最大32chのマルチチャンネル処理にも対応
1チップで音声操作もアトモスも。クアルコムのSoC「QCS400シリーズ」が可能にするAVの未来を予測
2019年3月、半導体大手のクアルコム社が、スマートスピーカーやサウンドバー、AVアンプなどオーディオ機器用途に重点を置いたSoC「QCS400シリーズ」を発表した(関連ニュース)。
Amazon AlexaやGoogle Homeといった音声アシスタントが利用できるスマートスピーカー製品が多数登場し、AV機器でも通信機能やボイスアシスタント機能が一大トレンドである昨今、メーカーがより高性能な製品を生み出しやすくする頭脳とも言えるQCS400シリーズの提供は、順当な戦略だ。
一方、QCS400シリーズの詳細資料に目を通すと、とてつもなく高性能であることに気づく。Androidスマホ向けSoCで圧倒的な存在感を示す「Snapdragon」シリーズをリリースしてきた、クアルコムが手がけるチップというだけある。このSoCを利用すれば、単に製品の高性能化に止まらず、ホームAV体験をも大きく進化させる製品が生まれそうだ。
そこで今回、クアルコム社を訪問。同製品のマーケティングを担当する大島勉氏にQCS400シリーズの詳細を伺いつつ、AV機器メーカーで商品企画を務めた経験のある筆者の分析も織り込んで、QCS400シリーズが実現し得るホームAVの未来を考えた。
■AVの未来を変えるほどの機能を1チップに凝縮したQCS400シリーズ
そもそもSoCとは、「System on a Chip」の略で、CPUの他、特定の用途向けの機能をひとつに統合したICチップのこと。セットメーカーは企画する製品に適したSoCを採用することで、開発時間やコストを削減することができる。そうした省力化で得た余力は、製品の魅力アップや売価の引き下げに繋がり、ユーザーにとっても恩恵は大きい。スマホを筆頭に、高度化するデジタル機器をリーズナブルな価格で多くのユーザーが利用できるのもSoCのお陰と言える。もはや不可欠な存在と言っても良いだろう。
QCS400シリーズは、スマートスピーカーに必要な機能を一通り揃えたうえで、ドルビーアトモス/DTS:Xのデコードもサポートしているのが特徴だ。
ここでいったん、QCS400シリーズの主な機能を整理しておこう:
1. 音声認識(マルチマイクによるノイズ/エコーキャンセル機能とローカルAI認識)
2. WiFi, Bluetooth, Zigbee無線通信(通信に強いクアルコム品質)
3. aptX Adaptive, ドルビーアトモス/DTS:Xデコード
4. 最大32chのマルチチャンネル音声処理(デコードおよびレンダリング)
5. GUI(QCS405/ QCS 407)
CPUが2コアの「QCS403」と4コアの「QCS404/405/407」という2種類をラインナップ。4コア品は非常にパワフルで、従来のAV機器用SoCとは次元が異なる。大島氏によると、DSPはクアルコムによる最新のものが投入され、CPUやDSPの処理能力により、演算が重くなりがちな各種オーディオフォーマットのデコードやポストプロセッシングも余裕でこなせるという。
またQCS400シリーズの特長として、デコード+ポストプロセッシングは潤沢なCPUパワーを活かしてソフトウェアだけでも可能。また、DSP内の専用演算ハードウェアを併用すれば消費電力の低減も可能と、セットメーカーが選択できる柔軟性も新しい。主にDSPを利用する場合も、ドルビーアトモス/DTS:Xで必要なスピーカーコンフィギュレーションに応じたレンダリングは、CPUが担当する。
クアルコム社は引き続き、ドルビーやDTSに限らずサード・パーティーのコーデックやアルゴリズムをライブラリに追加すべく、積極的に提携を検討して行くとのこと。幅広いコーデックへの対応はユーザーとしては歓迎したい点だ。しかも将来新しいコーデックや音場補正アルゴリズム、バーチャル再生アルゴリズムが登場した暁には、ソフトウェア・アップデート対応が期待できるというのだから合理的だ(ただし対応するコーデックおよびアルゴリズムの種類や、アップデート対応の可否は、セットメーカーの判断による)。
■AV機器の未来を予測。QCS400シリーズの登場でこんな製品が生まれる?!
