なぜダイナミックドライバー1基にこだわるのか?
DITA Audio代表、ダニー氏直撃インタビュー! 超弩級イヤホン「Dream XLS」の真価に迫る
プレミアムイヤホン市場で絶大な存在感を放つ、シンガポール生まれのブランド「DITA(ディータ)」。オーディオイベントのために来日した創立者のダニー(DANNY TAN)さんに、ものづくりの哲学や、最新フラグシップ「Dream XLS」の魅力についてお話を伺った。
DITA(ディータ)はなぜ、
ダイナミック型ドライバー1基にこだわるのか?
ーー ダニーさんのオーディオの原体験はどんなところにあったのでしょうか?
オーディオの虜になるきっかけは、コレクターでもあった祖父の倉庫にあったんです。年末の大掃除があると、15歳くらいのときは必ず、友人と一緒にそれをお手伝いしていたんですが、そこでいろんなガジェットを集めてきて、それを修理したり、リメイクしたりして遊んでいたんです。
なかには当時5,000USドルはするようなハイエンドオーディオもあって、こんな贅沢なものをバラして改造していじることができるなんで、いま思えば特別な環境でした(笑)。当時はインターネットなんて、それほど発展していませんでしたから、読めない日本の雑誌も買いあさって情報を集めて、いい音を求めて、本当にカットアンドトライの繰り返し。それでドンドンとオーディオの世界にハマっていきました。
ーー 実際にイヤホンを手がけるようになったのは、いつ、どのような背景からだったのでしょうか?
大学に進学したときに、iPhoneが登場して、これからのオーディオは、イヤホンの時代になることを確信しました。初期のスマートフォンの付属イヤホンは、どれも音がチープでした。でも、ShureやWestone、ETYMOTICのイヤーモニターにしたら、まるで世界が変わる。とてもいい。でも、昔、祖父の家で体感したようなハイエンドのHiFiの音とはちょっと違うなと、私は思いました。それなら、自分たちで音質のいいイヤホンを作ってしまおうと決意して、2011年には会社を興して開発をスタートしました。スピーカーやドライバーの仕組みの基本は理解できていましたし、20年来のパートナーのひとりであるデスモンド(DESMOND TAN)はケーブルの専門知識も持っていたので、他にないこだわりのイヤホンが生み出せると確信していました。
ーー ダイナミック型ドライバー1基という構成は、その当時からコンセプトにあったのでしょうか?
私が本当に素晴らしいと思える、超ド級のハイエンドスピーカーをたくさん聴いてきて気がついたシンプルな事実は、どれもダイナミック型ドライバーを使っているということでした。HiFiサウンドを目指すうえで、このダイナミック型ドライバーの質を追求することこそが、オーディオブランドとして最優先で取り組むべきことだと考えました。
マルチウェイのバランスド・アーマチュア型ドライバーに比べると、シングル構成のダイナミック型ドライバーの方がよりナチュラルな音色が得やすいとも感じていました。複雑にネットワークを構成したりすると、ケーブルの本数や接点も多くなる。これもオーディオ的には少ない方が有利だと考えています。
ーー コネクターにMMCXではなく2Pinを使っているのも、そのあたりに理由がありそうですね。
はい、本当は接点がより少ないという意味では、リケーブルができない仕様がベストだと思っています。とはいえオーディオファンとしては、絶対にケーブル交換はしたいでしょう(笑)? 現在は、より接点が安定していて、それなりに汎用性もあって、音質面でも優位性がある2Pinを選択しています。
ーー ダニーさんはデザイナーでもあると伺いました。普段、どんなものからデザインの着想を得ているんですか?
「Answer」や「Truth」を覚えていますか? どれもまるい円をアイコニックにあしらっているのですが、あれはシンガポールの硬貨から着想を得ているんです。昔、ポケベルが流行った時期があって、あれが町中で鳴り出すのがうるさくて、ご年配の方々のなかには、遮音性を高めて自分の世界に集中するために、コインを耳穴に入れて耳栓がわりにされる方もいたんですよ(笑)。
ーー それ、本当ですか?(笑)
はい(笑)。いつも「もっとよくしたい」と考えていると、身近なものからフッとインスピレーションが得られるものです。AnswerやTruthの試作品は、音質的には完成していたんですが、デザインがまったく違う形状(編集注:finalのEシリーズのような銃弾型だった)で、しっくり来ていなかったんです。それで、量産の前にこのストーリーが浮かんで、イチから作り直しました(笑)。
心臓部となるドライバーや、内部のチャンバーの容積やエアーフローなど、アコースティック的な部分は、もちろん引き継ぎながらですけど。
ーー 音質がよいだけではダメだ、と。本当に妥協がなくて、エンジニアチームの皆さんは大変そうですね(笑)。
DITA(ディータ)はなぜ、
ダイナミック型ドライバー1基にこだわるのか?
