NAGRA Tを用いたデモを展開
<2019TIAS>米出身オーディオファイルが立ち上げた「蜂鳥」のテープアンプ/Mola Mola最新DAC
11月22日(金)から24日(日)までの3日間、東京国際フォーラム(有楽町)にて開催されている『2019東京インターナショナルオーディオショウ』。国内外合わせて200を超えるブランドが登場する同イベントは、今年も見どころ満載だ。
本稿では、ハイエンド(有)のブースの模様をお伝えしよう。
emm Lab.やKii Audio、Mola Mola、Lansche Audioなど、最先端のテクノロジーを誇るブランドを多く取り扱う同社だが、今年のTIASの会場でも実にユニークな製品を展示している。なかでも石川県七尾市に本拠を置く(株)蜂鳥が現在開発中というテープアンプは注目だ。
(株)蜂鳥は、アメリカ出身で自身も熱心なオーディオファイルだったというジョナサン・ナイト氏が立ち上げた企業。
かつてはデバイスの開発に携わり、日本でその手腕を発揮していた同氏だが、アメリカへ帰国後、「どうせなら好きなことを仕事にしたい」と(株)蜂鳥を立ち上げるに至ったという。その企業名は文字通り生き物の蜂鳥に由来するようで、小さな身体のなかに一言は説明できない、さまざまなことが秘められているというところから採られたそうだ。
このテープアンプは、現在ナイト氏が石川県に居を構えていることから、将来的には輪島塗等の仕上げを施す予定で開発を進めているというが、今回のTIASではまだ外観処理も施されていないプロトタイプが展示されていた。型番等も決まっていないが、現在ジョナサン氏が住んでいる深見市にちなんで、「Fukami」と名付けることを検討中だという。
そんな、経歴もユニークなナイト氏によるこのテープアンプには、さまざまなアイデアが注ぎ込まれている。実はナイト氏は有数のオープンリールコレクターとしても知られる人物で、本機にも氏の経験から得られたノウハウが投入されている。
例えば、フロントパネルに装備された多数のスイッチ類。これは上からNAB/CCIR/AES/RIAAとなっており、帯域ごとにイコライジングの微調整を可能にしているもの。また「昔のテープにはいい加減なものも結構あって、中には片chだけ逆位相のものがある」ため、それぞれのチャンネルの位相を正相/逆相に切り替えるスイッチも装備している。
VUメーターにはピークホールド機能も装備しているが、これも「一度、大量のテープを売りに出すことにした際、データを残しておこうと、1,000本以上のデジタル・アーカイブをしたことがある」というナイト氏の経験に基づくものだ。このピークホールド機能を備え他ことで、他のADコンバーターと組み合わせた場合のゲイン調整等の作業を効率的に行える仕組みとなっている。つまり、ナイト氏のオーディオファイルとしての経験と知見が存分に投入されたのがこのテープアンプなのである。
ハイエンドのブースでは、NAGRAのテープレコーダー「NAGRA T」からこの蜂鳥のテープアンプに接続し、Mola Molaのプリアンプ「Makua」+パワーアンプ「Kaluga」からLansche Audioのコロナ・プラズマ・トゥイーター搭載スピーカーシステム「No.5.2」を鳴らすデモを実施。いずれもユニークなテクノロジーを採用した製品で、本ブースのアナログテープの音は、現代だからこそ味わえるアナログの醍醐味を体感できる。
このほかの新製品として、Mola Molaの単体DAコンバーター「Tambaqui DAC」(¥1,280,000/税別)も初展示。こちらはすでにプリアンプMakuaのオプションとして用意されたDACモジュール「Mola Mola DAC」を単体化したDAコンバーターとなる。
Tambaqui DACは、内部で受けたデジタル信号を3.125MHz/32bitとしたうえで、PWM変調によるノイズシェーピングを実施。32ステージで構成されるFIR DACと、4次I/Vフィルターを経てDA変換を行うという独自のディスクリートDACを搭載する。その結果として130dBという驚異的なS/Nを実現した。
デジタル入力は、USB(Bタイプ)の他、AES/EBU、光TOS、RCA同軸に加え、Roon Readyにも対応したLANやHDMI端子を使用したI2S入力も装備。ヘッドフォン出力はリアパネルに4ピンXLRとφ6.3mmステレオ標準プラグをそれぞれ1系統ずつ装備している。また、対応するサンプルレートは最大でPCM 384kHz/32bit、DSD256。これはUSB入力時だけではなく、Roon Ready使用時にも対応する(この他のデジタル入力に関しては、192kHz/24bitまでの対応)。
