「カーボンブレース・トゥイーター」採用
【更新】B&Wから45周年記念のコンパクトスピーカー「PM1」発売
ディーアンドエムホールディングスは、コンパクトなモニタースピーカー「PM1」を8月に発売する。価格は32万円(ペア/税込)。スタンド「FSPM1」も同時に発売し、価格は76,000円(ペア/税込)。
本日、東京・恵比寿のD&Mショールームで、プレス向けの製品説明会が開催され、同社の澤田龍一氏らが製品のくわしい紹介を行った。
PM1は筐体上部にトゥイーターを配置した2ウェイ・バスレフ型スピーカー。同社では「コンパクトながら、800 Series Diamondで培った技術を投入し、さらに新技術も加えたモニタースピーカー」と本機の特徴を説明している。
価格帯では、同社のCMシリーズと800 Series Diamondの中間にあたるモデルで、以前発売していた「805S」とほぼ同程度の価格となる。ディーアンドエムホールディングスでは「805Sを超える高音質を実現した」と自信を見せている。シニアプロダクトマネージャーは、近年のB&Wスピーカーを多数手掛けてきたマイク・ガフ氏が担当している。
■アルミドームながら性能を大きく高めた「カーボンブレース・トゥイーター」
トゥイーターはB&Wの従来製品と同様のNautilusチューブローデッド型だが、「カーボンブレース・トゥイーター」という新開発のものを採用した。ドームはB&Wの「800 Series Diamond」でおなじみのダイヤモンドではなくアルミだが、周囲をフィラメント巻カーボンファイバーで補強することで、アルミドームながら高域共振周波数を40kHzまで向上させた。アルミドームの直径は25mm。
澤田氏によると、ダイヤモンドドームとアルミニウムドームの差が大きすぎるので、B&Wではその中間を担うトゥイーターの振動板を長年にわたって研究開発してきたのだという。「私が知る限りでもチタニウム、バナジウム、マグネシウム、カーボングラファイト、ボロン、ベリリウムなど、様々な素材をテストしていた」。
ところが、今回B&WがPM1に採用したのは「やっぱりアルミだった」と澤田氏は言葉を続け、「アルミドームの場合、周辺部がたわむことが音質に悪影響を与える。これを補強すれば、アルミのままでも高域共振周波数を上げられるのではないか、という発想から作られたもの」と、今回のカーボンブレース・トゥイーターを説明した。
カーボンブレース・トゥイーターにより、これまでのアルミドームトゥイーターでは30kHzだった高域共振周波数が40kHzまで向上した。ダイヤモンドドームの場合、これが70kHz程度になり、さらにハイスペックになるが、B&Wの技術者は今回の新技術について「コウモリにしか聞こえないような可聴帯域外のためのものではなく、聞こえる周波数の音を良くするための技術だ」と説明しているのだという。
なお、このカーボンでトゥイーターを補強するというアイデアは、1993年のオリジナル・ノーチラスでも使われていたが、撚り線をハンドメイドで取り付けていたため、量産は行えなかった。今回、カーボンファイバーをハードドームの下側、つまりボイスコイルボビンの上に接着し、挟み込む構造とすることで量産が可能になったという。
チタンやマグネシウムなどの硬い素材ではなく、アルミを使ったメリットについて澤田氏は「アルミの穏やかな音を、そのまま上の周波数帯域まで持って行ける」と説明。これがほかのトゥイーターにはない、PM1の特徴と語っている。
■ミッドレンジはキャップを新開発してノイズや共振を抑制
ミッドレンジは、同社の従来製品で定評のあるケブラーコーン製で、CM1などと同じ130mm径だ。
澤田氏は、「何が変わったかというと、センターキャップが変わった」と述べ、キノコ型をした防振タイプのキャップを採用したことを紹介。発泡体を材料にしたキャップで、コーン内部の定在波を吸収する効果があるほか、これをボイスコイルボビンに直接装着することで、コーン自体の共振を抑制効果もねらっている。
新たなセンターキャップを採用した効果はインパルス応答のグラフを見ると明らかで、これまでのキャップに比べてリンギングが抑制された、滑らかな応答が得られたという。澤田氏は「ケブラーコーンはもともとクセが少ないという利点があるが、今回キャップを変えたことで、このケブラーのメリットを活かしながら、わずかにあったノイズを抑制できた」と効果を強調する。
