「手軽な大画面テレビ」をコンセプトにPTV市場50%超のシェアを目指すエプソン
セイコーエプソン(株)、ならびにエプソンダイレクト(株)は本日、プロジェクションテレビ「LIVINGSTATION」Sシリーズの新製品記者発表会を開催した。会場には両社のキーパーソンが足を運び、新製品に関連する事業戦略を語った。
はじめに登壇したセイコーエプソン(株)代表取締役副社長の丹羽憲夫氏からは、同社のプロジェクションテレビ市場における事業展開のビジョンが示された。
丹羽氏はデジタル化がいっそう進む今日が、新しい価値をユーザーに提供できるチャンスの時期であると位置づけながら「コア・テクノロジーを持っている会社として今後も積極的なチャレンジをして行きたい」と意気込みを語った。
今回のSシリーズについては「前モデルよりさらに購入しやすい製品」が開発のテーマに掲げられたという。特に2005年の夏商戦期をターゲットに発売するにあたって、「ボーナス時期にテレビの購入分として確保できる家庭の予算に合致する価格設定」を重視したという。
同社としては、今後も成長を続ける大画面テレビ市場において、プロジェクションテレビという商材に注力しながらシェア拡大を狙っていくという。丹羽氏は「2004年におけるプロジェクションテレビの販売実績は50%のシェアを獲得したが、2005年はライバルメーカーが続々と市場に参入し活気づいている。当社の予測としては市場はおよそ3万台規模に成長すると考えているが、2005年は50%超えるシェア獲得を目指して行きたい」と抱負を語った。
続いてセイコーエプソン(株)取締役 映像機器事業部長の内田健治氏が新製品のコンセプトを説明した。今回の新製品を開発するにあたり、これまでダイレクト販売の販売形態をとってきたことによって、ユーザーの声を幅広く集められ、それを開発のアイデアとして盛り込むことができたと内田氏は語る。
さらに調査によって「30インチ以上の大画面テレビを購入する予算は約30万円」であること、「予算に余裕があれば実際は40インチ・50インチ以上の製品を買いたいという声が7割近くを占める」ことが明らかになったという。この結果を受け、販売時の価格設定について内田氏は、「大型サイズのテレビで戦略的な販売価格を実現することが重要な開発コンセプトとなった」とした。
また新製品については「身近な大画面・高画質テレビ、ユーザーと環境に配慮したやさしいテレビを実現することができた。新しいリビングステーションは液晶テレビやPDPと比較してもコストパフォーマンスが高いという魅力を前面に打ち出すことができただろう」と期待を語った。
続いてエプソンダイレクト(株)より取締役社長の山田明氏が新製品の販売戦略について説明した。山田氏は2004年5月のリビングステーションシリーズ販売開始以後、ダイレクト販売のアドバンテージを着実に活かすことができていると語る。特に「お客様の声をすばやく商品開発に反映させること」により、新製品について「配送・設置」「ユーザーサポート」など販売面においても適切なサービスをユーザーに提供できるであろうとした。
山田氏はまた販売拡大の大きなキーポイントの一つとして、ユーザーが商品を体験できる機会を増やしていくことを指摘する。今後は「体感サテライト」や「イベント・フェア」を全国的に展開しながら、リビングステーション「Sシリーズ」として年間12,000台販売の目標を達成していきたいとした。
以下に本日の発表会で行われた質疑応答の模様をご紹介する。
Q:Sシリーズの販売目標が12,000台とされているが、Pシリーズの2004年の販売実績と今年の予測は
A:リビングステーション全体の目標として、15,000台を狙っていきたい。2004年は投入時に1万台を予測したが、実績は2,000台ほどであった。Pシリーズはおよそ3,000台の売り上げを期待している
Q:今回掲げられた販売目標数字は国内のみか、またはワールドワイドのものか
A:国内だけの目標である。海外は北米のみの展開となるので、その数字次第となるが、ご承知の通り北米には元々プロジェクションTVの大きなマーケットがあった。競争が非常に厳しい中での参戦なので、量販店よりもAV専門店をメインとした販売展開となっている。いずれ北米での販売数はそれほど大きくない。昨年の日本の市場にプラス・アルファくらいと見込んでいる。基本的には国内で販売数を拡大したいと考えている
Q:今年はどの地域でショールームの拡大を計画しているのか
A:関東・関西・北陸・中国各地区で4箇所、良いエリアを探してるところだ
Q:先日発表のあった「クリスタルクリアファイン」を搭載したプロジェクションTVの計画は
A:デバイスのリリースは2006年度を予定している。これを取り入れた商品についてもその時期あたりと考えている
Q:フルHD対応への計画は
