世界初、DACと増幅回路搭載、低温ポリシリコン回路一体型ディスプレイを東芝が開発
低温ポリシリコンTFT液晶は、ガラス基板上に形成したポリシリコンTFTを使って液晶を駆動するディスプレイで、 液晶画面を制御する周辺回路を基板上に直接形成でき、部品点数を削減できる。今回開発した技術は、こうした基板上への一体形成をさらに進展させたもので、 一層の半導体部品点数の削減と小型軽量化を可能にする。
東芝は、1998年、世界で初めて低温ポリシリコンTFTを用いた大型液晶ディスプレイの量産化に成功して以来、 ノートPC、PDA、eBookなどの高精細ディスプレイの製品化のみならず、 業界最大サイズとなる15型UXGAや、 メモリ搭載反射型ディスプレイの製品開発などを手掛けてきた。
今回、ポリシリコンの形成に必要なエキシマレーザアニール技術の改良により、 電子移動度を従来のポリシリコンの1.5倍に高めると同時にポリシリコン表面の平坦化に成功し、 さらに、加工技術を従来の4ミクロンから3ミクロンへと微細化を実現した。 これらの技術開発により、ガラス基板上回路の集積度及び性能の向上が可能となり、 従来のポリシリコンに比べて5倍(素子数比、同社比)の密度での一体形成が実現した。
プロセス技術の改良と合わせて、独自の設計思想に基づいて精度および安定性に優れた新回路技術を開発し、 6ビット階調26万色表示可能なアナログ回路(DAC及び増幅回路)の搭載を実現。 これにより、半導体部品点数を削減でき、低コスト化のみならず、 外部回路基板も縮小でき、全体として小型軽量化が実現している。
この新技術は、液晶が透過型・反射型にかかわらず、携帯電話向けを始めとして、 PDA、モバイルPCなどに向けた液晶モジュールに適用でき、さらなる半導体部品点数の削減、小型軽量化を可能にする。 また、反射型においては、表示画素の各ドットへの1ビットのSRAM内蔵技術も併用でき、 静止画像表示時における消費電力を削減できる。 さらに、デジタル回路、アナログ回路をともに形成できるようになったことで、 ガラス基板上に形成できる回路の応用が広がり、システムオングラスの実現に大きく近づくことができたものである。(Phile-web編集部)