ワンボードオーディオ・コンソーシアムも参加

ASUSのシングルボードコンピュータ「Tinker Board」イベントレポ。オーディオでの活用法を語る

公開日 2018/03/30 19:52 編集部:川田菜月
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ASUSは、同社の展開するシングルボードコンピュータ「Tinker Board」のユーザーミーティング『第1回 ASUS Tinker Board Meeting』を開催。イベントは二部構成で、第一部ではTinker Boardの製品解説、第二部ではワンボードオーディオ・コンソーシアム代表で、当サイト「ラズパイオーディオ通信」でもお馴染みのIT / A&Vコラムニスト・海上忍氏らによる、Tinker Boardを使ったオーディオやIoTシステム活用の可能性などが紹介された。

ラズパイではなく、Tinker Boardを用いたオーディオ活用方法を海上氏が説明

Tinker Boardは、Raspberry Pi(通称ラズパイ)などと同様のシングルボードコンピュータ。SoC「Rockchip RK3288」に最大1.8GHz動作の4コア/Cortex-A17を搭載、2GBメモリを装備するなど、様々なビルドやプロジェクトにも柔軟かつ高速に対応でき、その高い性能と互換性を特徴としている。OSはAndroid 6.0/Debian 9に対応しており、Android 7.0については2018年度第一四半期を目処に対応を進めているという。

シングルボードコンピュータ「Tinker Board」

Tinker Board Sの仕様

オーディオ面では、最大PCM 192kHz/24bit対応のHDコーデックを搭載。オーディオジャックを内蔵しており、拡張モジュール無しでオーディオ出力/マイク入力に対応する。

最大PCM 192kHz/24bitまでサポートする

初代モデルは2017年1月に発売され、新モデル「Tinker Board S」は2018年2月に発売されたばかり。拡張性も高く、3月20日に公開されたソフトウェア「TinkerOS Debia v2.0.5」では、17種類ものオーディオボードが利用できる。ワンボードオーディオ・コンソーシアムが発案したAVIOTのヘッドホンアンプ/DACボード「DAC 01」(関連ニュース)も利用できるという。

ヘッドホンアンプ/DACボード「DAC 01」にも対応する

第二部では海上氏がTinker Boardのオーディオ活用方法について紹介。会場ではTinker Board Sを用いて、ヘッドホンアンプ/DACボード「DAC 01」と組み合わせ、自作PC感覚でDACボードを交換できるアルミ製ケース「CASE 01」(関連ニュース)に装着したり、ラックスマン開発のデスクトップ型オーディオのコンセプトモデル「AUDIO OSECHI BOX」(関連ニュース)に搭載していた。AUDIO OSECHI BOXは蓋を開けた状態で展示。DAC 01/CASE 01との組み合わせでは、FOCAL製ヘッドホンを使用したハイレゾ試聴デモも実施。イベント終了後には多くの来場者が試聴に集まっていた。

IT / A&Vコラムニスト・海上忍氏は、Tinker Boardのオーディオ活用方法を紹介

DAC 01/CASE 01と組み合わせて、FOCAL製ヘッドホンでのハイレゾ試聴デモも実施

ワンボードオーディオ・コンソーシアムでは、ポータブル/デスクトップ型それぞれの、シングルボードコンピュータによるオーディオプラットフォームの規格策定を目指している。これまでは主にラズパイを使用してきたが、海上氏は「“音”が最重要であり、シングルボードコンピュータの選択基準」とし、「ラズパイにこだわっているわけではなく、実際にTinker Boardも試しており、ケースもTinker Boardを想定して製作している」という。

アルミケース「CASE 01」はラズパイだけでなく、Tinker Boardへの対応も考慮して開発されたという

Tinker Boardでは聴感上の音の良さを実感したという

Tinker Boardは端子類の位置や拡張ポート(GPIO)のピン数/位置、サイズがラズパイとほぼ同じとのこと。Tinker Board SではI2S対応となり利用しやすくなったが、最大192kHz/24bitと仕様面ではラズパイに劣る。ただUSBとEthernetコントローラーが独立するなど利点もあるとのこと。音質については「スペックと音の良さは必ずしも一致するということではなく、実際にボードを積んでみると、Tinker Boardは聴感上の音がとても良い」と語った(検証記事1検証記事2)。

OSECHI BOXの構造

AUDIO OSECHI BOXにもTinker Board Sを搭載。上から見た際のピン下地のグリーンがラズパイとの違いとのこと

一方で、DSD 5.6MHz音源のPCM変換の際に必要な384kHz/32bitへの対応や、音途切れの不具合、ソフトウェアの安定性向上など、さらに使いやすさを高めるために望まれる改善点なども挙げていた。

多くの来場者がハイレゾ試聴デモに集まっていた

第一部では、ASUSTekのFunction Senior Manager・Michael Chen氏が登壇し、Tinker Boardの解説や今後の取り組みなどについても紹介された。周辺機器としてパワーサプライやファンレスのアルミケースなど、年内発売を目標に取り組んでいるとのこと。またオープンソース製品に対する信頼性向上の必要性や、「製品の成長・発展にはコミュニティーが重要」と強調。様々なASUS主催イベントの開催やフォーラムの展開などにも取り組み、詳細な情報開示と参加しやすい開発環境の構築も図っていると語った。

TinkerBoardを用いたwebカメラなどいくつか利用例も紹介

その他サポート製品や利用例、(株)CANDYLINEが展開する3Gや4GLTE回線を使用するラズパイ/TinkerBoard向け通信モジュール「Candy Pi Lite」なども紹介された。

鏡の中に情報を映し出す“スマートミラー”「MirrorRoid」

第二部ではオーディオにおける活用法以外にも、IoTシステム構築として利用する方法として、Linuxを使用したLED点灯プログラムや、鏡の後ろにAndroid端末を設置して鏡の中に情報を映し出す“スマートミラー”「MirrorRoid(ミラーロイド)」のプロジェクトなども発表、および製品展示が行われた。

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