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なぜダイナミックドライバー1基にこだわるのか?

DITA Audio代表、ダニー氏直撃インタビュー! 超弩級イヤホン「Dream XLS」の真価に迫る

公開日 2019/12/28 10:08 プレミアムヘッドホンガイド編集部
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新たなフラグシップ「Dream XLS」は
サウンドステージが広いだけでなく、一音一音が明瞭になった


ーー さて、そんなダニーさん率いるDITAの最新フラグシップが「Dream XLS」です。改めて、製品の特長について教えてください。

「Dream」はDITAにとってフラグシップにあたるラインで、キレがよくて高解像度なサウンドを持つダイナミック型イヤホンとして、日本のユーザーのみなさまにも大変ご好評をいただいたモデルです。

左が従来モデルの「Dream」、右が新製品「Dream XLS」。

私たちは、その進化版として、次の「Dream」をつくるプロジェクトを2年半ほど前からスタートしました。

「Dream XLS」のXLSは「エクストラ・ラージ・サウンドステージ」の略です。Dreamというイヤホンにとって、「サウンドステージの広さ」はとても重要な個性でした。だから、これを継続しつつ、さらに進化させたいと考えたわけです。

サウンドステージが広いとされるイヤホンの中には、ただ高い周波数のところだけを持ち上げて「そんな感じ」に仕上げているものも少なくないですよね? しかし私たちが挑戦したのは、「高域を持ち上げずにサウンドステージを広げる」ということです。これはとても難しいチャレンジでした。

サウンドステージの広さはそのままに、よりディテールをクリアに、ぼやけた感じのない表現を追求しました。

ーー たしかに実際に聴いてみると、スピーディーで解像感が高いという従来のイメージに加えて、Dream XLSでは楽器やボーカルなど、ひとつひとつの音がさらに明瞭に表現されるようになったことで、より音楽をドラマティックに再現できるようになった印象を受けました。具体的に、技術面ではどのような点が進化しているのでしょうか?

コアとなっているのは新開発のダイナミック型ドライバー「Ultra-linear XLS Driver Gen. XLS」です。通常、伝統的なスピーカーの振動板の中央には「センターキャップ」と呼ばれるドーム状のパーツがあります。このおかげで高域の特性をコントロールしやすく、バランスのよいサウンドをつくることができます。一方で、イヤホンのドライバーの場合には、このセンターキャップそのものが振動板となるため、高域の特性を制御するのが難しいという問題がありました。新しいUltra-linear XLS Driver Gen. XLSでは、振動板を特殊な複層構造にし、また複合樹脂を用いることにより、分割振動の少ない均一な振幅を可能にしました。これによりDream XLSの、歪みの少ないクリアなサウンドを実現しています。


心臓部となるダイナミック型ドライバー「Ultra-linear XLS Driver Gen. XLS」
ーー ダイナミック型ドライバーを自社設計しているDITAだからこそ実現できる工夫ですね。

私たちが振動板のサイズをずっと10mm口径にしているのには、2つ理由があります。ひとつはもちろん装着性を考えてのデザイン面からの要請です。もうひとつは、より理想に近いサウンドが得られる口径サイズに開発テーマを集中することで、音質面の改善を継続して積み重ねて行けることが実は大きいのです。

今回の振動板についても、たとえば複層構造とする際には素材の配合がかなりキーになっていて、これはサイズによって最適な割合は変わってきます。同じサイズで製品開発を続ければ、これまでの研究の蓄積が生かせるため、音質を追求するために効率的です。例外はアニバーサリーモデルの「PROJECT 71」で、これだけが6mm口径を採用しています。

ーー ダイナミック型1基というシンプルな構成で、他にないサウンドにたどり着くためには、やはり並々ならぬ努力とノウハウの積み重ねがあるわけですね。

ドライバーだけでなくケーブルも、DITAが独自に設計した「OSLOケーブル」を採用しています。スクワランオイル(深海鮫の油)にシルバーとゴールドのナノ粒子をブレンドしたもので無酸素銅の線材をコーティングする技術を使っていまして、音質的には「解像度が高いのに、アナログっぽさもある」というメリットがあると思っています。

また、AWESOMEプラグによって3.5mmステレオミニだけでなく、2.5mmと4.4mmバランス接続に1本で対応できるのもOSLOケーブルならではの魅力です。

1本のケーブルで3つの接続方法に対応できる「AWESOMEプラグ」

しかしDream XLSに同梱されているOSLOケーブルは、単品で販売されているものとは微妙に仕様が違っていまして、イヤホン本体のブラックにあわせてカラーコーディネートされているほか、被膜の素材を変えたり、編み込みをよりタイトにしたり、音質や取り回しのよさに関わる部分も、Dream XLSに最適化しています。

OSLOケーブルもDream XLSオリジナル仕様となっている

ーー デザイン面から見ても、Dream XLSは、とても手が込んでいますよね。DREAMの精悍な印象からは、だいぶイメージが変わりました。

チタンの精製までを日本で、製造や組み立てをシンガポールでおこなっています。最先端のCNC技術によってチタンを切削、そのあと研磨していて、1ペアを完成させるのに約8時間、作業としてはほぼ丸1日かかります。CNC加工の際にパーツの固定に使う治具などはオリジナル仕様で、DITAの親会社であるPackagers' Pte. Ltd(1971年創業)から連綿と続くノウハウを引き継ぐことで、精度の高い仕上げを実現しています。

精密なCNC加工が施されたチタン製筐体を採用している

またフェイスプレートに高級時計にも用いられる、耐久性の高いサファイアガラスを採用しているのもポイントです。

ーー 付属品に対するこだわりについても教えてください。

実は、個人的にトラディショナルなポーチが好きじゃなくて(笑)、これまでもDITAのプレミアムイヤホンにはポーチを2つ付属させています。一般的なものと、本当に自分が好きなものをどちらも用意しておこうと(笑)。イヤーチップは通常のシリコンに加えて、新たにfinal TYPE Eも付属しました。

おしゃれな革製キャリングケース。付属品に至るまで、妥協は一切ない

ーー 最後に、日本のユーザーのみなさんにメッセージをお願いします。

「ベターなものがあるならば、常にそちらを選ぶべきだ」。それがDITAのものづくりの哲学です。およそ2年半をかけて細部までこだわり抜いた自信作である、私たちの新しいフラグシップDream XLSの魅力を、ぜひ多くの読者の皆さんにご体感いただけたらうれしいです。

ーー 本日はどうもありがとうございました。

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