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ライブ音楽配信「MUSIC/SLASH」の高音質を支える技術とは? 新プロジェクト「SPB」への想いも聞いた

公開日 2020/12/11 09:30 インタビュアー:岩井 喬/写真:井上良一/構成:編集部
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■音に説得力を与えるのは、オペレーターの腕やセンス

岩井:PA系のデジタル機材は48kHzでの信号伝送が中心になっていると思いますが、それ以上のサンプリング周波数で動かすことはありますか?

千葉:担当オペレーターによりますが、自分は基本的には48kHzがほとんどですね。96kHzで動いている機材もありますが、実際ライブだと96kHzで音を出しても、48kHzで出した荒い感じが会場の雰囲気に合っていたり、迫力が感じられたりすることもあります。例えばロックのライブなどですね。逆に音数の少ないアコースティックのライブなどは96kHzでやったら効果を感じられると思います。

岩井:音楽ジャンルとの相性以外にも、48kHzを選ぶ理由はありますか?

千葉:慣れていてオペレートしやすい環境であることや、他の機材とのマッチングも含めて、48kHzで動かす方が安心してオペレートできるという点ですかね。それと、32bitで駆動しているのがとても大きいと思います。

谷田:実際の現場は千葉さんが話した通りなんですが、エムスラとしては、高音質配信プラットフォームとして、もちろん96kHzでの配信を狙っていきたいという気持ちはあります。僕らも12月12日に生配信を予定している坂本龍一さんのピアノコンサートで96kHzのハイレゾ配信を行う予定です。

ただ、色々なハイレゾ配信を聞いてきましたが、配信用途を考えない96kHzのミックスより、配信環境やシステムに最適化された48kHzのミックスの方が、音に説得力があるんですよね。これはもうオペレーターの腕やセンスだと感じています。

あと、96kHzでのハイレゾ配信にすると、対応するDACが必要になるなど、リスナー側もそれに対応した視聴環境を用意しなければなりません。結果として楽しめるリスナーの数も減ってしまう。もちろんクオリティの面など、やるべきだと考えているからチャレンジは続けますが、最終的には48kHzのロスレスと、96kHzのハイレゾ、どちらの方が高音質配信として適しているのかを、じっくり見極めなくてはなりません。

岩井:96kHzで配信するにしても、それに見合ったやり方を突き詰めなくてはならないということですね。

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