HEOS/AirPlay2にも対応
30ヶ月連続1位、マランツ多機能小型レシーバーが「M-CR612」に進化。シングル接続で4chアンプ駆動も可能
ちなみに、バイワイヤリング対応のスピーカーを組み合わせる場合、「バイアンプ」と「パラレルBTL」両方を使えることになる。こうした場合、マランツとしてはどちらを推奨するのか、尾形氏に聞いてみた。
「スピーカー端子がシングルかバイワイヤかは、メーカーの設計思想によるもので“上下”はないと思います。パラレルBTLもバイアンプも音質改善の方向は同じですが、スピーカーがバイワイヤ対応ならば、それは(パイアンプの方がより好ましいという)スピーカー側が意思表示しているということです。もちろん、パラレルBTLならばスピーカーケーブルは1組でいいので、手軽さの点ではこちらが有利です」(尾形氏)。
■クラスDアンプをさらに強化。SA-12相当のクロックも搭載
アンプ部については、実用最大出力60W+60W(6Ω)のフルバランス・クラスDパワーアンプを搭載。クラスDアンプの核となるPWMプロセッサー(TI製 TAS5558)、クラスDアンプ素子(TI製 TAS5142)、ローパスフィルターは従来モデルから継承しつつ、PWMプロセッサーへの電源を刷新した。
具体的には、従来はPWMプロセッサーへの+3.3V電源供給を、他の+3.3V電源と共用していたが、M-CR612ではPWMプロセッサー専用の+3.3V電源レギュレーターを用意。他の+3.3V電源と独立させることで、さらなる低ノイズ化を図った。
パワーアンプおよびローパスフィルターにかけては、高品位フィルムコンデンサー、無酸素(ODC)銅線・マンガン亜鉛コアインダクター、クラスDアンプ電源用の低ESRコンデンサーなど、高音質パーツを引き続き採用する。
また、メイン基板およびネットワーク基板に対して、負荷変動に対して優れた応答性を持つ低ESR/ESL導電性高分子電解コンデンサーを、3メーカー3タイプを適所採用。低ノイズ化だけでなく、高品位な音質も実現したとする。
CD再生用に、昨年登場したSACDプレーヤー「SA-12」と同じ位相低雑音クロックを新たに採用したことも進化ポイント。低ノイズ化に貢献するという。なお、本機は入力から出力までフルデジタル処理としている。
ヘッドホンアンプ部も刷新。ハイスルーレート・オペアンプと、マランツ独自の高速アンプモジュール「HDAM-SA2」によるディスクリート高速電流バッファーアンプを組み合わせた本格的なヘッドホンアンプを新たに搭載。3段階のゲイン切り替えにも対応した。
■HEOS搭載で多彩なソースをネットワーク再生。Alexa対応も
マランツおよびデノンを擁するディーアンドエムグループのネットワーク/ワイヤレスオーディオシステム「HEOS」を新たに搭載。M-CR611の時点ではHEOSはまだ登場していなかったが、ご存じの通りHEOS登場以降、マランツ/デノンのHi-FiコンポーネントやAVアンプは、HEOSによるネットワーク再生機能を搭載している。
HEOSは多様な再生フォーマットへの対応、HEOSアプリによる優れた操作性、音楽ストリーミングサービスへの対応、マルチルーム再生への対応などを特徴としている。
NASやパソコンなどサーバーの音源をネットワーク経由で再生することが可能で、HEOS化することで対応フォーマットの拡大や再生安定性の強化を実現。加えて、USBメモリーやUSB-HDDなどのUSBストレージを背面のUSB端子に接続して、ストレージ内に保存した音源をアプリから再生することも可能だ。従来モデルでもUSBストレージ再生は可能だったが、HEOSになったことで読み込み速度や再生の安定性は大きく向上したという。
音楽ストリーミングはSpotify、AWA、Amazon Prime Musicなどに対応。インターネットラジオの再生も行える。
ネットワークおよびUSBストレージ経由での音楽ファイル再生は、WAV/FLAC/ALACが192kHz/24bitまで対応。DSDは5.6MHzまでの対応へ強化された(HEOSの対応フォーマットの関係で、ALACが従来の96kHz/24bitから192kHz/24bitへ強化された一方で、AIFFには現状で非対応)。各ファイルのギャップレス再生にも対応する。
AirPlay2にも対応。iPhoneなどiOSデバイス上で再生した音楽をM-CR612から再生できる。AirPlayに対応した機器同士でのマルチルーム再生も可能だ。
当然ながらWi-Fiを内蔵しており、無線でのネットワーク接続が可能。2.4GHzおよび5GHzのデュアルバンドWi-Fiに対応する。
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