「日本のお客様が我々を突き動かす」
完全ワイヤレスイヤホンも開発中、ソフトへの投資で未来を創る。ゼンハイザーCEO アンドレアス・ゼンハイザー氏インタビュー
アンドレアス氏:プリザーブ(維持する、守る)というのは、オーディオファイルのお客様の求めるものに対して、忠実でありたいということです。
この分野では、すでに我々には伝説的な製品群がいくつかあります。これらの製品群を、より前に進めていく、より良いものにしていくということをしていきます。現状維持に甘んじるつもりはありません。一方でこれらの製品群は、さきほどお話ししたAMBEOなどと比べると、革新のスピードはそれほど速いものではないということも理解しています。
■日本のお客様が我々を突き動かしている
−−中国など、日本以外の東アジア市場についてはどうお考えですか?
おもしろい質問ですね。一口にアジアと言っても、とても多様性がありますし、とても広いです。
たとえば中国については、非常に重要なマーケットと捉えています。我々は約20年前という早い段階で参入し、いまでは市場がかなり成熟してきました。ドイツのハイクオリティなモノづくりが評価されています。ただし日本のように、音質が基準に達しているかどうかをテストする場ではないと認識しています。そのほかフィリピンやインドネシアなどの国も、これからの成長が期待できる地域だと考えています。
−−話題を変えて、日本の販売店に対する印象をお尋ねします。この数年で日本の販売店はガラリと変わりました。以前はガラスケースに製品が入っていたのが、いまでは手軽に手に持って、音を楽しめるようになっています。こういった変化についてどうお感じですか?
アンドレアス氏:全世界的に同じ傾向があると思います。我々にとって、すごく良い傾向だと考えています。製品の素材、質感などのディテールなどを、実際に触って試し、購入するべきかどうかをジャッジできます。もちろん、音質について試せるのも素晴らしいことですね。
−−日本には販売店さんが開催する、大きなヘッドホンイベントがあります。それについてはご存じでしょうか。またどういった印象をお持ちでしょうか。
アンドレアス氏:もちろん知っています。大変規模の大きなものですよね。私は、こういったイベントをほかの国にも展開したいと考え、そういう提案を実際に行っています。たくさんの製品を試せるというのも素晴らしいですし、我々で言えば「HE-1」のような、なかなか店頭で体験できないような製品をお試しいただける良い機会だと捉えています。
−−最後に、日本のエンドユーザーに向けてメッセージをお願いします。
アンドレアス氏:日本のお客様に大変感謝しております。感謝している点は2つあります。1つは、我々の高級な製品がみなさまの期待に応えられ、ご購入いただけているということに対してです。もう1つは、日本のお客様が我々を突き動かしているという事実です。ゼンハイザーというメーカーを進化させてくれているのです。
私は日本のお客様について、作った製品をご購入頂くという関係だけでなく、我々自身が学ばせていただいていると考えています。これからもゼンハイザーをよろしくお願い致します。
−−色々と新しい情報が飛び出し、今後がますます楽しみになってきました。本日はありがとうございました。