新たな"柱”がひとつ加わる
B&WはSound Unitedの買収でどう変わる? 他ブランドとのシナジーは? D&Mに訊く
■王道スピーカー路線を突き進む方向性に期待
―― D&Mにとっては、今回の買収にどのようなメリットを期待されますか。
野元 改めて、まずは日本国内の主戦場である王道スピーカー路線を確実に進んでいってもらうことを期待しています。
Sound Unitedは自社のハイエンドスピーカーとしてDefinitive Technologyを展開していますが、サイズやシアター用途、そしてアクティブ回路のため安全規格などのクリアの問題もあり、まだ日本では展開されておりません。また、デノンやマランツでもハイエンドスピーカーを展開しておりませんので、Bowers & Wilkinsがそこを補完し、これまで通りにシナジー(相乗効果)を継続的にもたらしていく存在になると思います。
―― Bowers & Wilkinsブランドのプレジデントに就任されるジェフ・エドワーズ氏とはどのような人物ですか。
野元 技術畑を歩んできたBowers & Wilkinsの生え抜きです。工場をまとめる責任者の立場でもあったことから工場にダイレクトに意見を下せますし、また、マーケットにも精通してそのやりとりにも長けています。まさに適任者と言えます。
―― 今後、Bowers & Wilkinsの技術がD&Mに波及していくことは考えられますか。
野元 実は、Bowers & Wilkinsの初代サブウーファーのアンプの回路をD&Mが設計していたこともあります。今後もお互いの製品に共有できる技術があれば提供しあえば良いと思います。
―― 今後、Bowers & Wilkinsに対してより物を言える立場にもなってきますか。
野元 ブランドのフィロソフィーやスピーカーの性能に関しては何も言うことはないのですが、実はこれまで突然生産終了の通知が来たり、新製品の発売が予定より半年遅れたりということもありました。生産終了の場合、オーダーストップは少なくとも3カ月前には伝えてもらわないと市場が混乱していまいますし、新製品の導入にも準備が必要ですから、入荷すれば即販売というわけにもいきません。まずはこういった事前の情報を早期に得ることで、販売店様やお客様にご迷惑が掛からないよう、よりスムーズなビジネスができるようになれば良いと考えております。
―― Bowers & Wilkinsのサウンドフィロソフィーについて、改めて野元さんはどのように感じていらっしゃいますか。
野元 これまでBowers & Wilkinsの代理店をやってきたことで、いち早く“音場再生”という概念を勉強させていただく機会を得ることができました。Bowers & Wilkinsのスピーカーをリファレンスとしてきたことで、D&MのアンプやCDの再生能力は間違いなくレベルアップしてきました。これは大変大きなシナジーです。
今や多くのメーカー様の試聴室にBowers & Wilkinsのスピーカーを導入していただいており、リファレンスとしてお使いいただいています。今回の買収によって、より近くでBowers & Wilkinsのスピーカーの進化の情報を随時手にする機会が得られるのではないかと期待していますし、D&Mの音作りにもより一層活かせるようになることは大変大きな財産となると考えております。