《ハンマークラヴィーア》など生演奏も披露

辻井伸行さん、Apple表参道に登場。空間オーディオは「生の演奏を聴いているかのような臨場感」

公開日 2025/02/13 14:40 筑井真奈
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世界的ピアニストである辻井伸行さんが、Apple表参道のイベント「Today at Apple」に登場。ドイツ・グラモフォンから昨年発売された『ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番《ハンマークラヴィーア》、遥かなる恋人に』が、ドルビーアトモスフォーマットにて配信スタートしたことを受け、ドルビーアトモスサウンドの魅力や辻井さんとAppleの関わりを語った。

Apple表参道に辻井伸行さんが登場

イベント冒頭から、《ハンマークラヴィーア》第一楽章、ショパン「ノクターン第8番」、リスト「リゴレット・パラフレーズ」の3曲をスタインウェイのピアノにて披露。その強靭なピアノタッチ、超絶技巧と繊細な音色感に思わず引き込まれてしまう。

《ハンマークラヴィーア》を含む3曲を生演奏した

辻井さんは、2024年にドイツ・グラモフォンとグローバル専属契約を締結、先述のアルバムはその第一弾作品となる。トークタイムでは、ドイツ・グラモフォンでのデビュー作として《ハンマークラヴィーア》を選んだ理由を改めて語った。

辻井さんは2009年に「ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール」にて日本人として初優勝したことがデビューの大きなきっかけとなったが、その時に演奏した曲が《ハンマークラヴィーア》であった。「《ハンマークラヴィーア》は全32曲あるベートーヴェンのソナタの中でも最も難しいと言われている曲で、とにかく体力的・精神的にも非常に大変な曲でした。ベートーヴェンが耳が聴こえなくなってきてからの作品で、自分との戦い、葛藤や苦しみ、痛みなどがあります。最後は戦いに勝利するのですが、その長い旅をお客さんに届けるのは非常に苦労しました」

《ハンマークラヴィーア》収録の背景を語る

今回、ドイツ・グラモフォンで収録するにあたり改めてゼロからスコアを読み直したとのことで、「30代になって改めて学び直して、少しこの曲が理解できるようになったかな」と手応えを語る。収録はベルリンの録音スタジオで行われたが、ベートーヴェンも過ごしたドイツの街や自然を体験できたことも作品に良い影響を与えたと振り返った。

ベートーヴェン以外の好きな作品については、ピアノを始めるきっかけとなったショパン、またフランス人作曲家としてドビュッシーやラヴェルなどの名をあげた。特にラヴェルの「水の戯れ」は、自然と触れ合う時にぴったりの楽曲ということで、「水が流れている感じや水飛沫の強い音、優しい水の流れといった様々な要素があるのが魅力です」と推薦した。

Apple Music Classicalも日頃から活用しているそうで、「聴きたい音楽や作曲家を検索するとたくさん出てくるので非常に便利です」。さらにAirPodsで体験した空間オーディオについても、「生の演奏を聴いているかのような臨場感があります」と絶賛。さらに、「ノイズキャンセリング機能も有効で、外の雑音をなくして音楽だけに集中できます。コンサートホールで自分の近くで演奏してくれているような体験ができます」と評価した。

Apple Music Classicalも活用していると語る辻井さん

また今後チャレンジにしたいことについて尋ねられると、「ピアノのレパートリーは限りなくあるので、いろんな作品をさらに勉強していきたいです」と展望を語る。「大好きなベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲にも挑戦したいですし、ロシアもののソロ作品などもレパートリーにしたいです」と力強い。

イベントの最後には、リスト「ラ・カンパネラ」を披露。スタインウェイのピアノから引き出される超絶技巧、その音色の豊かさにはすっかり言葉を失ってしまう。

イベント最後には「ラ・カンパネラ」を披露し会場を沸かせた

Apple Music Classicalでは、ドイツ・グラモフォンから発売された『ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番《ハンマークラヴィーア》、遥かなる恋人に』がロスレス・ドルビーアトモスの両フォーフォーマットで配信されている。また、既発売の「ショパン:ピアノ協奏曲第2番&ノクターン」についても、ドルビーアトモスで改めて配信される予定だという。

辻井伸行さんの音源もApple Music Classicalで楽しめる

《ハンマークラヴィーア》はドルビーアトモスでも配信されている

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