ここからは、AV機器の商品企画経験を持つ筆者が、その視点からQCS400シリーズがあればこんな製品ができるなあ…という例を予測する。ただしクアルコム社からの情報ではなく、あくまでも筆者の見解である。
Amazon AlexaやGoogle Homeといった音声アシスタントが利用できるスマートスピーカー製品が多数登場し、AV機器でも通信機能やボイスアシスタント機能が一大トレンドである昨今、メーカーがより高性能な製品を生み出しやすくする頭脳とも言えるQCS400シリーズの提供は、順当な戦略だ。
一方、QCS400シリーズの詳細資料に目を通すと、とてつもなく高性能であることに気づく。Androidスマホ向けSoCで圧倒的な存在感を示す「Snapdragon」シリーズをリリースしてきた、クアルコムが手がけるチップというだけある。このSoCを利用すれば、単に製品の高性能化に止まらず、ホームAV体験をも大きく進化させる製品が生まれそうだ。
そこで今回、クアルコム社を訪問。同製品のマーケティングを担当する大島勉氏にQCS400シリーズの詳細を伺いつつ、AV機器メーカーで商品企画を務めた経験のある筆者の分析も織り込んで、QCS400シリーズが実現し得るホームAVの未来を考えた。
■AVの未来を変えるほどの機能を1チップに凝縮したQCS400シリーズ
そもそもSoCとは、「System on a Chip」の略で、CPUの他、特定の用途向けの機能をひとつに統合したICチップのこと。セットメーカーは企画する製品に適したSoCを採用することで、開発時間やコストを削減することができる。そうした省力化で得た余力は、製品の魅力アップや売価の引き下げに繋がり、ユーザーにとっても恩恵は大きい。スマホを筆頭に、高度化するデジタル機器をリーズナブルな価格で多くのユーザーが利用できるのもSoCのお陰と言える。もはや不可欠な存在と言っても良いだろう。
QCS400シリーズは、スマートスピーカーに必要な機能を一通り揃えたうえで、ドルビーアトモス/DTS:Xのデコードもサポートしているのが特徴だ。
ここでいったん、QCS400シリーズの主な機能を整理しておこう:
1. 音声認識(マルチマイクによるノイズ/エコーキャンセル機能とローカルAI認識)
2. WiFi, Bluetooth, Zigbee無線通信(通信に強いクアルコム品質)
3. aptX Adaptive, ドルビーアトモス/DTS:Xデコード
4. 最大32chのマルチチャンネル音声処理(デコードおよびレンダリング)
5. GUI(QCS405/ QCS 407)
CPUが2コアの「QCS403」と4コアの「QCS404/405/407」という2種類をラインナップ。4コア品は非常にパワフルで、従来のAV機器用SoCとは次元が異なる。大島氏によると、DSPはクアルコムによる最新のものが投入され、CPUやDSPの処理能力により、演算が重くなりがちな各種オーディオフォーマットのデコードやポストプロセッシングも余裕でこなせるという。
またQCS400シリーズの特長として、デコード+ポストプロセッシングは潤沢なCPUパワーを活かしてソフトウェアだけでも可能。また、DSP内の専用演算ハードウェアを併用すれば消費電力の低減も可能と、セットメーカーが選択できる柔軟性も新しい。主にDSPを利用する場合も、ドルビーアトモス/DTS:Xで必要なスピーカーコンフィギュレーションに応じたレンダリングは、CPUが担当する。
クアルコム社は引き続き、ドルビーやDTSに限らずサード・パーティーのコーデックやアルゴリズムをライブラリに追加すべく、積極的に提携を検討して行くとのこと。幅広いコーデックへの対応はユーザーとしては歓迎したい点だ。しかも将来新しいコーデックや音場補正アルゴリズム、バーチャル再生アルゴリズムが登場した暁には、ソフトウェア・アップデート対応が期待できるというのだから合理的だ(ただし対応するコーデックおよびアルゴリズムの種類や、アップデート対応の可否は、セットメーカーの判断による)。
■AV機器の未来を予測。QCS400シリーズの登場でこんな製品が生まれる?!
ここからは、AV機器の商品企画経験を持つ筆者が、その視点からQCS400シリーズがあればこんな製品ができるなあ…という例を予測する。ただしクアルコム社からの情報ではなく、あくまでも筆者の見解である。
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