制作背景も解説
『AKIRA』の音の秘密に迫るイベント、日本科学未来館で開催中。大橋氏チューニングのサラウンドを体験
アニメーション映画の金字塔として世界的にも高い評価を得る『AKIRA』。そのサウンドの魅力を探る展示「『AKIRA』の音 不朽のアニメ映画を彩る未知のサウンド」が、東京・お台場の日本科学未来館で開催されている。日本科学未来館は、4月末に東京都に発令された緊急事態宣言に伴い一時休館していたが、6月からの美術館・博物館への休業要請の緩和にともない、6月2日より営業を再開している。
1986年に公開された『AKIRA』は、2019年のネオ東京を舞台として、現代にも通じるさまざまな問題提起がなされた作品として知られている。またスピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー1』で真っ赤な “金田のバイク” が登場するなど、様々な作品・クリエイターに影響を及ぼしている。
この作品の世界的な高評価に一役買っているのが、芸能山城組が担当した独自の音響世界だ。映画を彩る劇伴やさまざまなサウンドは、芸能山城組を率いる大橋 力氏の世界各国のフィールドワークがベースにある。インドネシアのガムランやジェゴグ、僧侶たちによる声明など、さまざまな「音」を音楽として昇華することで、近未来の東京が効果的に演出されている。
「『AKIRA』の音 不朽のアニメ映画を彩る未知のサウンド」は、未来館3Fの常設スペース「零壱庵」で楽しめる。定員10名程度の小ルームでのデモンストレーションだ。
前半15分は『AKIRA』の音楽制作背景に迫るムービー、後半は2016年に大橋氏が作曲した『交響組曲AKIRA 2016』から「鉄雄のテーマ」の楽曲を聴くことができる。ムービーのスペックは4K、音声も192kHz/24bitのハイレゾクオリティで、6.1chのサラウンド環境となっている。なお、サブウーファーを除く6chのスピーカーは、この展示のために大橋氏が特別に用意したもの。
ムービーでは、「クラウンとの闘い」や「鉄雄の覚醒」など『AKIRA』の中で特に音が効果的に使われたシーンを、「音」の名シーンとして正面のスクリーンで映画の場面を流しながら、左右スクリーンで音の制作背景を解説。解説を見ながら音を聴くことで、それぞれの音にこめられたメッセージをより深く理解できる仕掛けとなっている。
スピーカーにはアンプも内蔵されており、デスクトップモデルといったサイズ感。だが、実際に音を聴かせてもらうと、驚くほど鮮烈な音の立ち上がりと、ひとつひとつの楽器による表現の奥行きが手にとるように再現される。サブウーファーはヤマハ製のものを使用しているが、バイクのうなりや爆発音などの低域の迫力も凄まじい。
『交響組曲AKIRA 2016』の「鉄雄」は音楽のみの再生となるが、身体全体が音楽に満たされるような感覚に陥る。近年、360 Reality AudioやDolby Atmosといったイマーシブサウンドの技術が各社から登場しているが、芸能山城組が作り上げた音空間は、今聴いてもさまざまな示唆を与えてくれる。
この展示のプランニングを担当した未来館の科学コミュニケーターの岩澤大地さんは、科学者と芸術家という「二足のわらじ」を履いていた大橋氏だからこそ、映画公開から30年以上を経てもなお新鮮な驚きを与えてくれる音楽が作られたのではないか、と考えているという。展示プロデュースを担当した高橋里英子さんは「科学者という異質な経歴をもつ大橋先生が、『AKIRA』という大作にどう挑んだのか。独自の音楽性、そして世界観をぜひ現場で体感してほしい」と語ってくれた。
零壱庵は、これまでにもAIの想像力を活用した車のおもちゃの展示など、アートとテクノロジーを融合し、「好奇心の入り口を開く」さまざまなイベントを提案している。科学未来館は子どもと大人が一緒に楽しめるということも重視しており、この「『AKIRA』の音」の展示についても、幅広い年代が訪れそのサウンドを楽しんでいるという。