ーー ダニーさんのオーディオの原体験はどんなところにあったのでしょうか?
オーディオの虜になるきっかけは、コレクターでもあった祖父の倉庫にあったんです。年末の大掃除があると、15歳くらいのときは必ず、友人と一緒にそれをお手伝いしていたんですが、そこでいろんなガジェットを集めてきて、それを修理したり、リメイクしたりして遊んでいたんです。
なかには当時5,000USドルはするようなハイエンドオーディオもあって、こんな贅沢なものをバラして改造していじることができるなんで、いま思えば特別な環境でした(笑)。当時はインターネットなんて、それほど発展していませんでしたから、読めない日本の雑誌も買いあさって情報を集めて、いい音を求めて、本当にカットアンドトライの繰り返し。それでドンドンとオーディオの世界にハマっていきました。
ーー 実際にイヤホンを手がけるようになったのは、いつ、どのような背景からだったのでしょうか?
大学に進学したときに、iPhoneが登場して、これからのオーディオは、イヤホンの時代になることを確信しました。初期のスマートフォンの付属イヤホンは、どれも音がチープでした。でも、ShureやWestone、ETYMOTICのイヤーモニターにしたら、まるで世界が変わる。とてもいい。でも、昔、祖父の家で体感したようなハイエンドのHiFiの音とはちょっと違うなと、私は思いました。それなら、自分たちで音質のいいイヤホンを作ってしまおうと決意して、2011年には会社を興して開発をスタートしました。スピーカーやドライバーの仕組みの基本は理解できていましたし、20年来のパートナーのひとりであるデスモンド(DESMOND TAN)はケーブルの専門知識も持っていたので、他にないこだわりのイヤホンが生み出せると確信していました。
ーー ダイナミック型ドライバー1基という構成は、その当時からコンセプトにあったのでしょうか?
私が本当に素晴らしいと思える、超ド級のハイエンドスピーカーをたくさん聴いてきて気がついたシンプルな事実は、どれもダイナミック型ドライバーを使っているということでした。HiFiサウンドを目指すうえで、このダイナミック型ドライバーの質を追求することこそが、オーディオブランドとして最優先で取り組むべきことだと考えました。
マルチウェイのバランスド・アーマチュア型ドライバーに比べると、シングル構成のダイナミック型ドライバーの方がよりナチュラルな音色が得やすいとも感じていました。複雑にネットワークを構成したりすると、ケーブルの本数や接点も多くなる。これもオーディオ的には少ない方が有利だと考えています。
ーー コネクターにMMCXではなく2Pinを使っているのも、そのあたりに理由がありそうですね。
はい、本当は接点がより少ないという意味では、リケーブルができない仕様がベストだと思っています。とはいえオーディオファンとしては、絶対にケーブル交換はしたいでしょう(笑)? 現在は、より接点が安定していて、それなりに汎用性もあって、音質面でも優位性がある2Pinを選択しています。
ーー ダニーさんはデザイナーでもあると伺いました。普段、どんなものからデザインの着想を得ているんですか?
「Answer」や「Truth」を覚えていますか? どれもまるい円をアイコニックにあしらっているのですが、あれはシンガポールの硬貨から着想を得ているんです。昔、ポケベルが流行った時期があって、あれが町中で鳴り出すのがうるさくて、ご年配の方々のなかには、遮音性を高めて自分の世界に集中するために、コインを耳穴に入れて耳栓がわりにされる方もいたんですよ(笑)。
ーー それ、本当ですか?(笑)
はい(笑)。いつも「もっとよくしたい」と考えていると、身近なものからフッとインスピレーションが得られるものです。AnswerやTruthの試作品は、音質的には完成していたんですが、デザインがまったく違う形状(編集注:finalのEシリーズのような銃弾型だった)で、しっくり来ていなかったんです。それで、量産の前にこのストーリーが浮かんで、イチから作り直しました(笑)。
心臓部となるドライバーや、内部のチャンバーの容積やエアーフローなど、アコースティック的な部分は、もちろん引き継ぎながらですけど。
ーー 音質がよいだけではダメだ、と。本当に妥協がなくて、エンジニアチームの皆さんは大変そうですね(笑)。
次ページ次ページからは、Dream XLSの詳細に迫ります!