新コーデック「aptX Voice」も発表
ついに実現するaptXの96kHz/24bit対応。BTオーディオ用SoCにも新たな動き?クアルコム幹部独占インタビュー
米クアルコムがハワイで開催したプレス発表会でモバイル向けハイエンドSoC「Snapdragon 865」を発表した。最新のチップセットに関わるオーディオ機能の進化について、新コーデック「aptX Adaptive」の96kHz/24bitへの拡張対応や完全ワイヤレスイヤホンへの展開など、オーディオ部門の責任者に詳細を聞いた。
イベント期間中に現地でインタビューに答えていただいたのは、クアルコムのプロダクト・マーケティングディレクターであるジョニー・マクリントック氏だ。今回のインタビューでは主に以下の3つのトピックスについてマクリントック氏に聞いてみた。
・aptX Adaptiveが96kHz/24bit対応になったこと
・TrueWireless Stereo Plus(TWS Plus)の動向
・もう一つの新コーデック「aptX Voice」とは何か
■aptX Adaptiveが96kHz/24bit対応に。Snapdragon 865から
aptX Adaptiveはクアルコムが独自に開発したBluetoothのオーディオコーデックだ。特徴は定められた範囲の中でビットレートをダイナミックに可変しながら音声信号を安定的に、かつ遅延を抑えながら高音質に伝送できるところにある。昨年にクアルコムが開催した発表会でベールを脱いだ現行の「Snapdragon 855」から、SoCの中にオプションとして標準搭載された。
これまで上限は48kHz/24bitに定められていたが、Snapdragon 865から96kHz/24bit対応が始まり、2020年の主力を担う新しいSnapdragonシリーズのSoCに広く展開される。
転送ビットレートの可変幅は現在280kbpsから420kbpsの間でスケーラビリティを確保しているが、新たにボトムは260kbps、上限は640kbpsまで拡張される。昨年に同じイベントでクアルコムのオーディオ部門の幹部を筆者がインタビューした際に、取材に対して「aptX Adaptiveを96kHz/24bit対応にブラッシュアップを図っている。スループットは600kbps前後まで上げることができそうだ」と答えていたコミットメントが1年後に果たされた格好だ。
マクリントック氏が、今回96kHz/24bit対応を実現するに至った経緯を次のように話している。
「aptX Adaptiveは2018年の秋に発表する前に、当初から(96kHz/24bitの)ハイレゾ対応で行くべきか、あるいはレイテンシーをなくすことを優先すべきか決断を迫られました。議論の結果、動画と音声のリップシンク、ゲーミングなど、よりユースケースが多いと考えられるレイテンシーの性能を確保することから優先しました」
「とはいえ、48kHz/24bit対応ということで妥協したわけではありません。24bitのビット深度を確保することが音楽リスニングにとってまず大事であると考えていましたし、実際にワイヤレス再生時にハイレゾ相当の音質体験を得るために、48kHz/24bitでもすでに十分なクオリティに到達できていると言えると思います。ところがやはり、日本はもちろん、欧州ではドイツのオーディオファイルを中心に、aptX系コーデックの音質向上を狙ってほしいという声が継続的に聞こえていましたので、今回新しいSnapdragonから96kHz/24bit対応に踏み切りました」
最大の伝送スループットを640kbpsとした背景は、「開発段階で試聴テストを繰り返して、音楽コンテンツのエッセンスが640kbpsの伝送ビットレートの範囲内で十分に伝えきれることがわかったから」だとマクリントック氏は話している。
イベント期間中に現地でインタビューに答えていただいたのは、クアルコムのプロダクト・マーケティングディレクターであるジョニー・マクリントック氏だ。今回のインタビューでは主に以下の3つのトピックスについてマクリントック氏に聞いてみた。
・aptX Adaptiveが96kHz/24bit対応になったこと
・TrueWireless Stereo Plus(TWS Plus)の動向
・もう一つの新コーデック「aptX Voice」とは何か
■aptX Adaptiveが96kHz/24bit対応に。Snapdragon 865から
aptX Adaptiveはクアルコムが独自に開発したBluetoothのオーディオコーデックだ。特徴は定められた範囲の中でビットレートをダイナミックに可変しながら音声信号を安定的に、かつ遅延を抑えながら高音質に伝送できるところにある。昨年にクアルコムが開催した発表会でベールを脱いだ現行の「Snapdragon 855」から、SoCの中にオプションとして標準搭載された。
これまで上限は48kHz/24bitに定められていたが、Snapdragon 865から96kHz/24bit対応が始まり、2020年の主力を担う新しいSnapdragonシリーズのSoCに広く展開される。
転送ビットレートの可変幅は現在280kbpsから420kbpsの間でスケーラビリティを確保しているが、新たにボトムは260kbps、上限は640kbpsまで拡張される。昨年に同じイベントでクアルコムのオーディオ部門の幹部を筆者がインタビューした際に、取材に対して「aptX Adaptiveを96kHz/24bit対応にブラッシュアップを図っている。スループットは600kbps前後まで上げることができそうだ」と答えていたコミットメントが1年後に果たされた格好だ。
マクリントック氏が、今回96kHz/24bit対応を実現するに至った経緯を次のように話している。
「aptX Adaptiveは2018年の秋に発表する前に、当初から(96kHz/24bitの)ハイレゾ対応で行くべきか、あるいはレイテンシーをなくすことを優先すべきか決断を迫られました。議論の結果、動画と音声のリップシンク、ゲーミングなど、よりユースケースが多いと考えられるレイテンシーの性能を確保することから優先しました」
「とはいえ、48kHz/24bit対応ということで妥協したわけではありません。24bitのビット深度を確保することが音楽リスニングにとってまず大事であると考えていましたし、実際にワイヤレス再生時にハイレゾ相当の音質体験を得るために、48kHz/24bitでもすでに十分なクオリティに到達できていると言えると思います。ところがやはり、日本はもちろん、欧州ではドイツのオーディオファイルを中心に、aptX系コーデックの音質向上を狙ってほしいという声が継続的に聞こえていましたので、今回新しいSnapdragonから96kHz/24bit対応に踏み切りました」
最大の伝送スループットを640kbpsとした背景は、「開発段階で試聴テストを繰り返して、音楽コンテンツのエッセンスが640kbpsの伝送ビットレートの範囲内で十分に伝えきれることがわかったから」だとマクリントック氏は話している。