【特別企画】ステレオ/マルチchの音質をチェック
モニターオーディオ「新Silverシリーズ」を聴く ー 旗艦機のDNA継承で進化したミドル級スピーカー
モニターオーディオは、同社の中核となるスピーカーシリーズ「Silver」を4年ぶりに刷新。第6世代となる新Silverシリーズをこの秋から発売した。今回は大橋伸太郎氏が、Silverシリーズをステレオ/マルチchの両方でチェック。進化の度合いをチェックした。
■モニターオーディオの中核ライン「Silver」の第6世代モデルが登場
英国Monitor Audio(モニターオーディオ)のSilverシリーズが全面刷新され、9月1日から発売された。Silverシリーズは同ブランドのミドルクラスに位置付けられるが、モニターオーディオのスピーカーの中では日本国内で最も数が売れているモデルでもある。
新しいSilverシリーズに注目すべき理由は、人気モデルの全面刷新というだけではない。同社は昨年、フラグシップモデル「Platinum」を9年ぶりに刷新して「Platinum II」を発売した。今回のSilverは新フラグシップ登場後では初のレギュラーライン刷新であり、Platinum IIの開発で得た技術リソースが、この新Silverに多数投入されたのである。
2006年に最初のPlatinumが誕生し、その後に上級ライン「Gold」をはじめ同社のレギュラーラインの音質が躍進したのはご承知の通り。このような旗艦モデルからの技術継承によるレギュラーラインの飛躍的な進化が、新Silverで再現されることに期待が高まるのも当然といえよう。
今回のリジェネレーションでSilverはフロアスタンディング型3機種、ブックシェルフ型2機種、ダイポール型1機種、センタースピーカー2機種、サブウーファー1機種の全9機種展開となった(モデル一覧と価格)。これはモニターオーディオの全ライン中で最大の陣容だ。さらには、新Silverで最も小型のブックシェルフ型「Silver 50」はRadiusシリーズを除けば同社製品中で最小であり、最も大型の「Silver 500」はPlatinum IIをのぞけば最大サイズとシリーズ展開の幅も広い。このあたりからも、新Silverが名実ともに現在のモニターオーディオを体現していると言えるだろう。
■最新フラグシップ「Platinumu II」から技術要素を継承しつつ、全面刷新を実現
Platinumu IIから継承された技術要素中心に、第6世代Silverに加えられた主な変更点を見て行こう。サブウーファーを除く全機種に共通する25mm Gold C-CAMトゥイーターは、従来ではフェライトだったマグネットをネオジウムに変更。薄型プレートのマグネットを採用することで、磁界を強力にすると同時に高域ユニット全体を小型化してミッドレンジとの近接設置を可能にした。また、トゥイーターを覆うアルミのパンチングメタルには凹凸が設けられているが、この工夫を凝らした形状がウェーブガイドの役割をして音の放射特性を最適化するのだという。
ウーファーは、Platinumu IIのDCF(ダイナミック・カップリング・フィルター)をレギュラーラインに採用したのが目新しい。近年のスピーカーはウーファー・ユニットに強度が高くて軽い振動板を用いて、ロングストロークで高速モーションさせることでローエンドを伸ばしてきた。しかし、早く動くのはいいが止めることに難があった。Platinumu IIではそこに着眼してDCFを開発。これはバネのように動くナイロンリングで、ストロークを適度にブレーキする役割を果たす。また、DCFはボイスコイルに直結していてボイスコイルを冷却する役目も担う。
ミッドレンジには、やはりPlatinumu IIの「アンダーハング・ボイスコイル」がレギュラーラインとして初投入された。ボイスコイルがマグネットのギャップ内で常に動作することで高速かつ効率的に動作する。非常にコストがかかるため、新Silverではミッドレンジに限定して採用された。
Platinumu IIからの移植された部分は主にDCFとアンダーハングの2つだが、新Silverでは基本的にユニット、ネットワーク、エンクロージャーの全が新設計された。
モニターオーディオのスピーカーシステムの特徴の1つに、各ユニットをエンクロージャー後方から伸びた1本のテンションロッドで支持することが挙げられる。多くのスピーカーは前面バッフルにフレームをボルトで固定しているが、同社技術陣の見解では、この方法は均一なトルクで固定することが難しく、長年の動作で固定がさらに不均一になってしまう。テンションロッドの場合は、均一の圧力でバッフルに密着させることができ、ムラのない正確な動作が生まれる。
