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ビンテージと最先端の融合

デジタルの先端、クアルコム幹部がアナログオーディオに魅了された理由。超こだわりシステムを拝見!

公開日 2019/02/01 06:00 季刊・アナログ編集部/ファイルウェブ編集部:小澤
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“ヴィンテージの音”ではなく感情豊かな音楽を再現

今回の訪問では、たくさんのレコードを聴かせていただいた。「ぜひあなたの意見を聞かせて欲しい。改善すべきと思うところがあれば、ぜひ教えてもらいたい」と話すキャシーさんは、世界的企業のキーマンとは思えない気さくさだ。

その音は、発売されてから半世紀が経過しているアンプとは思えない鮮烈なもので、細部まで描き込まれた高解像度かつ緻密で立体的な音場表現は、まさに現代のハイエンドオーディオの世界そのものだ。一方で重心のぐっと下がった、血の通った質感も感じられる。キャシーさんは繰り返し“ヴィンテージと現代の融合”と言っていたが、この音を聴けば、その意味が理解できた。

レコードコレクターでもあるキャシー氏は、レコードクリーナーにもこだわっている。コンディションに応じて2種類のクリーナーを使い分けている

「ヴィンテージを使っていると60年代の音を再現するのに固執してしまいがちですが、一番重要なことは、いかにして感情豊かな音楽を眼前に再現するのかということだと考えています」とキャシーさんは語る。

そんな古き良き時代のエッセンスと、現代ならではの最先端のセンスが同居したサウンドを実現する上で、日本のオーディオショップの協力は不可欠だったとキャシーさんは振り返る。世界中を飛び回るキャシーさんが各国から持ち込んだオーディオ機器を、日本の環境に適合させるのもスムーズだったそうだ。「優秀なオーディオショップとスタッフがいるから、短時間でここまでシステムを追求できたんだと思います。オーディオを行うのに、日本は非常に優れた環境だと思います」。

アナログのサウンドは何よりも愛おしい

ここで気になったのは、クアルコムというデジタルテクノロジーの最前線を担う企業のトップが、なぜここまで「アナログ」にこだわるのかということだ。

「技術の発達によって、今後アナログの音をデジタルで再現できる時代も来るかもしれません。でも現時点において、私はアナログレコードと真空管のサウンドが、何より大好きなのです」。

まだまだ理想の音を追求している途上だというキャシーさん。アナログのエモーショナルなサウンドを愛し、それを緻密な分析で追求していく姿は、ひとりのオーディオファンそのものだった。




キャシーさんに聴かせていただいたレコード。膨大なレコードを保管するために、同じマンション内に別室を借りているほどだという。「日本で優れた盤を手に入れるはなかなか難しいです。その点、以前拠点にしていた台湾の方が、レコード収集には良い環境だと思います」とはキャシーさんの言葉

アナログテープも聴かせていただくことができた。同氏のシステムで聴くテープの音はまさに鮮烈
※本記事は「季刊analog」62号所収記事を転載したものです。本誌の詳細および購入はこちらから。

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