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開発者インタビュー「常に完璧を目指す」

Shureの新Bluetoothケーブル「RMCE-BT2」、“ワイヤード並みの音質” はこうして生まれた

公開日 2018/11/15 06:00 インタビュー:SP DIVISION 平野勇樹/構成:PHILE WEB編集部 川田菜月
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私たちはワイヤレスマイクやIEMなど、プロユース向けのワイヤレスシステムを製品開発をしていて、この分野において間違いなく世界トップのメーカーであり、世界最高の技術者が在籍していると自負しています。

トーマスも元々iOS端末向けLightning直結型マイク“MOTIV”「MV88」の開発者で、イヤホンやマイクなど製品カテゴリーを超えて、Shureの中で多くの技術・ノウハウが共有されています。もちろん通信設計についても最高技術を持ったチームが在籍していて、彼らにもチェックしてもらうこともできますし、そうした点は他メーカーと比べても優位なアドバンテージだと思います。

Lightning直結型マイク“MOTIV”「MV88」の開発をしていたトーマス氏。現在はイヤホンカテゴリーを担当している

左側は筆者の使用している製品版、右側はトーマス氏が所有している製品として量産する前の最終プロトタイプ。マイク部や回転機構など、若干素材が異なっている。トーマス氏は常に持ち歩いているとのことで、ロゴもだいぶ薄くなっている

ーー そうすると、Shureが完全ワイヤレスイヤホンを作れば素晴らしいものができますね。

ショーン氏:現時点では予定はありませんが、プロユース向けの製品開発で培ってきた電波管理の技術はもちろん応用できますし、先ほども言いましたが、我々は世界最高の技術を持っていると考えています。今後も市場のお客様の声を聞きながら期待に応える製品を開発していきたいと思っています。

ーー ありがとうございます。さて、独自設計の高性能ヘッドホンアンプを搭載したことで、バッテリーも大きくなっているかと思います。そのあたりも詳しく教えていただけますでしょうか。

ショーン氏:はい、バッテリーについてはサイズも容量も大きくなっています。アンプ部の高出力を実現するためには容量を増やす必要がありましたので、今回は200mAhのバッテリーを搭載しています。スタンダードモデルのRMCE-BT1と比較すると、おそらく約1.8倍くらい大きくなりました。これによって、駆動力の向上とともに、連続再生時間も最大10時間まで可能となり、従来からパワーアップしています。

ーー デザイン面も従来から少し変わりましたね。

ショーン氏:そうですね、デザインについては、RMCE-BT1の市場での反応やフィードバックを受けて、RMCE-BT2の設計に生かしました。今回はシンメトリー設計にしています。前回はケーブルを後ろ側にして襟元にくっつけるイメージで設計し、装着用のクリップを同梱しましたが、取り外しを繰り返すことで割れてしまうケースも少なからずありました。

今回は前側に垂らしてつけてもバランス良く、よりシンプルなクリップ式としたことで、シャツの襟元や胸元など様々な場所につけやすくなっています。また強度も向上しているので、耐久性にも優れています。

シンメトリー設計とし、前側に垂らしても不自然にならないよう配慮したという

クリップ部もよりシンプルに。襟元や胸元等、様々な場所につけやすく改良されている

ーー ではここから、RMCE-BT2のコーデックについてお伺いします。今回ハイレゾ相当のaptX HDが採用されていますが、高品位なコーデックを安定して伝送するために工夫されたことはありますか?

ショーン氏:プレミアムモデルと位置付けるRMCE-BT2では、ハイエンドコーデックを採用することは決めていて、結果としてaptX HDのサポートが必要と判断し、今回の仕様となりました。

コーデックについては、高い数値や高品位とされるものが良いというイメージが市場に広がってきましたが、実際の聴こえ方としては再生機器側の性能も大きく影響します。特にアンプ部が貧弱だったりすると、決して良いサウンドは流れません。ハイエンドコーデックを採用することはもちろん大事ですが、ワイヤレスの音質向上にはやはりアンプ部を強化することが重要だと考えています。

また企画当初は、たとえばHWAといったコーデックは存在していなかったですし、最近では非常に早いサイクルで新たなコーデックが登場しています。Shureとしてはもちろん、常に市場の動きを注視して研究を行っています。その中で、市場におけるユーザーの要望をしっかり汲み取り、製品へ反映させていくことがShureのやるべきことだと考えています。ですので、将来的にワイヤレス製品を拡充していくにあたっても、コーデックのためだけに新製品を開発することはありません。

ーー コーデックについて、例えばアプリを使って再生コーデックを切り替えられるなどといった方法は、Shureとして検討されていますか?

トーマス・バンクス氏:コーデック切り替えというのは現時点で考えていませんが、アプリは現在準備中で、Android版アプリではβ版の「ShurePlus PLAY」が公開されています(β版はこちら)。

ハイレゾ対応のプレーヤーアプリで、様々な音楽ファイル形式をサポートする予定です。並べ替えや検索が可能なライブラリやプレイリスト作成のほか、ユーザーがカスタマイズできるイコライザー機能も備えています。もちろん、イコライザー設定はShureとしてしっかり作り込んでいます。

ハイレゾ対応のプレーヤーアプリ「ShurePlus PLAY」も準備中とのこと。Android製品であればβ版がダウンロード可能で、先に試すことができる

ワイヤレスイヤホンの音質を決める一つとして、再生ソースにあたるアプリも重要だと捉えています。もちろん、ShurePlus PLAYはプレーヤーアプリなので、Bluetoothだけでなくワイヤードイヤホンにも対応可能です。現在はまだβ版で完成状態ではありませんが、ぜひ使っていただき、フィードバックいただきたいと思っています。

ーー こちらの完成版の公開を楽しみにしています。さて、従来のRMCE-BT1は、今年6月からSEシリーズイヤホンとセットになった同梱モデルの販売もされています。RMCE-BT2については予定はありますか?

ショーン氏:同梱する予定はありません。RMCE-BT2はプレミアムモデルとして位置付けていますので、さらなるクオリティー向上を求めるユーザーにオプションとして提供する製品と考えています。LightningケーブルやUSB Type-Cケーブルも同様の考え方で、これらにも独自設計のアンプを搭載しています。

3.5mmケーブルとBT1(写真左側の2つ)がスタンダード、Lightning/USB-TypeCとBT2(写真中央の3つ)がプレミアムモデルという位置付け

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