特典レコードはまだ入手可能!
クラムボン・ミト氏と聴く『心が叫びたがってるんだ。』レコード試聴イベントをレポート
オーディオ好きとしても知られるミト氏は、レコードの所有枚数も途轍もない。貸し倉庫と、事務所の使っていない風呂場に詰め込んでいるので、本人でも正確な数は分からないものの、万単位に到達しているとのこと。昔から集めてきたので、その中には限定盤など希少価値の高いものもあり、「お店を開けるほどあるけれど、手放したくないから売らない」とその愛着を語った。
そしていよいよレコードの試聴が始まった。まずは「心が叫びだす」の原曲となる、ベートーヴェンのピアノソナタ第8番「悲愴」の第2楽章が流された。タイトルを知らずとも日本国民の9割が聴いたことがあると思われる美しいメロディだが、ここでミト氏からトリビアが飛び出す。
「この悲愴はとてもメロディックじゃないですか。でも、当時ベートーヴェンが弾いていたピアノは抑揚のつけることのできないものだったので、後世のこうした抑揚のついた演奏はおかしいというベートーヴェン研究家もいるわけです。だから、悲愴を拓実に弾いてもらう時に、そこまで分かって弾いてもらうべきなのか、ということは悩みました。拓実のお父さんはどれくらいクラシックに造詣が深かったのか、といったことを考えたりしながら、ロトスコープ(アニメーション手法)で私が拓実のピアノを弾いていたんです」
続いて、特典レコードの試聴に入った。ミト氏自身の手でレコードに針が落とされ、流れたのはTWEEDEESの清浦夏実がソロで歌い上げる「Over The Rainbow」。そして、「悲愴」を原曲とした「心が叫びだす」、「Over The Rainbow」を原曲とした「あなたの名前呼ぶよ」のマッシュアップとなる「心が叫びだす〜あなたの名前呼ぶよ」の2曲だ。
ミト氏は、レコードは盤に音溝が刻まれる際に独特な倍音(ハーモニックディストーション)が追加され、特に歌周りに綺麗にそれが感じられる点が大きな魅力であると語った。それにより、中域が厚くなり、高域がロールオフして“痛く”なくなっていき、結果としてヴォーカルに非常にハマるメディアであるという。そして、このレコードの旨味は、安価なプレーヤーであっても感じ取れるということだ。
また、CDや映画で“こう聴かせよう”と考えていた完成形に、レコードの音が最も近いという。「心が叫びだす〜あなたの名前呼ぶよ」では、「いのりちゃん(水瀬いのり)の最初の“こ”の一声で持って行かれるじゃないですか」と、その声の質感について感想を述べていた。
ミト氏が語った中で特に印象的だったのは、「ヴォーカル周りは圧倒的にレコードが良いですね。世の中のキャラソンを全部レコードで出せたらいいのに」という言葉。それだけ、レコードが聴かせる声の良さには魅力があるということだろう。
最後に「レコードは置いてあるだけでも嬉しいし、どの環境で聴いても旨味を楽しめます。ぜひまた『ここさけ』を観ていただきつつ、レコードも聴いてみてもらえたら嬉しいです」とミト氏がコメントし、時間が短く感じられるような楽しいイベントは終了となった。
実際、描き下ろしのイラストによるレコードジャケットはおよそ31cm×31cmで、これだけでクリアファイルなどと比較しても大きく、単純に嬉しい。そして、レコードには声を堪能できる魅力があり、この特典レコードはヴォーカル集として選曲されたもの。改めて、その特典の破格の素晴らしさを認識した次第だ。
この「Loppi・HMV限定レコード付きセット」は数量限定だが、取材段階ではまだ少し在庫があるようだった。店頭だけでなくオンラインでも購入できるので、気になった方は今のうちに手に入れておいてみてはいかがだろうか。
■「心が叫びたがってるんだ。」Blu-ray&DVD Loppi・HMV限定セット 商品情報
【価格】
・完全生産限定版Blu-ray+12inchレコード…10,778円(税込)
・完全生産限定版DVD+12inchレコード…9,698円(税込)
【生産数量】
Blu-ray/DVD合わせて3,000セット限定
【「『心が叫びたがってるんだ。』Original Vocaltrack e.p」収録曲】
・A面
「あこがれの舞踏会」「わたしの声」「玉子の中にはなにがある」
「心が叫びだす〜あなたの名前呼ぶよ」
・B面
「Over The Rainbow」「Harmonia」
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