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ヤマハ浜松本社で開発陣に詳細を聞いた

デジタルアンプ「DDFA」を世界初採用したサウンドバー。ヤマハ「MusicCast BAR 400」の魅力に迫る

公開日 2018/11/30 06:15 鴻池賢三
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まずはスマートフォン内のCDクオリティ音源をLAN経由で2ch再生。Jane Monheitの「I Won’t Dance」は、従来の同クラスのサウンドバーとは一線を画す堂々とした鳴りっぷりが見事。どっしりとした安定感が心地良く、安心して音に浸れるのはハイファイオーディオに通じる美点だ。

研究開発拠点「イノベーションセンター」内の試聴室で本機を聞いた。なお、同施設内は直近の改装に伴い、試聴室をHi-Fi向け、シアター向けなど合計5つも用意。この部屋もそのうちのひとつとなっている

この「安定感」や「安心感」は、サウンドクオリティと結びつかないように感じるかもしれないが、筆者の経験上「歪」が大きく関係する。歪の少ない音は、「キレイ」あるいは「透明感」といった直接的な印象だけでなく、ヒトの感官に違和感を与えないことで、安らぎが得られるものだ。本機の場合、DDFAを源に、先述のような電気設計や機構設計上の工夫を積み重ね、ヤマハならではのサウンドクオリティを実現していると感じた。

MusicCast BAR 400の音質チェックを行う鴻池氏


クリアな音がバーチャルサラウンドの効果を引き出す

サラウンドサウンドはBD映画作品でチェック。バーチャルサラウンドによる立体感は圧巻。フロントスピーカーのみで360度から空気に包み込まれる感じと、効果音の鮮明な移動が味わえる。音の軌跡がみえ、定位が明瞭で距離感の変化も目に浮かぶかのようにリアルなのだ。

スポーツ、ゲーム、ムービーといったモードを選ぶことができる

このリアスピーカーかあるかのような驚くべき効果の根源をヤマハ技術陣に尋ねると、情報量の豊かさによるという。セット全体で目指した「クリアな音」は、歪が少なく、言い換えるとソースに含まれる情報を濁さずに出力。結果、バーチャルと言えども、プロセッシングによって生み出された立体効果がより高く引き出されるようだ。また本機は高さ方向を含む3Dサラウンド技術「DTS Virtual:X」にも対応していて、アトモス収録コンテンツにいたっては、頭上の空気が濃くなるかのような包囲感が体感できた。


同社Wi-Fiスピーカーをワイヤレス接続してサラウンド再生も

さらに、MusicCast SURROUND機能を利用したMusicCast20を2台あるいはMusicCast50一台をリアL/Rスピーカーとして用いるリアル5.1chサラウンドも体験。どちらもリアルサラウンドとしてスイートスポットが広くなる効果が得られた。ワイヤレス接続なので気軽にステップアップできるのも面白い。

MusicCast50

MusicCast20

余談だが、バー部とサブウーファーの繋がりも絶妙。音場を濁すことなく、空間の広がりが得られるのに加え、セリフあるいはボーカルを肉厚にサポートしてくれる。この進化を開発陣に伝えると、DDFA部分とは別ながら、クアルコム社のオーディオSoC「MAPX」(関連ニュース)でクロスオーバーのエンベロープを繊細に調整することができ、聴感テストを繰り返して徹底的に追い込んだ成果という。田中氏によると「細かな調整ができる分選択肢が増えたが、納得が行くまで追い込めた」とのことなので、ユーザー諸氏はこの点にも是非耳を傾けて欲しい。



世界初でクアルコム社のフルデジタルアンプ「DDFA」を搭載したヤマハのサウンドバー「MusicCast BAR 400」。同社が追求する「クリア」な音を更にステージアップし、オーディオとしても向き合えるクオリティーに到達しているのが印象的だった。これはDDFAの優れた特性に加え、その良さを理解して開花させたヤマハ技術力のシナジー効果と言えるだろう。

今後の製品でDDFA採用予定を商品企画の佐藤氏に尋ねたところ、「MusicCast BAR 400の初動は好調で、世界各所からの評価も上々。DDFAの採用は製品の性格に応じて前向きに検討したい」とのことだった。

デジタル技術が切り拓く新しいホームシアターの世界。今後もDDFA採用製品の広がりに注目したい。

(鴻池賢三)

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