゆくべきだということです。もう一度原点に返って、本当に高品質なスピーカーを作っていこうと考えています」。
いまの時代にちょっと珍しい話だが、これが見識というものだと思う。大切なのは自分達に求められているものを、しっかり見つめてゆくということである。
■伝統ブランド ロクサン買収の経緯とは?
そこでROKSAN(ロクサン)の話である。2016年12月、モニターオーディオは英国の伝統的ブランドのひとつ、ロクサンを買収したと発表した。ロクサンはわが国においてはアナログプレーヤーが広く知られているが、CDプレーヤーやアンプでも著名なメーカーだ。買収のいきさつは、どのようなものなのだろうか。
「もともとモニターオーディオでは、スピーカー以外のジャンルにも拡張したいと考えてきました。しかしそれがなかなか軌道に乗らないなかで、協力し合うことができる、優れたブランドを探していたのです。そこでたまたまロクサンとの話があって、一緒に歩んでいくことになりました。
ちょうどロクサンは創設者の一人がすでに会社を去り、もう一人が高齢でリタイアしようとしていて、この先について検討していたところでした。そこでモニターオーディオで後を引き継ぐことになったのです。我々の思想を押し付けるつもりはありませんし、ロクサンはロクサンで自由にやってほしいというのが基本的な考え方です」。
買収後に工場をロンドン郊外に新しく設け、ロクサン製品はそこで生産しているという。両ブランドの立場はある意味で対等であり、名刺にもモニター・オーディオとロクサンの名が並べて記してある。これはモニターオーディオのオーナーの考え方であり、英国の伝統あるブランドを大事に残していきたいという意思の表れなのだそうだ。単に条件に合ったブランドを、自分達で都合よく使うといったことではない。伝統ブランドに対する敬意が感じられる姿勢というべきである。
現在ロクサンには、レコードプレーヤーのXerxes(ザークシーズ)とRadius(ラディウス)はもちろん、アンプやCDプレーヤーを内包したBlack、Caspian、K3というシリーズが揃っている。これらが発売されるのは確定しているが、電源トランスをオリジナルの113Vから100Vの日本仕様に変更したバージョンを目下開発中だという。輸入元の話では113Vでも十分音はいいというが、ロクサンとしてはそれでは納得できないようだ。こういう生真面目なところも、昔から変わっていないようで心強い。
◇
今回のインタビューからは、同社の製品づくりに対する真摯な姿勢を改めて確認することができた。Silverの刷新によってさらに充実するモニターオーディオ、日本での展開が年末に予定されているロクサンと、両ブランドの今後に期待したい。
話は少し逸れるが、ケノン氏によれば、かつてたくさんのスピーカーメーカーが存在したイギリスも現在ではその数をかなり減らしてしまっているらしい。それには日本と同じような事情があって、ハイファイ・オーディオへの関心がかつてに比べると小さくなってきていることが原因だという。特に若い世代においては、スマートフォンとイヤホンで音楽が聴けるからそれで十分という認識である。
そういう中で、驚いたことにモニター・オーディオではBluetooth対応などのいわゆるマルチメディアスピーカーの開発をやめてしまったのだという。日本での取り扱いをやめた、というローカルな話ではなく、本国での開発・生産自体を中止してカタログにも載せなくなった。
「いま売れているからといって安易にヘッドホンやBluetoothスピーカーに取り組むよりは、我々が最も得意とするパッシブ・スピーカーに専念しようということです。ですから、今年はそれで多少売り上げが落ちることはあっても、長い目で見て自分達の一番の強みを打ち出してゆくべきだということです。もう一度原点に返って、本当に高品質なスピーカーを作っていこうと考えています」。
いまの時代にちょっと珍しい話だが、これが見識というものだと思う。大切なのは自分達に求められているものを、しっかり見つめてゆくということである。
■伝統ブランド ロクサン買収の経緯とは?
そこでROKSAN(ロクサン)の話である。2016年12月、モニターオーディオは英国の伝統的ブランドのひとつ、ロクサンを買収したと発表した。ロクサンはわが国においてはアナログプレーヤーが広く知られているが、CDプレーヤーやアンプでも著名なメーカーだ。買収のいきさつは、どのようなものなのだろうか。
「もともとモニターオーディオでは、スピーカー以外のジャンルにも拡張したいと考えてきました。しかしそれがなかなか軌道に乗らないなかで、協力し合うことができる、優れたブランドを探していたのです。そこでたまたまロクサンとの話があって、一緒に歩んでいくことになりました。
ちょうどロクサンは創設者の一人がすでに会社を去り、もう一人が高齢でリタイアしようとしていて、この先について検討していたところでした。そこでモニターオーディオで後を引き継ぐことになったのです。我々の思想を押し付けるつもりはありませんし、ロクサンはロクサンで自由にやってほしいというのが基本的な考え方です」。
買収後に工場をロンドン郊外に新しく設け、ロクサン製品はそこで生産しているという。両ブランドの立場はある意味で対等であり、名刺にもモニター・オーディオとロクサンの名が並べて記してある。これはモニターオーディオのオーナーの考え方であり、英国の伝統あるブランドを大事に残していきたいという意思の表れなのだそうだ。単に条件に合ったブランドを、自分達で都合よく使うといったことではない。伝統ブランドに対する敬意が感じられる姿勢というべきである。
現在ロクサンには、レコードプレーヤーのXerxes(ザークシーズ)とRadius(ラディウス)はもちろん、アンプやCDプレーヤーを内包したBlack、Caspian、K3というシリーズが揃っている。これらが発売されるのは確定しているが、電源トランスをオリジナルの113Vから100Vの日本仕様に変更したバージョンを目下開発中だという。輸入元の話では113Vでも十分音はいいというが、ロクサンとしてはそれでは納得できないようだ。こういう生真面目なところも、昔から変わっていないようで心強い。
今回のインタビューからは、同社の製品づくりに対する真摯な姿勢を改めて確認することができた。Silverの刷新によってさらに充実するモニターオーディオ、日本での展開が年末に予定されているロクサンと、両ブランドの今後に期待したい。