「9回裏までシェアアップをねらう」 − 東芝REGZA新モデル発表会詳報
既報の通り、(株)東芝は、液晶テレビ“REGZA”新製品12モデルを発表した。ここでは、発表会の模様と質疑応答の全問全答をご紹介しよう。
発表会では、まず同社執行役常務 デジタルメディアネットワーク社 副社長の新倉諭氏が、今年度下期の国内テレビ事業戦略について説明。新倉氏は、「国内の薄型テレビ誌上は急速に拡大しており、テレビ=薄型テレビという時代に突入した」と市場を分析。デバイス別の構成比については、「40V型では以前から9割が液晶だが、40〜50V型市場でも、直近では70%程度が液晶となり、構成比が急拡大している」とのデータを示した。
この状況を受け、「従来、液晶テレビの全モデルを一気にモデルチェンジするということは行ってこなかったが、今回は3シリーズ、6サイズの全12モデルを、年末商戦に向けて一斉に投入する」と商品戦略を説明した。
また、広告展開については、引き続きヤンキースの松井秀喜選手をメインキャラクターに起用し、REGZAブランドの認知拡大を図る。
シェアについては、「国内は非常に激戦区だが、26V型以上の液晶テレビ市場で、国内シェア15%以上を目標にする」と説明。「大変厳しい状況ではあるが、9回の裏までシェア拡大をねらっていく」とした。
なお新倉氏は、国内・海外の直近のシェアを説明。「国内の4〜7月は12%程度で、3位グループに入ったと認識している。従来は10%も無かったので、REGZAブランドに切り換えた効果があったと考えている。海外では、ドイツでのシェアが5%から9%に上がり、ここでも3位グループに入った。イギリスはまだまだだが、6%のシェアが8%程度に上がった。中国はローカルメーカー対外資という構図が鮮明になっている。当社のシェアは1%程度上がって6.4%となった。特筆すべき点としては、47V型では3割のシェアを占め、1位になったことが挙げられる。アメリカは低迷しており、現在4〜6%程度のシェアだ。総じてREGZA投入以後、シェアは着実に向上している」。
商品の詳細については、デジタルメディアネットワーク社 テレビ事業部 テレビ商品企画部部長の徳光重則氏が説明。こちらのニュースでご紹介したとおり、ミニマルデザインや「新メタブレイン・プロ」による画質の向上などが説明された。
また、REGZAの画質についてはテレビ事業部 TV設計第一部 主査の松尾多喜男氏が、デザインについては東芝デザインセンター 映像機器デザイン担当 グループ長の伊豆祐一氏がそれぞれ登壇し、くわしく説明した。
松尾氏は、テレビの画作りについて、「テレビはそもそも自然界の色の40%程度しか再現できない。だから、自分の目で見た映像を完璧に再現することは不可能。そこにテレビ屋の存在価値がある。我々の仕事は単なるモニターを作ることではない」と説明。Z2000シリーズについては「新メタブレイン・プロ」により、質感をいかに表現するかに腐心したという。松尾氏はまた、「とにかく画質第一優先で、ハードとソフト、そして画作りの技術者が一体になって努力した」とも述べ、開発陣が苦心を重ねて高画質を目指したことを強調した。
デザインを担当した伊豆氏は、「テレビはデザインする箇所があまり無いかのように言われることがあるが、実はフレームの厚みを数ミリ変えるだけで雰囲気が変わり、とても難しい。今回は『画面を主役に』をキーワードに、スタンド、フレーム、リモコンの3点にこだわってデザインした。ミニマルデザインが基調だが、簡潔な中にも緊張感を持たせることを目標とした」と説明した。
また発表会には、4thメディアを展開する(株)ぷららネットワークスの中岡聡氏も登場。「Z1000で4thメディアに対応して頂いたが、SD画質のコンテンツしか用意できず、悔しい思いをしていた。地上デジタルの普及拡大に伴い、ハイビジョンコンテンツに関する問い合わせも増えている。今回のHD対応は、Z1000の発売後すぐに打ち合わせを行い、検討に検討を重ねて実現したものだ」とサービス導入の経緯を述べた。
以下、発表会の最後に行われた質疑応答の模様をご紹介する。
Q: 最近は一つのリモコンでレコーダーを操作できるモデルが増えているが、これについてはどう考えているか。
A: 当社では、以前からLAN経由でレコーダーを操作する「テレビdeナビ」機能を搭載している。HDMIのC.E.C.規格を使ったコントロールにも今後対応していきたい。
Q: Z2000は某社のテレビに似ているように感じるが。
A: スタンドの幅が広くなったのでそう感じる方もいるかもしれないが、今そう聞かれるまで似ているとは全く気づかなかった。スタンド一つ取っても、15種類くらい試作した中から選んでいる。
Q: グローバルシェア10%を目標に掲げていたと思うが、現状のシェアはどの程度か。
A: シンガポールなど、国によっては第三者のデータが手に入らない場所がある。このためすべてのデータは揃っていないが、推定では6〜7%程度ではないかと考えている。ほとんどの地域でシェアが数%上がっており、REGZAブランドが浸透してきた成果ではないかと考えている。
Q: REGZAブランドの浸透具合についてどう評価しているか?
A: アンケート調査での認知度はまだ15%程度。社内的な内部目標は20%程度で、広告の投資対効果としてはまあまあかな、と思っている。
Q: 年末商戦に向けた、IPS液晶パネルの供給状況を教えて欲しい。東芝はIPSアルファテクノロジへの増資を行わなかったと思うが、これが供給量に関係することはあるか。
A: 増資はデジタルメディアネットワーク社ではなく、コーポレートとしての東芝本体が決めている。投資が無いから供給が減る、という認識はない。また、国内はIPS方式で展開するが、他の地域は必ずしもIPSではない。地域によって最適なパネルを選定していく。
Q: ブランド認知をさらに高めるため、広告出稿量を増大する計画はあるか?