加えて、最近は磁気回路が強大になりそれを支えるバスケットもまたアルミダイカストの採用等で重くなっているので、全体を小径のビスで前面バッフルに止めれば特定の固定個所に大きなテンションがかかり、そのストレスが音質に悪影響を生む。テンションロッドで後方へ引っ張る方式ならば、均等の支持力がかかってテンションの歪みを回避することが可能になるという。
■モニターオーディオの中核ライン「Silver」の第6世代モデルが登場
英国Monitor Audio(モニターオーディオ)のSilverシリーズが全面刷新され、9月1日から発売された。Silverシリーズは同ブランドのミドルクラスに位置付けられるが、モニターオーディオのスピーカーの中では日本国内で最も数が売れているモデルでもある。
新しいSilverシリーズに注目すべき理由は、人気モデルの全面刷新というだけではない。同社は昨年、フラグシップモデル「Platinum」を9年ぶりに刷新して「Platinum II」を発売した。今回のSilverは新フラグシップ登場後では初のレギュラーライン刷新であり、Platinum IIの開発で得た技術リソースが、この新Silverに多数投入されたのである。
2006年に最初のPlatinumが誕生し、その後に上級ライン「Gold」をはじめ同社のレギュラーラインの音質が躍進したのはご承知の通り。このような旗艦モデルからの技術継承によるレギュラーラインの飛躍的な進化が、新Silverで再現されることに期待が高まるのも当然といえよう。
今回のリジェネレーションでSilverはフロアスタンディング型3機種、ブックシェルフ型2機種、ダイポール型1機種、センタースピーカー2機種、サブウーファー1機種の全9機種展開となった(モデル一覧と価格)。これはモニターオーディオの全ライン中で最大の陣容だ。さらには、新Silverで最も小型のブックシェルフ型「Silver 50」はRadiusシリーズを除けば同社製品中で最小であり、最も大型の「Silver 500」はPlatinum IIをのぞけば最大サイズとシリーズ展開の幅も広い。このあたりからも、新Silverが名実ともに現在のモニターオーディオを体現していると言えるだろう。
■最新フラグシップ「Platinumu II」から技術要素を継承しつつ、全面刷新を実現
Platinumu IIから継承された技術要素中心に、第6世代Silverに加えられた主な変更点を見て行こう。サブウーファーを除く全機種に共通する25mm Gold C-CAMトゥイーターは、従来ではフェライトだったマグネットをネオジウムに変更。薄型プレートのマグネットを採用することで、磁界を強力にすると同時に高域ユニット全体を小型化してミッドレンジとの近接設置を可能にした。また、トゥイーターを覆うアルミのパンチングメタルには凹凸が設けられているが、この工夫を凝らした形状がウェーブガイドの役割をして音の放射特性を最適化するのだという。
ウーファーは、Platinumu IIのDCF(ダイナミック・カップリング・フィルター)をレギュラーラインに採用したのが目新しい。近年のスピーカーはウーファー・ユニットに強度が高くて軽い振動板を用いて、ロングストロークで高速モーションさせることでローエンドを伸ばしてきた。しかし、早く動くのはいいが止めることに難があった。Platinumu IIではそこに着眼してDCFを開発。これはバネのように動くナイロンリングで、ストロークを適度にブレーキする役割を果たす。また、DCFはボイスコイルに直結していてボイスコイルを冷却する役目も担う。
ミッドレンジには、やはりPlatinumu IIの「アンダーハング・ボイスコイル」がレギュラーラインとして初投入された。ボイスコイルがマグネットのギャップ内で常に動作することで高速かつ効率的に動作する。非常にコストがかかるため、新Silverではミッドレンジに限定して採用された。
Platinumu IIからの移植された部分は主にDCFとアンダーハングの2つだが、新Silverでは基本的にユニット、ネットワーク、エンクロージャーの全が新設計された。
モニターオーディオのスピーカーシステムの特徴の1つに、各ユニットをエンクロージャー後方から伸びた1本のテンションロッドで支持することが挙げられる。多くのスピーカーは前面バッフルにフレームをボルトで固定しているが、同社技術陣の見解では、この方法は均一なトルクで固定することが難しく、長年の動作で固定がさらに不均一になってしまう。テンションロッドの場合は、均一の圧力でバッフルに密着させることができ、ムラのない正確な動作が生まれる。
加えて、最近は磁気回路が強大になりそれを支えるバスケットもまたアルミダイカストの採用等で重くなっているので、全体を小径のビスで前面バッフルに止めれば特定の固定個所に大きなテンションがかかり、そのストレスが音質に悪影響を生む。テンションロッドで後方へ引っ張る方式ならば、均等の支持力がかかってテンションの歪みを回避することが可能になるという。