すべてデンマーク国内で製造

DALI、「RUBIKORE」シリーズ正式発表。フロア型/ブックシェルフ/センターなど各種ラインナップ

公開日 2024/08/26 11:00 ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
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ディーアンドエムホールディングスは、同社が取り扱うデンマーク・DALI(ダリ)ブランドの “RUBIKOREシリーズ” について、10月よりの国内正式展開を発表した。今年のミュンヘン・ハイエンドで発表されたシリーズで、フロア型、ブックシェルフ型に加えてセンター、オンウォールなど幅広いラインナップが展開される。国内展開される製品ラインナップは以下の通り(価格はすべて税込)。

左から「RUBIKORE 8」「RUBIKORE 6」「RUBIKORE 2」「RUBIKORE CINEMA」「RUBIKORE ON-WALL」

・フロアスタンディング型「RUBIKORE 8」:704,000円(1台)
・フロアスタンディング型「RUBIKORE 6」:528,000円(1台)
・ブックシェルフ型「RUBIKORE 2」:264,000円(1台)
・センタースピーカー「RUBIKORE CINEMA」:418,000円(1台)
・オンウォールスピーカー「RUBIKORE ON-WALL」:308,000円(1台)

2014年に発売された “RUBICONシリーズ” の後継となり、2022年に発表されたフラグシップモデル「KORE」の技術を引き継いだ中核モデル。なお、昨年発表された “EPIKORE” はフロア型の「EPIKORE 11」のみの発表となり、センタースピーカーも含めたサラウンドシステムが構築できるラインナップは、KOREの登場以降初となる。


「RUBIKORE 2」のナチュラル・ウォルナット仕上げ
RUBIKOREの設計の基本は、「RUBIKORE 2」に採用されるソフトドームによる29mmトゥイーターと、ウッドファイバー・コーンによる165mmウーファー。「RUBIKORE 6」にはリボントゥイーターが追加されるとともにウッドファイバー・コーンが2基構成、「RUBIKORE 8」はリボントゥイーターの追加とウッドファイバー・コーンが3基構成となっている。


「RUBIKORE 6」のハイグロス・ブラック仕上げ

「RUBIKORE 8」のハイグロス・マルーン仕上げ
本シリーズから新規に搭載される技術的なポイントは4点。磁性流体をなくした低損失ドームトゥイーターの採用、ミッド/ウーファーの「クラリティ・コーン・ダイアフラム」、クロスオーバーネットワークの再設計、バスレフポートの形状変更となる。順番に見ていこう。


RUBIKOREにおいて新たに搭載された4つの技術ポイント
トゥイーターについては、新たに29mmのLow-Loss(低損失)ドーム・トゥイーターを採用。多くのスピーカーで用いられる磁性流体を “採用していない” ことが大きな特徴となる。


新設計のソフトドームトゥイーターをシリーズ全機種に搭載
磁性流体は磁性を帯びた液体のことで、耐熱性能を向上させるほか、安定した品質管理が実現できるため、Bowers&Wilkinsをはじめ世界各国の多くのスピーカーユニットに採用されている。

しかし、同社の澤田氏によると、「磁性流体は液体である以上粘り気があり、高い周波数における鋭敏な反応にブレーキをかけてしまう恐れがあるため、それを嫌ってあえて入れないという選択をしたのではないか」と解説。その代わり、より厳しい耐熱性能と精度が要求されるが、今回のRUBIKOREではそれらの課題をクリアすることができたのだと説明する。


RUBIKORE 2のみソフトドームトゥイーター搭載、残りのモデルはリボンとのハイブリッド構成となっている
またRUBIKORE 6/8に採用されるリボントゥイーターは、14kHzから30kHzを超える周波数に対応する。DALIのソフトドームは27kHzまでに対応しているが、10kHzを超えたあたりから指向性が狭くなるという特性を持つ。澤田氏も、「超高域を補完することに加えて、指向性を確保するために採用されています」と解説、より高い周波数への対応ではなく、あくまで可聴帯域における再生を重視したDALIの開発思想が背景にあるという。


放射線状に窪ませることで均一な再生を狙っている
ミッドレンジ/ウーファーに採用されるSMCドライバーには、新たに「クラリティ・コーン・ダイアフラム」を採用。ダイアフラムの周辺の5箇所の「放物線状のへこみ」がその技術に相当しており、軽量で安定動作が実現できることに加えて、周波数特性に発生するピークやディップを低減するために設けられている。澤田氏によると「DALIはあくまで “紙” を使いたいと考えており、どうすれば均一な再生ができるかを探求している」とDALIならではの開発上の工夫だと語る。


ウーファーのバスケットとユニット
また同社の特許技術であるSMC(Soft Magnetic Compound)も引き続き搭載。SMCはRUBICONから採用された導電率の低い金属のことで、ユニットのボールピースに採用されている。渦電流の除去、磁気ヒステリシスを低減し、高調波歪みの低減に大きく貢献するものとなっている。

またポールピースが前後に移動することで、有効面積、引いてはインダクタンスが位置によって変化してしまうという課題も発生する。そこでボールピースを銅キャップで覆い、銅キャップに小さなスリットを加えることで、コイルの位置によらず特性がほぼフラットになる「インダクタンス・リニアライゼーション」という技術も採用している。


奥がムンドルフ製のM-Cap、手前がSMC KOREクロスオーバー・インダクター
クロスオーバーネットワークも再設計されており、高域にはムンドルフ製のフィルムコンデンサーを新規に採用。内部配線材にもOFCを採用し、パターンを使わないハードワイヤリングで構成されている。またRUBIKORE 6/8にはSMC KOREクロスオーバー・インダクターが採用される。


中央に向かってすぼまった形状の「コンティニュアス・フレア・バスレフポート」
バスレフポートについては、新たに中央が細く外側に行くにつれて太くなる「コンティニュアス・フレア・バスレフポート」を採用。連続的に断面積が変わることでポートの乱気流を抑え、ポートノイズの低減に貢献するという。


背面端子はバイワイヤリング対応となっている
キャビネットは19mm厚のMDFエンクロージャーと、25mm厚のMDFフロントバッフルで構成。中高域(トゥイーター+1基のミッドウーファー)までをひとつのチャンバーとし、低域は別のチャンバーとして構成される。RUBIKORE 6/8のウーファー部はクロスオーバーをずらしたスタガー構成となっている。

すべてデンマーク国内で製造される。仕上げはハイグロス・ブラック、ハイグロス・マルーンの2種類を全モデルについて用意。RUBIKORE 8、6、2についてはナチュラル・ウォルナットも用意する。また全機種について受注生産でハイグロス・ホワイトにも対応する。

RUBIKORE 8のサイズは1110W×220W×444Dmm、質量は30kg、周波数特性は38Hz-34kHz。RUBIKORE 6のサイズは990W×200W×380Dmm、質量は23kg、周波数特性は38Hz-34kHz。RUBIKORE 2のサイズは350W×195W×335Dmm、質量は9.5kg、周波数特性は50Hz-26kHz。いずれもバイワイヤリングに対応する。

センタースピーカーRUBIKORE CINEMAはリボントゥイーター、ソフトドームトゥイーター、2基のウッドファイバーコーンで構成。サイズは197W×581W×400Dmm、質量は16kg、周波数特性は49Hz - 34kHz。オンウォールスピーカーRUBIKORE ON-WALLはリボントゥイーター、ソフトドームトゥイーター、1基のウッドファイバーコーンで構成され、サイズは465W×278W×142Dmm、質量は8.5kg、周波数特性は59Hz - 34kHz。本機のみシングルワイヤリングとなっている。

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