なおネットワークはシンプルな構成で、最小の部品構成で、ムンドルフのM-Cap Supreme Oil コンデンサー、空芯コイル、超低歪薄膜抵抗など、高品位なパーツを採用。入力ターミナルも無酸素銅導体や絶縁素材のキャップなどを使っている。
■振動を抑える強固な内部・外部構造
筐体内部はMDFを用い、これを立体的なハニカム構造とすることで構造を高めた。また側板を内層化し、マトリックス補強を行うなどの処理も行っている。
前面から天面に欠けてのバッフルは熱硬化性ポリマー(BMC)で、高い剛性と、ラウンド成形が可能な可塑性を備えている。薄くしながら、同時に精度を高め、重量、ダンピング、強度を満足させる必要があるため、内側にウッドパウダーを塗布した2層構造としている。
サイドボードには、モカグロスの木製パネルを採用し、剛性と高級感を両立させた。グリルはブラックとなる。
筐体の外形寸法は191W×331H(スパイク除く)×250Dmm、質量は9.3kg。再生周波数レスポンスは48Hz〜22kHz(±3dB/基準軸上)、再生周波数帯域は42Hz〜60kHz(-6dB)。インピーダンスは8Ω。
別売りのスタンド「FSPM1」のサイズは268W×620.5H×300Dmm(スパイク除く)。スタンドのサイドはスピーカー本体のサイドウッドと同じモカグロス仕上げとなっており、また内部が空洞となっていて、スピーカーケーブルを内側に通すことができる。
澤田氏は説明の最後に「スペックは面白い数字はないが、これは正攻法で作られたスピーカーであるという証だ」と述べ、「サイズはコンパクトだし高額モデルというわけでもないが、技術的には大きな意味を持った、エポックメイキングなモデルだ」と出来映えに自信を見せた。
■「プレミアムかつ小型な製品が一番多く売れるのは日本」
同社の営業部長、小菅幸一氏は「こういったプレミアムで小型といった商品が世界で一番多く売れるのは日本。我々の営業をこのモデルに集約していきたい」と述べ、販売リソースを本機の拡販に振り向けると紹介。また「プレミアムコンパクトモニターという市場は、ヒットモデルが一つでもあれば、ぐっと広がるマーケット。805Sと同程度の販売数量を目指していく」と語った。
本日、東京・恵比寿のD&Mショールームで、プレス向けの製品説明会が開催され、同社の澤田龍一氏らが製品のくわしい紹介を行った。
PM1は筐体上部にトゥイーターを配置した2ウェイ・バスレフ型スピーカー。同社では「コンパクトながら、800 Series Diamondで培った技術を投入し、さらに新技術も加えたモニタースピーカー」と本機の特徴を説明している。
価格帯では、同社のCMシリーズと800 Series Diamondの中間にあたるモデルで、以前発売していた「805S」とほぼ同程度の価格となる。ディーアンドエムホールディングスでは「805Sを超える高音質を実現した」と自信を見せている。シニアプロダクトマネージャーは、近年のB&Wスピーカーを多数手掛けてきたマイク・ガフ氏が担当している。
■アルミドームながら性能を大きく高めた「カーボンブレース・トゥイーター」
トゥイーターはB&Wの従来製品と同様のNautilusチューブローデッド型だが、「カーボンブレース・トゥイーター」という新開発のものを採用した。ドームはB&Wの「800 Series Diamond」でおなじみのダイヤモンドではなくアルミだが、周囲をフィラメント巻カーボンファイバーで補強することで、アルミドームながら高域共振周波数を40kHzまで向上させた。アルミドームの直径は25mm。
澤田氏によると、ダイヤモンドドームとアルミニウムドームの差が大きすぎるので、B&Wではその中間を担うトゥイーターの振動板を長年にわたって研究開発してきたのだという。「私が知る限りでもチタニウム、バナジウム、マグネシウム、カーボングラファイト、ボロン、ベリリウムなど、様々な素材をテストしていた」。
ところが、今回B&WがPM1に採用したのは「やっぱりアルミだった」と澤田氏は言葉を続け、「アルミドームの場合、周辺部がたわむことが音質に悪影響を与える。これを補強すれば、アルミのままでも高域共振周波数を上げられるのではないか、という発想から作られたもの」と、今回のカーボンブレース・トゥイーターを説明した。