大橋氏がチューニングを行ったサラウンド環境での『AKIRA』の音を楽しめるのは、ここだけの特別な体験となる。展示期間は2022年の2月まで。入館料は大人630円、18歳以下は210円で、常設展示のひとつという位置づけのため、入館料を支払えば追加の料金は不要だ。
1986年に公開された『AKIRA』は、2019年のネオ東京を舞台として、現代にも通じるさまざまな問題提起がなされた作品として知られている。またスピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー1』で真っ赤な “金田のバイク” が登場するなど、様々な作品・クリエイターに影響を及ぼしている。
この作品の世界的な高評価に一役買っているのが、芸能山城組が担当した独自の音響世界だ。映画を彩る劇伴やさまざまなサウンドは、芸能山城組を率いる大橋 力氏の世界各国のフィールドワークがベースにある。インドネシアのガムランやジェゴグ、僧侶たちによる声明など、さまざまな「音」を音楽として昇華することで、近未来の東京が効果的に演出されている。
「『AKIRA』の音 不朽のアニメ映画を彩る未知のサウンド」は、未来館3Fの常設スペース「零壱庵」で楽しめる。定員10名程度の小ルームでのデモンストレーションだ。
前半15分は『AKIRA』の音楽制作背景に迫るムービー、後半は2016年に大橋氏が作曲した『交響組曲AKIRA 2016』から「鉄雄のテーマ」の楽曲を聴くことができる。ムービーのスペックは4K、音声も192kHz/24bitのハイレゾクオリティで、6.1chのサラウンド環境となっている。なお、サブウーファーを除く6chのスピーカーは、この展示のために大橋氏が特別に用意したもの。
ムービーでは、「クラウンとの闘い」や「鉄雄の覚醒」など『AKIRA』の中で特に音が効果的に使われたシーンを、「音」の名シーンとして正面のスクリーンで映画の場面を流しながら、左右スクリーンで音の制作背景を解説。解説を見ながら音を聴くことで、それぞれの音にこめられたメッセージをより深く理解できる仕掛けとなっている。
スピーカーにはアンプも内蔵されており、デスクトップモデルといったサイズ感。だが、実際に音を聴かせてもらうと、驚くほど鮮烈な音の立ち上がりと、ひとつひとつの楽器による表現の奥行きが手にとるように再現される。サブウーファーはヤマハ製のものを使用しているが、バイクのうなりや爆発音などの低域の迫力も凄まじい。
『交響組曲AKIRA 2016』の「鉄雄」は音楽のみの再生となるが、身体全体が音楽に満たされるような感覚に陥る。近年、360 Reality AudioやDolby Atmosといったイマーシブサウンドの技術が各社から登場しているが、芸能山城組が作り上げた音空間は、今聴いてもさまざまな示唆を与えてくれる。
この展示のプランニングを担当した未来館の科学コミュニケーターの岩澤大地さんは、科学者と芸術家という「二足のわらじ」を履いていた大橋氏だからこそ、映画公開から30年以上を経てもなお新鮮な驚きを与えてくれる音楽が作られたのではないか、と考えているという。展示プロデュースを担当した高橋里英子さんは「科学者という異質な経歴をもつ大橋先生が、『AKIRA』という大作にどう挑んだのか。独自の音楽性、そして世界観をぜひ現場で体感してほしい」と語ってくれた。
零壱庵は、これまでにもAIの想像力を活用した車のおもちゃの展示など、アートとテクノロジーを融合し、「好奇心の入り口を開く」さまざまなイベントを提案している。科学未来館は子どもと大人が一緒に楽しめるということも重視しており、この「『AKIRA』の音」の展示についても、幅広い年代が訪れそのサウンドを楽しんでいるという。
大橋氏がチューニングを行ったサラウンド環境での『AKIRA』の音を楽しめるのは、ここだけの特別な体験となる。展示期間は2022年の2月まで。入館料は大人630円、18歳以下は210円で、常設展示のひとつという位置づけのため、入館料を支払えば追加の料金は不要だ。
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