今回のTIASでは、この他にもemm LabのSACD/CDトランスポートTX2を用いたディスク再生によるデモンストレーションを展開。ユニークな製品群のサウンドを存分に体験できるブースとなっている。
本稿では、ハイエンド(有)のブースの模様をお伝えしよう。
emm Lab.やKii Audio、Mola Mola、Lansche Audioなど、最先端のテクノロジーを誇るブランドを多く取り扱う同社だが、今年のTIASの会場でも実にユニークな製品を展示している。なかでも石川県七尾市に本拠を置く(株)蜂鳥が現在開発中というテープアンプは注目だ。
(株)蜂鳥は、アメリカ出身で自身も熱心なオーディオファイルだったというジョナサン・ナイト氏が立ち上げた企業。
かつてはデバイスの開発に携わり、日本でその手腕を発揮していた同氏だが、アメリカへ帰国後、「どうせなら好きなことを仕事にしたい」と(株)蜂鳥を立ち上げるに至ったという。その企業名は文字通り生き物の蜂鳥に由来するようで、小さな身体のなかに一言は説明できない、さまざまなことが秘められているというところから採られたそうだ。
このテープアンプは、現在ナイト氏が石川県に居を構えていることから、将来的には輪島塗等の仕上げを施す予定で開発を進めているというが、今回のTIASではまだ外観処理も施されていないプロトタイプが展示されていた。型番等も決まっていないが、現在ジョナサン氏が住んでいる深見市にちなんで、「Fukami」と名付けることを検討中だという。
そんな、経歴もユニークなナイト氏によるこのテープアンプには、さまざまなアイデアが注ぎ込まれている。実はナイト氏は有数のオープンリールコレクターとしても知られる人物で、本機にも氏の経験から得られたノウハウが投入されている。
例えば、フロントパネルに装備された多数のスイッチ類。これは上からNAB/CCIR/AES/RIAAとなっており、帯域ごとにイコライジングの微調整を可能にしているもの。また「昔のテープにはいい加減なものも結構あって、中には片chだけ逆位相のものがある」ため、それぞれのチャンネルの位相を正相/逆相に切り替えるスイッチも装備している。
VUメーターにはピークホールド機能も装備しているが、これも「一度、大量のテープを売りに出すことにした際、データを残しておこうと、1,000本以上のデジタル・アーカイブをしたことがある」というナイト氏の経験に基づくものだ。このピークホールド機能を備え他ことで、他のADコンバーターと組み合わせた場合のゲイン調整等の作業を効率的に行える仕組みとなっている。つまり、ナイト氏のオーディオファイルとしての経験と知見が存分に投入されたのがこのテープアンプなのである。
ハイエンドのブースでは、NAGRAのテープレコーダー「NAGRA T」からこの蜂鳥のテープアンプに接続し、Mola Molaのプリアンプ「Makua」+パワーアンプ「Kaluga」からLansche Audioのコロナ・プラズマ・トゥイーター搭載スピーカーシステム「No.5.2」を鳴らすデモを実施。いずれもユニークなテクノロジーを採用した製品で、本ブースのアナログテープの音は、現代だからこそ味わえるアナログの醍醐味を体感できる。
このほかの新製品として、Mola Molaの単体DAコンバーター「Tambaqui DAC」(¥1,280,000/税別)も初展示。こちらはすでにプリアンプMakuaのオプションとして用意されたDACモジュール「Mola Mola DAC」を単体化したDAコンバーターとなる。
Tambaqui DACは、内部で受けたデジタル信号を3.125MHz/32bitとしたうえで、PWM変調によるノイズシェーピングを実施。32ステージで構成されるFIR DACと、4次I/Vフィルターを経てDA変換を行うという独自のディスクリートDACを搭載する。その結果として130dBという驚異的なS/Nを実現した。
デジタル入力は、USB(Bタイプ)の他、AES/EBU、光TOS、RCA同軸に加え、Roon Readyにも対応したLANやHDMI端子を使用したI2S入力も装備。ヘッドフォン出力はリアパネルに4ピンXLRとφ6.3mmステレオ標準プラグをそれぞれ1系統ずつ装備している。また、対応するサンプルレートは最大でPCM 384kHz/32bit、DSD256。これはUSB入力時だけではなく、Roon Ready使用時にも対応する(この他のデジタル入力に関しては、192kHz/24bitまでの対応)。
今回のTIASでは、この他にもemm LabのSACD/CDトランスポートTX2を用いたディスク再生によるデモンストレーションを展開。ユニークな製品群のサウンドを存分に体験できるブースとなっている。