<高橋敦のTIASレポート>B&W、DYNAUDIOのアニバーサリーモデルを聴く
スピーカー、特にフラッグシップ級のスピーカーは、オーディオショウの華と言える存在であり、各ブランドのブースでその存在感を見せつけている。
しかしレギュラーラインのハイエンドやフラッグシップを凌駕する存在感を放つスピーカーが、今年のショウにはなんとふたつも出展されている。DYNAUDIOとB&W、それぞれの30周年/40周年アニバーサリーモデルだ。
●DYNAUDIO「Sapphire」は製品というより“作品”
DYANUDIO JAPANブースは、30周年記念モデル「Sapphire」のためにステージが演出されている。そのキャビネットは、なるほど宝石のように美しいカットだ。
この12面体カットはもちろん、音響的なメリットを第一に採用されたものであろう。またこれと同じような多面体キャビネットを採用したスピーカーが、現在まで他になかったわけでもない。
しかし、トップブランドである同社がその30周年記念を冠して作り上げたこのモニュメントは、そんな理屈や類型に当てはまらない魅力を放っている。音を出さずともそこに存在し、気配を感じさせる。しかしその気配に嫌みや威圧感はなく、静かに佇む。
ブースではもちろんデモ再生も行われており、このキャビネットと最新のユニットなどによって実現された、同社最高峰の音を体感することもできる。
しかしまずは何よりも、その存在自体を間近で体感してみてほしい製品、いや作品だ。
●B&W「Signature Diamond」は“いちばん聴いて欲しい音”
マランツ コンシューマー マーケティングのブースでは、昨年はモックアップでのお披露目であったB&W「Signature Diamond」のデモ再生が行われている。こちらも同様に、理論の裏付けを得た上でモニュメント足り得る個性的なデザインが施されていることはすでにご存知の通りだ。
しかし実物を見てみると、想像よりもかなり小柄だなと思う方も多いのではないだろうか。形状も色も個性的な割には違和感をあまり感じさせない。例えばリビングのシステムに組み込んでも何の不自然さもないだろう、価格はさておき。
CLASSEのハイエンドシステムでドライブされた音は「究極の2ウェイ機」という意図が高度に実現されており、その空間描写の緻密さは未体験ゾーン。弱点は低域かと思いきや、ウッドベースのソロ演奏を生音の等身大程度の音量で再生しても、その響きに不足は感じられない。いやむしろ、等身大のリアリティとしては、過去に聴いたあらゆる製品の中で最高レベル。
今年のショウで「いちばん聴いてほしい音」と言ってしまおう。人それぞれの好みというものがあるにせよ、「ひとつの方向性の現時点での到達点」として、聴いておいて損はない。
これらのアニバーサリーモデルは、限定生産であるし、それ以上に価格的に、多くのオーディオファンにとって現実的には手が届きにくい存在であるのはたしかだ。
しかし逆にそのおかげで、「音を聴いたらどうしてもほしくなってかなり無理して買っちゃった」なんてことにもならないので安心して試聴できる。こう言っては何だが、「聴くだけならタダ」を満喫できるのもショウの醍醐味。各社アニバーサリーモデルでその醍醐味の最上級を味わってほしい。
(高橋敦)
しかしレギュラーラインのハイエンドやフラッグシップを凌駕する存在感を放つスピーカーが、今年のショウにはなんとふたつも出展されている。DYNAUDIOとB&W、それぞれの30周年/40周年アニバーサリーモデルだ。
●DYNAUDIO「Sapphire」は製品というより“作品”
DYANUDIO JAPANブースは、30周年記念モデル「Sapphire」のためにステージが演出されている。そのキャビネットは、なるほど宝石のように美しいカットだ。
この12面体カットはもちろん、音響的なメリットを第一に採用されたものであろう。またこれと同じような多面体キャビネットを採用したスピーカーが、現在まで他になかったわけでもない。
しかし、トップブランドである同社がその30周年記念を冠して作り上げたこのモニュメントは、そんな理屈や類型に当てはまらない魅力を放っている。音を出さずともそこに存在し、気配を感じさせる。しかしその気配に嫌みや威圧感はなく、静かに佇む。
ブースではもちろんデモ再生も行われており、このキャビネットと最新のユニットなどによって実現された、同社最高峰の音を体感することもできる。
しかしまずは何よりも、その存在自体を間近で体感してみてほしい製品、いや作品だ。
●B&W「Signature Diamond」は“いちばん聴いて欲しい音”
マランツ コンシューマー マーケティングのブースでは、昨年はモックアップでのお披露目であったB&W「Signature Diamond」のデモ再生が行われている。こちらも同様に、理論の裏付けを得た上でモニュメント足り得る個性的なデザインが施されていることはすでにご存知の通りだ。
しかし実物を見てみると、想像よりもかなり小柄だなと思う方も多いのではないだろうか。形状も色も個性的な割には違和感をあまり感じさせない。例えばリビングのシステムに組み込んでも何の不自然さもないだろう、価格はさておき。
CLASSEのハイエンドシステムでドライブされた音は「究極の2ウェイ機」という意図が高度に実現されており、その空間描写の緻密さは未体験ゾーン。弱点は低域かと思いきや、ウッドベースのソロ演奏を生音の等身大程度の音量で再生しても、その響きに不足は感じられない。いやむしろ、等身大のリアリティとしては、過去に聴いたあらゆる製品の中で最高レベル。
今年のショウで「いちばん聴いてほしい音」と言ってしまおう。人それぞれの好みというものがあるにせよ、「ひとつの方向性の現時点での到達点」として、聴いておいて損はない。
これらのアニバーサリーモデルは、限定生産であるし、それ以上に価格的に、多くのオーディオファンにとって現実的には手が届きにくい存在であるのはたしかだ。
しかし逆にそのおかげで、「音を聴いたらどうしてもほしくなってかなり無理して買っちゃった」なんてことにもならないので安心して試聴できる。こう言っては何だが、「聴くだけならタダ」を満喫できるのもショウの醍醐味。各社アニバーサリーモデルでその醍醐味の最上級を味わってほしい。
(高橋敦)
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