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開発者インタビュー<前編>

物量も技術もケタ違いのポータブルプレーヤー。ソニー「DMP-Z1」の中身はもはやハイエンドオーディオだった

公開日 2019/01/22 06:00 山之内 正
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動作時間についてはどうだろう。DMP-Z1はデジタル回路とアナログオーディオ回路で独立した充電池を内蔵し、アナログオーディオ側は正負別々に計4個(2セル×2)という贅沢な構成を用いている。それによって実現した9時間(ハイレゾ音源)という動作時間は、日中の時間を充電なしでフルに使えることを目安にしたもので、目標通りの数値だという。

さらに大型の充電池を内蔵すれば動作時間は伸びるが、持ち運ぶ場合の現実的な筐体サイズを超えてしまうだろう。使いやすさも考慮した結果、電池の構成と容量が決まったのである。また、本機は2段階のゲイン切替のハイゲイン側で1500mWの高出力を実現しているが、もちろんそれは電池駆動でもクリアしている。


DMP-Z1の内蔵バッテリー。最大で1500mWという高出力を実現する


アナログオーディオ回路に配置された電気二重層コンデンサー
充電池としての性能や信頼性については設計の佐藤浩朗氏が説明してくれた。「この充電池はソニーの小型Bluetoothスピーカーと同じものを使っています。その製品の開発段階ですでに性能の検証ができているので安心して採用することができました。充電池を安定して供給するためには本来は大量に作る必要がありますが、Bluetoothスピーカーに使っているということで、その点でも不安はありません」。

プレーヤーとアンプの一体化、そしてバッテリー駆動という2大特徴はウォークマンをはじめとするポータブル型のデジタルオーディオプレーヤーも同じ。しかし、ウォークマンを室内リスニングの再生機として使う場合は、ローインピーダンスで高感度なヘッドホンやイヤホンを組み合わせるなど、用途を割り切る必要がある。

ハイインピーダンス型のヘッドホンからも十分な音圧とエネルギーを引き出すためには、やはりそれに見合う電源回路や余裕のある部品を積む方が有利なのは当然と言えば当然。DMP-Z1はそこを突き詰めたことが、ポータブル機との一番大きな違いなのだ。


DMP-Z1を専用ケースに納めたところ。高級楽器ケースのような豪華なハードケースが同梱される


専用ケースを携える山之内氏

アナログ4連ボリューム
カスタムされた4連アナログボリュームの効果は想像以上だった

大型部品と言えば、DMP-Z1で一番の存在感を示している4連アナログボリュームを見逃すわけにはいかない。これは今回注目する3つ目のポイントで、音質改善への貢献も大きいと思われる。電子ボリュームではなくボリュームを採用したのはなぜなのか。


DMP-Z1のボリューム部。天板からボリュームが覗けるデザインとなっている
「DMP-Z1はアナログアンプを採用しているので、デジタルアンプを積む製品とはボリューム回路の構成が異なります。普通なら電子ボリュームを使うのですが、そうすると電流と電圧が大きくなってしまい、バッテリー駆動では難しくなります。

実はかなり以前からアナログアンプについても様々な検討を行っていたのですが、そのなかで電子ボリュームとロータリーボリュームの違いも検証しました。パッシブのロータリー型は電力も使わないし、細かい調整もできます。そこで最初からロータリーボリュームでやると決めていたのです」(佐藤氏)。

「既存の回路につなぐだけで、びっくりするぐらい音が違うんです。このアナログボリュームの音を一度でも聴いてしまうと、もう他のものには変えられないと思いました。鏡面仕上げの抵抗体を74本のブラシがこすって回っているという感触もロータリーエンコーダーでは真似ができません。ただし、サイズは大きいです。このボリュームの大きさで筐体の高さが決まりました」(田中氏)。

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