「ながら聴き」など新しいスタイルを提案
ソニーの360/ハイレゾ/イヤホンはこれからどうなる?モバイルプロダクト部門責任者に聞く
■これからどうなる?ソニーのハイレゾ
この春ついに待望のハイレゾ対応ウォークマンのフラグシップモデル「NW-WM1ZM2」と「NW-WM1AM2」が発売される。2013年にはソニー初のハイレゾ対応ウォークマン「NW-ZX1」が誕生から10周年のアニバーサリーを迎えることになるが、これからソニーではハイレゾリューション・オーディオをどのように盛り立てていくのか。中村氏の考えを訊ねた。
「近年は360 Reality Audioを前面に押し出してきましたが、もちろんハイレゾリューション・オーディオも継続的に注力しています。これからも変わることなくソニーのハイレゾに対応する製品や独自の技術をアピールします。Android 8以降、Android OSを搭載するスマートフォンにハイレゾ再生機能が標準搭載されました。そして昨年Amazon Musicに続き、Apple Musicがハイレゾ音質のロスレスストリーミング再生のサービスを始めたことが追い風になり、日本やアジアが中心だったハイレゾを聴く文化が、いよいよ欧米にも波及してメジャーな楽しみになりました。ハイレゾの認知はこれからも拡大すると見ています」(中村氏)
ソニー独自のハイレゾに対応するBluetoothオーディオのコーデック技術である「LDAC」のライセンスを受けて、スマートフォンにオーディオプレーヤー、ワイヤレスヘッドホン・イヤホンなどのモバイルプロダクトや、オートモーティブのエンターテインメントシステムまで広くLDACを採用するパートナーが増えている。ウォークマンの “Signature Series” のようなレガシーの有線リスニングにも対応する高級機からBluetoothワイヤレスオーディオまで、今後も変わらず「ハイレゾに徹底注力」する考えを中村氏は明言した。
■自ら考え、人に近づくイヤホン・ヘッドホン
インタビューの最後に、これからモバイルプロダクト部門の責任者として中村氏がリーダーシップを執って実現したいことをうかがってみた。
「LinkBudsを購入いただいた方々にはぜひ、思い思いに新しいワイヤレスイヤホンの楽しみ方を見つけてほしいと考えています。昨今のワイヤレスヘッドホン・イヤホンには最先端のPCやスマホに匹敵する高性能なシステムICチップが内蔵されていますので、今後はモバイルプロダクトにとって『できること』もますます高度化・多様化すると思います。少し先の未来には、ワイヤレスイヤホンにもモバイル通信機能が載ることも考えられるでしょう」
「ワイヤレスイヤホン・ヘッドホンが常時ネットワークにつながり、AIと連携しながら『考えるヘッドホン』になるというビジョンを、私もよく社内のメンバーと話をしています。様々な種類のセンサーがユーザーの行動を検知して、次にしたいことを先読みしながらサポートしたり、個人に合わせて最適な振る舞いをするーー。既に当社の1000Xシリーズをはじめ、最先端のモバイルプロダクトで一部実現している機能もありますが、今後もさらに踏み込んだ便利な機能を皆様にご提案したいと意気込んでいます」(中村氏)
ユーザーが身体に装着して使う完全ワイヤレスイヤホン・ヘッドホンは、ソニーの商品の中でも「最も、人に近づけるデバイス」なのかもしれない。今後も動向に注目したい。