「SC-HR2000」スペシャル対談
クリプトン渡邉氏×生形三郎、スピーカーの真価を引き出す「バイワイヤリング接続」の魅力
■音質を改善したいオーディオファンの“二つの悩み”へ個別アプローチも
生形氏:ケーブルは、周知のように導体の素材自体やその撚り方や構成などによっても、様々に音が変わってきます。そういった意味でSC-HR2000も、トゥイーター用とウーファー用とで、ケーブルの魅力を形成する上で欠かせない、渡邉さんならではのこだわりが沢山詰まっていることも大きなポイントですよね。
渡邉氏:トゥイーター用は、マグネシウム芯線(φ0.7mm単線、導通あり)を中心に6本のPC-Triple C(φ0.7mm)をロープ撚りしています。ウーファー用は、ポリエチレン芯(φ10mm、導通なし)を中心にPC-Triple C(φ0.33mm)7本を6束にまとめたものをロープ撚りしています。
スピーカーケーブルは振動するため、高域成分ではリンギングに繋がります。それを防ぐためトゥイーター用はマグネシウムで振動を吸収させています。いっぽう、同じ構造をウーファー用に施すと、ロス分が多い素材のため音がなまり暗くなってしまうので、ウーファー用では空気が内在したポリエチレン芯を採用しました。そして介在には、我社が培ってきたノウハウでもある、絹を使用する手法を施しています。高域と低域で必要な要素が違うので、スピーカーケーブルのアプローチも異なるのです。
また、オーディオファンの音を改善したいという悩みには、大きく分けると二つの傾向があると考えています。ひとつは“高域がリンギングなどでうるさくなる”、もうひとつが“低域の解像度が物足りない”というものです。そういったユーザーの悩みを、バイワイヤリング接続ができない場合でも解消できるよう、高域改善には「SC-HR1300」、低域改善には「SC-HR1500」というモデルもラインナップに加えています。そして、二つの悩みを一挙に解決できるバイワイヤリング専用モデルとして開発したのが、SC-HR2000なのです。
生形氏:バイワイヤリング専用のSC-HR2000と、シングルワイヤリング用のSC-HR1300およびSC-HR1500と、接続方法をしっかり分けたラインナップになったのですね。SC-HR1300とSC-HR1500に、各々そういった狙いを込められていたことも驚きです。スピーカーで生じがちな悩みそれぞれカバーするというのは、まさに長年スピーカー開発を手がけてきた渡邉さんならではの配慮に満ちたアイデアです。ところで、SC-HR2000を使う場合、アンプ側はA+Bのスピーカーターミナルを装備していることが必須なのでしょうか?
渡邉氏:スピーカー側はバイワイヤリング端子が設けられていることが必須ですが、アンプ側はユーザーの使い方次第だと考えています。モノラルアンプをL/Rに各1台、A+Bのスピーカーターミナルを備えているプリメインアンプなど、ユーザーのリスニングシステムに合わせてセッティングできます。またアンプ側にスピーカーターミナルが1基しかない場合、トゥイーター用とウーファー用のケーブルをまとめて繋いでもバイワイヤリング接続による効果があります。
生形氏:アンプ側のスピーカーターミナルが1基しかない場合は、トゥイーターとウーファーのケーブル端子の種類を分けたほうが使いやすいかもしれないですね。例えば、どちらかをバナナプラグ、もう片方をYラグプラグにすることで、接続しやすくなると思います。