A:できるだけ早い時期に商品化して発表したいと考えている
Q:各メーカーからプロジェクションテレビの店頭展示が増えてきているが、エプソンとしては店頭展開をどう考えているのか
A:市場の認知度が低い段階ではダイレクト販売がお客様の声を聞く上でもっとも良い方法であると考えてきた。今後も当面はダイレクト販売をつづけていきたい。将来的には販売チャンネルを増やすことも考えていきたい
Q:60インチ以上の大画面化は計画としてあるのか
A:60インチ以上はお客様の声を聞いて、必要ならトライしたい。当面は今のラインナップのサイズ展開となるだろう
Q:プロジェクションについては視野角に課題があるとされているが、この点についてユーザーから指摘はあるのか
A:確かにユーザーから視野角に関する指摘もいただいている。実際に部屋の中に置いて見ていただく分には支障はないと説明して、納得していただけるお客様が多い。ただし改善策についても色々な方法で進めている。ひとつは明るさをアップして視野角をカバーする方法がある。それ以外の点でも対策を進めている
Q:海外展開の取り組みは
A:昨年通りアメリカ・北米と日本で当面は進めていきたい
Q:今回低価格化を実現できた要因は具体的にどこにある
A:一番大きいのはコアパーツである光学エンジンのコストダウンが実現できたところ。部品の内製化、海外からの部品調達を達成した。それ以外の部品もコストダウンを図ることができた
Q:プロジェクションTVがアメリカに比べて遅れた原因をどのように考察する
A:基本的には日本の家屋の構造がプロジェクションTVにふさわしくなかったためと考える。最近になって、家庭のリビングが大きくなっている。これがお客様の指向がプロジェクションTVに向かう要因となってきていると解釈する
Q:今後プロジェクションTVが35インチ以上の市場でどれくらいの比率を占めると考察する
A:検討はつかないが、40インチクラス全体の20%から30%をエプソンとしては目指したい
Q:昨年実績は2,000台とのことだが、1万台の目標に対して発生した赤字は現在どれくらいか。これを黒字に転換する目標を聞かせて欲しい
A:昨年度は確かに赤字となったが、金額はそれほど多くなく1桁の億と考えて欲しい。マーケットへの投資が現在のところ費用として大きいと考えている。今年度の目標値をクリアできればトータルでイーブンにでき、来年は少しは黒字へ向くだろう
【問い合わせ先】
リビングステーション お問い合わせ専用ダイヤル
エプソンダイレクト受注センター
TEL/0120-545-013
(Phile-web編集部)
はじめに登壇したセイコーエプソン(株)代表取締役副社長の丹羽憲夫氏からは、同社のプロジェクションテレビ市場における事業展開のビジョンが示された。
丹羽氏はデジタル化がいっそう進む今日が、新しい価値をユーザーに提供できるチャンスの時期であると位置づけながら「コア・テクノロジーを持っている会社として今後も積極的なチャレンジをして行きたい」と意気込みを語った。
今回のSシリーズについては「前モデルよりさらに購入しやすい製品」が開発のテーマに掲げられたという。特に2005年の夏商戦期をターゲットに発売するにあたって、「ボーナス時期にテレビの購入分として確保できる家庭の予算に合致する価格設定」を重視したという。
同社としては、今後も成長を続ける大画面テレビ市場において、プロジェクションテレビという商材に注力しながらシェア拡大を狙っていくという。丹羽氏は「2004年におけるプロジェクションテレビの販売実績は50%のシェアを獲得したが、2005年はライバルメーカーが続々と市場に参入し活気づいている。当社の予測としては市場はおよそ3万台規模に成長すると考えているが、2005年は50%超えるシェア獲得を目指して行きたい」と抱負を語った。
続いてセイコーエプソン(株)取締役 映像機器事業部長の内田健治氏が新製品のコンセプトを説明した。今回の新製品を開発するにあたり、これまでダイレクト販売の販売形態をとってきたことによって、ユーザーの声を幅広く集められ、それを開発のアイデアとして盛り込むことができたと内田氏は語る。
さらに調査によって「30インチ以上の大画面テレビを購入する予算は約30万円」であること、「予算に余裕があれば実際は40インチ・50インチ以上の製品を買いたいという声が7割近くを占める」ことが明らかになったという。この結果を受け、販売時の価格設定について内田氏は、「大型サイズのテレビで戦略的な販売価格を実現することが重要な開発コンセプトとなった」とした。
また新製品については「身近な大画面・高画質テレビ、ユーザーと環境に配慮したやさしいテレビを実現することができた。新しいリビングステーションは液晶テレビやPDPと比較してもコストパフォーマンスが高いという魅力を前面に打ち出すことができただろう」と期待を語った。