カーボンブレース・トゥイーターにより、これまでのアルミドームトゥイーターでは30kHzだった高域共振周波数が40kHzまで向上した。ダイヤモンドドームの場合、これが70kHz程度になり、さらにハイスペックになるが、B&Wの技術者は今回の新技術について「コウモリにしか聞こえないような可聴帯域外のためのものではなく、聞こえる周波数の音を良くするための技術だ」と説明しているのだという。
なお、このカーボンでトゥイーターを補強するというアイデアは、1993年のオリジナル・ノーチラスでも使われていたが、撚り線をハンドメイドで取り付けていたため、量産は行えなかった。今回、カーボンファイバーをハードドームの下側、つまりボイスコイルボビンの上に接着し、挟み込む構造とすることで量産が可能になったという。
チタンやマグネシウムなどの硬い素材ではなく、アルミを使ったメリットについて澤田氏は「アルミの穏やかな音を、そのまま上の周波数帯域まで持って行ける」と説明。これがほかのトゥイーターにはない、PM1の特徴と語っている。
■ミッドレンジはキャップを新開発してノイズや共振を抑制
ミッドレンジは、同社の従来製品で定評のあるケブラーコーン製で、CM1などと同じ130mm径だ。
澤田氏は、「何が変わったかというと、センターキャップが変わった」と述べ、キノコ型をした防振タイプのキャップを採用したことを紹介。発泡体を材料にしたキャップで、コーン内部の定在波を吸収する効果があるほか、これをボイスコイルボビンに直接装着することで、コーン自体の共振を抑制効果もねらっている。
新たなセンターキャップを採用した効果はインパルス応答のグラフを見ると明らかで、これまでのキャップに比べてリンギングが抑制された、滑らかな応答が得られたという。澤田氏は「ケブラーコーンはもともとクセが少ないという利点があるが、今回キャップを変えたことで、このケブラーのメリットを活かしながら、わずかにあったノイズを抑制できた」と効果を強調する。
なおネットワークはシンプルな構成で、最小の部品構成で、ムンドルフのM-Cap Supreme Oil コンデンサー、空芯コイル、超低歪薄膜抵抗など、高品位なパーツを採用。入力ターミナルも無酸素銅導体や絶縁素材のキャップなどを使っている。
■振動を抑える強固な内部・外部構造
筐体内部はMDFを用い、これを立体的なハニカム構造とすることで構造を高めた。また側板を内層化し、マトリックス補強を行うなどの処理も行っている。
前面から天面に欠けてのバッフルは熱硬化性ポリマー(BMC)で、高い剛性と、ラウンド成形が可能な可塑性を備えている。薄くしながら、同時に精度を高め、重量、ダンピング、強度を満足させる必要があるため、内側にウッドパウダーを塗布した2層構造としている。
サイドボードには、モカグロスの木製パネルを採用し、剛性と高級感を両立させた。グリルはブラックとなる。
筐体の外形寸法は191W×331H(スパイク除く)×250Dmm、質量は9.3kg。再生周波数レスポンスは48Hz〜22kHz(±3dB/基準軸上)、再生周波数帯域は42Hz〜60kHz(-6dB)。インピーダンスは8Ω。
別売りのスタンド「FSPM1」のサイズは268W×620.5H×300Dmm(スパイク除く)。スタンドのサイドはスピーカー本体のサイドウッドと同じモカグロス仕上げとなっており、また内部が空洞となっていて、スピーカーケーブルを内側に通すことができる。
澤田氏は説明の最後に「スペックは面白い数字はないが、これは正攻法で作られたスピーカーであるという証だ」と述べ、「サイズはコンパクトだし高額モデルというわけでもないが、技術的には大きな意味を持った、エポックメイキングなモデルだ」と出来映えに自信を見せた。
■「プレミアムかつ小型な製品が一番多く売れるのは日本」
同社の営業部長、小菅幸一氏は「こういったプレミアムで小型といった商品が世界で一番多く売れるのは日本。我々の営業をこのモデルに集約していきたい」と述べ、販売リソースを本機の拡販に振り向けると紹介。また「プレミアムコンパクトモニターという市場は、ヒットモデルが一つでもあれば、ぐっと広がるマーケット。805Sと同程度の販売数量を目指していく」と語った。
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