「ながら聴き」など新しいスタイルを提案
ソニーの360/ハイレゾ/イヤホンはこれからどうなる?モバイルプロダクト部門責任者に聞く
■LinkBudsが「ながら聴き」スタイルを提案するために欠かせなかった「あること」とは
中村氏が担当するモバイルプロダクトの領域では、やはり直近の数年間で左右独立型の完全ワイヤレスイヤホンの成長が際立っており、市場規模の拡大にも貢献しているという。中村氏によると、従来のオーディオや音楽を熱心に愛するファンの外に完全ワイヤレスイヤホンのユーザーが拡大する傾向が、顕著に表れているそうだ。
「付属アクセサリーとして、携帯電話端末の商品に有線タイプのイヤホンが同梱されることが少なくなり、ワイヤレスイヤホンを買い求める方々が増えています。音楽などエンターテインメントをしっかりと楽しめる良いものを選ぶ方から、スマホと組み合わせて音声通話も含むマルチな用途にワイヤレスイヤホンを活用するガジェット好きな方まで、幅広い層のお客様がワイヤレスイヤホンに寄せる関心や期待に、今後もソニーは応えていきたいと考えています」(中村氏)
2月25日に発売する新製品のLinkBudsでは、開放型構造のワイヤレスイヤホンを常時装着して、音楽の「ながら聴きも楽しむ」という新しいライフスタイル提案に力を入れている。
常時装着による負担をユーザーに感じさせないために、ソニーではLinkBudsを小型化・軽量化して、用途に沿った形状を作り込むことに腐心してきたと中村氏は振り返る。ドーナツ型の振動板を搭載するイヤホン全体を耳に挿入する装着スタイルがより安定するように、本体の重心をていねいに最適化しながら設計を詰めた。
LinkBudsは装着した時に、耳から飛び出して見えない。女性のユーザーにも歓迎されそうな、このデザインを実現するために、トライアル&エラーが繰り返された。というのも、耳に装着したイヤホン全体が人体に言わば “包み込まれる” 格好になるため、通信の接続性を確保することがやや困難になるからだ。ソニーがモバイル通信機器の分野で培ってきた技術を駆使しながら、イヤホンに内蔵するアンテナの配置を最適化して、高い通信感度を持たせているという。
■音のARは、とにかく体験してほしい
LinkBudsには音によるAR(拡張現実)エンターテインメントを楽しむための機能も搭載されている。イヤホン本体にはコンパスとジャイロセンサーが内蔵されており、ソニーによるARスマホアプリ「Locatone(ロケトーン)」などを再生した時に、ヘッドトラッキング機能を活かしたエンターテインメントが楽しめる。
LinkBudsとLocatoneアプリによる音のAR体験には、YOSAOBIの楽曲「大正浪漫」のストーリーと “街歩き” が連動する新感覚のサウンドエンターテインメント「YOSAOBI SOUND WALK」がある。昨年秋から好評を博してきたサービスが、このほど期間を延長して実施されることが決まっている。中村氏は「LinkBudsのAR体験をぜひYOSAOBI SOUND WALKで味わってほしい」と呼びかける。また今後も音によるAR体験が活かせるサービスを、既に発表されているナイアンティックやマイクロソフトをはじめとするパートナーと一緒に盛り上げたいと抱負を語った。