続いてエプソンダイレクト(株)より取締役社長の山田明氏が新製品の販売戦略について説明した。山田氏は2004年5月のリビングステーションシリーズ販売開始以後、ダイレクト販売のアドバンテージを着実に活かすことができていると語る。特に「お客様の声をすばやく商品開発に反映させること」により、新製品について「配送・設置」「ユーザーサポート」など販売面においても適切なサービスをユーザーに提供できるであろうとした。
山田氏はまた販売拡大の大きなキーポイントの一つとして、ユーザーが商品を体験できる機会を増やしていくことを指摘する。今後は「体感サテライト」や「イベント・フェア」を全国的に展開しながら、リビングステーション「Sシリーズ」として年間12,000台販売の目標を達成していきたいとした。
以下に本日の発表会で行われた質疑応答の模様をご紹介する。
Q:Sシリーズの販売目標が12,000台とされているが、Pシリーズの2004年の販売実績と今年の予測は
A:リビングステーション全体の目標として、15,000台を狙っていきたい。2004年は投入時に1万台を予測したが、実績は2,000台ほどであった。Pシリーズはおよそ3,000台の売り上げを期待している
Q:今回掲げられた販売目標数字は国内のみか、またはワールドワイドのものか
A:国内だけの目標である。海外は北米のみの展開となるので、その数字次第となるが、ご承知の通り北米には元々プロジェクションTVの大きなマーケットがあった。競争が非常に厳しい中での参戦なので、量販店よりもAV専門店をメインとした販売展開となっている。いずれ北米での販売数はそれほど大きくない。昨年の日本の市場にプラス・アルファくらいと見込んでいる。基本的には国内で販売数を拡大したいと考えている
Q:今年はどの地域でショールームの拡大を計画しているのか
A:関東・関西・北陸・中国各地区で4箇所、良いエリアを探してるところだ
Q:先日発表のあった「クリスタルクリアファイン」を搭載したプロジェクションTVの計画は
A:デバイスのリリースは2006年度を予定している。これを取り入れた商品についてもその時期あたりと考えている
Q:フルHD対応への計画は
A:できるだけ早い時期に商品化して発表したいと考えている
Q:各メーカーからプロジェクションテレビの店頭展示が増えてきているが、エプソンとしては店頭展開をどう考えているのか
A:市場の認知度が低い段階ではダイレクト販売がお客様の声を聞く上でもっとも良い方法であると考えてきた。今後も当面はダイレクト販売をつづけていきたい。将来的には販売チャンネルを増やすことも考えていきたい
Q:60インチ以上の大画面化は計画としてあるのか
A:60インチ以上はお客様の声を聞いて、必要ならトライしたい。当面は今のラインナップのサイズ展開となるだろう
Q:プロジェクションについては視野角に課題があるとされているが、この点についてユーザーから指摘はあるのか
A:確かにユーザーから視野角に関する指摘もいただいている。実際に部屋の中に置いて見ていただく分には支障はないと説明して、納得していただけるお客様が多い。ただし改善策についても色々な方法で進めている。ひとつは明るさをアップして視野角をカバーする方法がある。それ以外の点でも対策を進めている
Q:海外展開の取り組みは
A:昨年通りアメリカ・北米と日本で当面は進めていきたい
Q:今回低価格化を実現できた要因は具体的にどこにある
A:一番大きいのはコアパーツである光学エンジンのコストダウンが実現できたところ。部品の内製化、海外からの部品調達を達成した。それ以外の部品もコストダウンを図ることができた
Q:プロジェクションTVがアメリカに比べて遅れた原因をどのように考察する
A:基本的には日本の家屋の構造がプロジェクションTVにふさわしくなかったためと考える。最近になって、家庭のリビングが大きくなっている。これがお客様の指向がプロジェクションTVに向かう要因となってきていると解釈する
Q:今後プロジェクションTVが35インチ以上の市場でどれくらいの比率を占めると考察する
A:検討はつかないが、40インチクラス全体の20%から30%をエプソンとしては目指したい
Q:昨年実績は2,000台とのことだが、1万台の目標に対して発生した赤字は現在どれくらいか。これを黒字に転換する目標を聞かせて欲しい
A:昨年度は確かに赤字となったが、金額はそれほど多くなく1桁の億と考えて欲しい。マーケットへの投資が現在のところ費用として大きいと考えている。今年度の目標値をクリアできればトータルでイーブンにでき、来年は少しは黒字へ向くだろう
【問い合わせ先】
リビングステーション お問い合わせ専用ダイヤル
エプソンダイレクト受注センター
TEL/0120-545-013
(Phile-web編集部)