【Senka21】新しいハードオフを開発する“研究所”
自分で修理・メンテできる「ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店」。“進化型ハードオフ”の可能性とは?
来店者も見慣れないコーナーに開設当初こそ戸惑っていたが、日を追うごとに利用者は増加。オープン初日には、“結構いい値段”のついた往年のゲーム機を、ご年配のご夫婦が早速、TRY!HARD OFFコーナーで動作を確認し、納得して購入していく光景が見られた。ジャンク品のスピーカーから実際に音出しをして確認、購入していく方の姿も目に付くという。また、近隣のハードオフを利用されている方がわざわざ足を運んできたり、自作する人も多いPCでは事前に自身で確認したりと、現在は機械に詳しい人が中心だ。
「吉祥寺店には駐車場がありませんから、何かあった時に店まで持ち込むのは一苦労です。事前に確認が出来ればそうした心配も不要。都心部の店ほど、コンパクトでもいいからこういうスペースが望まれているのかもしれません」。
これまでもお客様から要望があれば、バックヤードで準備をして招いて対応したが、「何であのお客様だけ特別扱いを」という目も気になったという。そうしたケースにもスムーズな対応が可能となり、お客様の背中を押すことで売上増にも貢献する。
■物販だけに留まらず、サービスまで翼を広げる
隣接して設けられたのが「ラボ・レポート」コーナー。お客様へアンケートを実施して意思疎通を活発化することで、要望やアイデアを的確に掴み、サービスや売り場へ反映させていくのが狙いだという。「好評なジャンルやアイテムを拡大したり、反対に関心の低いものには見切りをつけたり、まさに“進化するハードオフ”。この店で実現した新しいチャレンジを、一つでも多く他店へ波及させていきます」と意気込む。
アンケートには2つの項目を設けており、一つは店に対する要望と提案、もう一つが「TRY!HARD OFF」コーナーの利用者に対する裏技やノウハウの募集だ。すでにチェック台には『カセットソフトを復活させる裏技』『格子型カバー内のホコリを清掃する裏技』など、「私も全然知らなかったものもあります」と寄せられた独自の技術やアイデアが披露されている。毎月のテーマを設けて「YES」「NO」による投票を実際するなど、お客様と同コーナーとの距離を縮める工夫も凝らす。
また、“進化型ハードオフ”のフロアには、この他にも昭和時代のテレビゲームなど懐かしい商品に出会えるレトロコーナー、地域のお客様から要望が高い白物家電、ビジュアル、パソコン、カメラ、時計、ゲーム、携帯電話、ジャンクコーナーが所狭しと顔を並べる。鉄道模型も取り揃えてみたが、現時点ではあまり動きがよくない。反対に、白物だけでなく食器も扱ってほしいという声が強いなど、お客様目線で進化を探る。
“シンカ”という新たなステージへ挑むハードオフについて、「街の電気屋さんは商品の価格は高いですが、後々まで面倒を見てもらえることにお客様は価値を見出します。ハードオフも売って終わりではありません。ハードオフに持っていけば何とかしてくれる、自らメンテナンスができるなど、ハードオフをもっと好きになってもらいたい」と宮澤店長は訴える。
将来に向けては「物販にとどまらず、サービスまで事業を広げていきたいですね。現時点において最も親和性が高く、アピールできるのが修理やメンテナンスです」と新たな価値提案へ腕を鳴らす。
また、「ここはお客様にとっての“研究所”であると同時に、それ以上にハードオフが“次”の新しいサービスを手探りする場です。お客様の要望に広くお応えしていく中で、どこに大きな可能性があるのか見極めていきたい」と力を込めた。
「オーディオサロン」で新風を巻き起こしたハードオフが新たに展開する、ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店。「進化型ハードオフ」を名乗る新店舗が、今後どのように進化を遂げるのか要注目だ。
(本記事はSenka21所収記事を転載したものです)
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