自身のスタジオでTD712zMK2を使用
BOOM BOOM SATELLITES 中野雅之さんが語る、ECLIPSEをモニタースピーカーとして使う理由
ーー ECLIPSEのスピーカーはこれからも進化していくと思いますが、これからのECLIPSEに対して要望はありますか。
それはありますよ。すごくいいスピーカーだと思うゆえに、パーフェクトなツールになってほしいなと思うのです。モニタースピーカーとしての基準で考えると、ECLIPSEもまだ周波数バランスのバラつきが大きいと感じます。これでもまだオーディオ的というか。
最近のモニタースピーカーはよくしつけられていて、±1dBの中に30Hzから25kHzまでぴたりと収まっているというモデルもあります。このようなフラットさのおかげで、「ここが多い」「ここが少ない」「ここはいらない」といったことが見えてきて、自分の作っている音楽の間違いに気づけるのです。
その点でECLIPSEはまだ、当たりまえの話ですけどピュアオーディオとして作られていると思います。だから粗探しに失敗するときもありますね。周波数特性がぴたっとそろってきたらなおいいなと。そういうものなら何年でも待とうかなと思っています。
ーー ベスト盤をリマスターされた際には、20年分のキャリアをECLIPSEのスピーカーで聴き返すことになったと思います。そのときに、どのようなことを感じたり、考えられたりしたでしょうか。
若いときは勢いだけでひっちゃかめっちゃかだったりするんですが、それが逆に曲にエネルギーを与えていることもあったなと。成熟してきたときに、会心の出来のものがあったり。曲はいいけど、録音とミックスがなかなか苦戦しているなっていうものがあったり。マスタリングは本当に自虐的な作業なんです。
思ったのは、続けていくことで見えてくることがあるということです。最後までやりきることは尊いなと思いましたし、BOOM BOOM SATELLITESというバンドが終わったわけですが、僕の音楽のキャリアはまだまだ続いていくわけで。まだ成長過程にあると思っていますし、もっと自分の技術を高めていきたいし、感性も高めていきたいし、それによって皆さんを楽しませることっていうのをもっと、やっていきたいなと思います。そういう、ある意味で一回総括してスタートラインに新たに立ったなっていう作業でした。
ーー 最後にECLIPSEユーザーのみなさん、そしてHi-Fiオーディオのファンのみなさんにメッセージをいただければと思います。
偉そうなことを言うつもりは全然ないのですが、音楽が僕の手を離れたら、それはもう音楽ファンのものであり、スピーカー側のものなのだと思います。WAVファイルであってもCDであっても全てデータ化された音楽を再生するわけで、そのデータの中には、作り手の息づかいやある種の考え、たくさんの思いが含まれているわけです。だからこそ、なるべく多くの情報量を引き出して、それらを感じ取ってもらいたいし、それが音楽の醍醐味だと思います。そのような環境で聴いてもらえるのが、僕が望むことです。思う存分、音楽が楽しめる環境を手に入れてほしいなと思います。
(インタビュー:PHILE WEB 小澤貴信 PHOTO:君嶋寛慶)
profile
中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)
1997年に川島道行とBOOM BOOM SATELLITESを結成。エレクトロニックとロックの要素を取り入れながら新しい未知の音楽を創造し続け、ヨーロッパR&Sよりリリースされた12インチシングルをきっかけに、数々のヨーロッパ大型ロックフェスティバル、海外ツアーを敢行し多くのメディアに大絶賛される。日本国内の大型フェスではメインステージでのアクトを務め、オーディエンスに衝撃を残し、ライブバンドとして高い評価を受けた。 2016年川島道行が脳腫瘍により逝去。2017年6月にラストライブを開催し、2018年3月ラストライブを収めた映像の発売をもって活動を終了した。BOOM BOOM SATELLITESの活動停止後はプロデュース活動を開始。様々なアーティストのプロデュース、アレンジを手がける。
<最新アルバム情報>
LIVE Blu-ray『FRONT CHAPTER−THE FINAL SESSION−LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』初回限定版
2017年6月18日に新木場スタジオコーストにて開催されたライブ『FRONT CHAPTER−THE FINAL SESSION−LAY YOUR HANDS ON ME SPECIAL LIVE』の映像パッケージ
発売日:2018年3月14日
1. LAY YOU HANDS ON ME
3. BLIND BIRD
4. KICK IT OUT
5. A HUNDRED SUNS
6. BACK ON MY FEET
7. MORNING AFTER
8. NINE
9. DRESS LIKE AN ANGEL
10. STAY
11. FLARE
12. STARS AND CLOUDS
13. NARCOSIS
本記事はECLIPSE公式サイトに先行して掲載された記事を掲載したものです。ECLIPSE公式サイトの記事はこちら。