A: 我々のテレビ事業は黒字ではない。黒字展開が目下の大きな課題で、今のところ大量に広告費をつぎ込むということは考えていない。できるだけ少ない金額で認知を上げていきたい。
(Phile-web編集部)
発表会では、まず同社執行役常務 デジタルメディアネットワーク社 副社長の新倉諭氏が、今年度下期の国内テレビ事業戦略について説明。新倉氏は、「国内の薄型テレビ誌上は急速に拡大しており、テレビ=薄型テレビという時代に突入した」と市場を分析。デバイス別の構成比については、「40V型では以前から9割が液晶だが、40〜50V型市場でも、直近では70%程度が液晶となり、構成比が急拡大している」とのデータを示した。
この状況を受け、「従来、液晶テレビの全モデルを一気にモデルチェンジするということは行ってこなかったが、今回は3シリーズ、6サイズの全12モデルを、年末商戦に向けて一斉に投入する」と商品戦略を説明した。
また、広告展開については、引き続きヤンキースの松井秀喜選手をメインキャラクターに起用し、REGZAブランドの認知拡大を図る。
シェアについては、「国内は非常に激戦区だが、26V型以上の液晶テレビ市場で、国内シェア15%以上を目標にする」と説明。「大変厳しい状況ではあるが、9回の裏までシェア拡大をねらっていく」とした。
なお新倉氏は、国内・海外の直近のシェアを説明。「国内の4〜7月は12%程度で、3位グループに入ったと認識している。従来は10%も無かったので、REGZAブランドに切り換えた効果があったと考えている。海外では、ドイツでのシェアが5%から9%に上がり、ここでも3位グループに入った。イギリスはまだまだだが、6%のシェアが8%程度に上がった。中国はローカルメーカー対外資という構図が鮮明になっている。当社のシェアは1%程度上がって6.4%となった。特筆すべき点としては、47V型では3割のシェアを占め、1位になったことが挙げられる。アメリカは低迷しており、現在4〜6%程度のシェアだ。総じてREGZA投入以後、シェアは着実に向上している」。
また、REGZAの画質についてはテレビ事業部 TV設計第一部 主査の松尾多喜男氏が、デザインについては東芝デザインセンター 映像機器デザイン担当 グループ長の伊豆祐一氏がそれぞれ登壇し、くわしく説明した。
松尾氏は、テレビの画作りについて、「テレビはそもそも自然界の色の40%程度しか再現できない。だから、自分の目で見た映像を完璧に再現することは不可能。そこにテレビ屋の存在価値がある。我々の仕事は単なるモニターを作ることではない」と説明。Z2000シリーズについては「新メタブレイン・プロ」により、質感をいかに表現するかに腐心したという。松尾氏はまた、「とにかく画質第一優先で、ハードとソフト、そして画作りの技術者が一体になって努力した」とも述べ、開発陣が苦心を重ねて高画質を目指したことを強調した。
デザインを担当した伊豆氏は、「テレビはデザインする箇所があまり無いかのように言われることがあるが、実はフレームの厚みを数ミリ変えるだけで雰囲気が変わり、とても難しい。今回は『画面を主役に』をキーワードに、スタンド、フレーム、リモコンの3点にこだわってデザインした。ミニマルデザインが基調だが、簡潔な中にも緊張感を持たせることを目標とした」と説明した。
以下、発表会の最後に行われた質疑応答の模様をご紹介する。
Q: 最近は一つのリモコンでレコーダーを操作できるモデルが増えているが、これについてはどう考えているか。
A: 当社では、以前からLAN経由でレコーダーを操作する「テレビdeナビ」機能を搭載している。HDMIのC.E.C.規格を使ったコントロールにも今後対応していきたい。
Q: Z2000は某社のテレビに似ているように感じるが。
A: スタンドの幅が広くなったのでそう感じる方もいるかもしれないが、今そう聞かれるまで似ているとは全く気づかなかった。スタンド一つ取っても、15種類くらい試作した中から選んでいる。
Q: グローバルシェア10%を目標に掲げていたと思うが、現状のシェアはどの程度か。
A: シンガポールなど、国によっては第三者のデータが手に入らない場所がある。このためすべてのデータは揃っていないが、推定では6〜7%程度ではないかと考えている。ほとんどの地域でシェアが数%上がっており、REGZAブランドが浸透してきた成果ではないかと考えている。
Q: REGZAブランドの浸透具合についてどう評価しているか?
A: アンケート調査での認知度はまだ15%程度。社内的な内部目標は20%程度で、広告の投資対効果としてはまあまあかな、と思っている。
Q: 年末商戦に向けた、IPS液晶パネルの供給状況を教えて欲しい。東芝はIPSアルファテクノロジへの増資を行わなかったと思うが、これが供給量に関係することはあるか。
A: 増資はデジタルメディアネットワーク社ではなく、コーポレートとしての東芝本体が決めている。投資が無いから供給が減る、という認識はない。また、国内はIPS方式で展開するが、他の地域は必ずしもIPSではない。地域によって最適なパネルを選定していく。
Q: ブランド認知をさらに高めるため、広告出稿量を増大する計画はあるか?
A: 我々のテレビ事業は黒字ではない。黒字展開が目下の大きな課題で、今のところ大量に広告費をつぎ込むということは考えていない。できるだけ少ない金額で認知を上げていきたい。
(Phile-web編集部)