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【特別企画】ステレオ/マルチchの音質をチェック

モニターオーディオ「新Silverシリーズ」を聴く ー 旗艦機のDNA継承で進化したミドル級スピーカー

公開日 2017/09/22 20:31 大橋伸太郎
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ホームシアターのサテライト用のダイポール/バイポール型スピーカーも継続。「Silver FX」は150mmC-CAM RST(バス/ミッド)ドライバー中心の2ウェイ3スピーカー。クラスD500Wアンプ内蔵し300mmC-CAMドライバーのサブウーファー「Silver W12」も用意される。

全機種の高域ドライバーには25mm Gold-dome C-CAMトゥイーターを共通して搭載する。C150/C350、FX、W12は密閉型エンクロージャーだが、それ以外はすべてリアバスレフ型となる。また全機種でインピーダンスが8Ωに統一された。

Silver 300/100をステレオ再生 ー 従来機からの大幅な進化を実感した

新Silverの試聴は音元出版の第1試聴室で行った。まずはステレオ再生を確認する。新しく追加のスリムラインは次回以降のテーマとして、今回はフロア型/ブックシェルフ型の中核機種「Silver 300」「Silver 100」をステレオ再生した。

いずれも従来モデルで最もよく売れた機種の後継だが、通常サイズのエンクロージャーなのにスリムに見える。横幅は旧製品と同じなのにだ。脚部の横に張り出した形状(アウトリガー・フィート)と、ミッド/バスのC-CAMドライバー振動板のアノダイズ処理が落ち着いた色調になったことも作用しているかもしれない。


シリーズ中の中核モデルといる「Silver 300」(価格は335,000円、ハイグロスブラックのみ360,000円/ペア・税抜)をステレオ再生で確認
Silver 300とSilver 100の音質は、1世代前から大きく変わった。その音をサマライズするなら、素直でハイスピード/ハイレスポンス。周波数レンジのプロポーションが整った自然な佇まいの音だ。従来のSilverシリーズには中低域にややふくらみが、高域にはまぶしたような輝き感があった。その音質が好きな方には嵌まるが、好みではないという方もいただろう。対して新Silverではスケールの大きい伸び伸びした端正なバランスに変わった。癖というものがないニュートラルなバランスだ。そこにはPlatinumu IIの大いなる影響がある。

まずはSilver 300。田部京子の弾く『ベートーヴェン・ピアノソナタ 30番31番32番』(SACDシングルレイヤー)は、明晰で抜けのよい鮮度の高い表現。帯域バランスの演出がなく、音に曇りがない。録音スタジオでダイレクトにライブを聴いているような表現だ。

キップ・ハンラハンのニューヨークラテン『ビューティフル・スカーズ』(SACDシングルレイヤー)は、パーカッションやエレキベースなど低音楽器中心の構成のラウドな音楽だが、奥行きの深い鮮明な音場が描き出される。肝心のベースは重く太いが膨満せず滲まず、金属的な量感とくっきりした輪郭表現を兼ね備える。

ムーティ指揮シカゴ交響楽団のプロコフィエフの舞踏組曲『ロメオとジュリエット』は、ローエンドが自然に伸び、高域まで帯域バランスの整ったプロポーションの良い音だ。編成の多いオケ曲では、特定の帯域が強調されないSilver 300の特徴が活き、演奏が鮮明で音場全体の見通しがいい。バスドライバーへのDCF投入の成果だろう、音の立ち上がり立ち下がりのスピードが早い。

ここからハイレゾ音楽ファイルを再生する。高橋アキの弾く『プレイズ・サティ』(FLAC192kHZ/24bit)のワルツでは、左手が担う低音の音符の長さの正確さ、音程と量感に溜飲が下がる。ファツィオリらしい倍音の伸びと響きのスピードにGold C-CAMトゥイーターのマグネット改善の効果を実感。アンナ・ネトレプコの『ヴェルディ・ヒロイン』(FLAC96kHz/24bit)はソプラノ帯域、つまり中高域の鮮度と解像感の躍進が目覚ましい。声をマスクするもの(歪みやノイズ)がないので、音の視界が曇ることなく歌い手が目の前数メートルにすっくと立っている。

次ページマルチch再生では音色の統一と優れたスピードでリアルな空間を描く

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