<Display 2007 基調講演>東芝 藤井氏、パイオニア 山田氏が語るテレビの未来
フラットパネルディスプレイの総合展示会「Display 2007」「第17回 FINETECH JAPAN」が本日11日より3日間、東京ビッグサイトで開催されている。
会期初日の本日、「ポスト“ハイビジョン”を狙う“スーパーハイビジョン”〜FPDへの期待と可能性」と題した基調講演が開催された。講演を行ったのは、NHK技研所長の谷岡氏、東芝 デジタルネットワーク社 社長の藤井氏、パイオニア 専務取締役の山田氏の3名だ。
本項では東芝 藤井氏、パイオニア 山田氏の講演の内容をレポートする。
■次世代における家庭用テレビの役割と将来ビジョン
(株)東芝 執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長
藤井美英氏
まず初めに藤井氏は、「HD DVDや半導体のことならいくらでも話せるが、テレビについて話してほしいと頼まれて困ってしまった」という挨拶で会場の笑いを誘った。
「家庭用テレビの将来」という本題に入る前に同氏は、テレビを取り巻く現状について語った。最近のテレビ市場は世界的に広がりを見せ、グローバルでの競争が進んでいる。しかしテレビのトレンドは国によって大きく違い、国際化が難しいという。またインターネットに関しては、利用者が急増しており、かなり多くの人が、何か商品を買う際に前もってネットでチェックしているという統計が出ていると説明した。
また、デジタルというキーワードで現状を見てみると、「液晶対PDP」や「HDD対メモリー」など、日本では1対1の対決構造として捉えられがちで、この二極化がまさにデジタルと呼べるのではないかと語った。
そして藤井氏は、「結論から言ってしまえば、市場はコンテンツが主体になっていくと思う。テレビとPC、放送と通信がいかに共存していくかが重要な課題になっていくだろう」と説明した。
現在のテレビは、放送事業者、スポンサー、通信キャリア、メーカー、視聴者など、様々なステークホルダーを満足させる必要が出てきており、「これらのステークホルダーが求めるものが今後のテレビのスペックを決めていくだろう」というのが同氏の意見。さらに、ここ数年でデジタル化、ハイビジョン化といった映像コンテンツ自体の大きな変化や、HDDなどの小型・大容量化によるストレージの変化、AVとPCの融合の急速な進展など、様々な環境の変化が起こっていることを示した。
同氏は、「これらがいかに繋がっていくのかがユーザーの一番の関心ではないだろうか」とし、「テレビ自体の進化、周辺機器に同調した進化が必要だ」と強調。とくにHDMIやDLNAの搭載は2〜3年で必須のものになるだろうと語った。
ストレージに関しては、HDDはより大容量化の方向に進み、小さいデータについてはフラッシュメモリーの利用が増えていくのではないかと話した。
最後に同氏は今後のテレビについて、世界中のどんなものでも体験できる“テレポートマシン”として、また、過去の映像を体験できたり、未来に映像を残したりできる“タイムマシン”として進化していくだろうとまとめた。
■超高画質、高精細を実現する最先端FPD動向
パイオニア(株) 専務執行役 技術開発部長 兼 総合研究所長
山田宰氏
最後に登壇した山田氏は、デジタル放送の普及、高画質PDPを実現するための同社の取り組みなどについて語った。
同社がプラズマテレビを初めに発売したのが1997年で、その3年後の2000年にBSデジタル放送が開始された。同氏は、この時期がデジタル放送&FPDの時代の始まりであると説明。またアナログ放送が終了する2011年は、欧州でもデジタル化が進む時期で、「放送業界の大きな変革の時期になるのでは」と語った。
同社のPDPについては、第1世代モデルからの進化の系譜をパワーポイントで紹介。毎世代で新技術を投入し画質の向上を図ってきたことをアピールした。また、2006年に発売したPDP-5000EXで大きな評価を獲得したことや、先日発表した新モデルPDP-A507HXがさらなる新技術を採用したことを紹介。現在は、昨年のCEATECや年初のCESで公開した、次世代パネル(関連記事)の開発を進めていると説明した。
また同社は、スーパーハイビジョン対応のPDPについても開発を進めており、現時点で画素ピッチ0.36mm×0.36mm、1,150×540画素で18インチというPDPのプロトタイプを完成させている。この画素ピッチの場合、125インチでスーパーハイビジョンを実現できるという。
(Phile-web編集部)
会期初日の本日、「ポスト“ハイビジョン”を狙う“スーパーハイビジョン”〜FPDへの期待と可能性」と題した基調講演が開催された。講演を行ったのは、NHK技研所長の谷岡氏、東芝 デジタルネットワーク社 社長の藤井氏、パイオニア 専務取締役の山田氏の3名だ。
本項では東芝 藤井氏、パイオニア 山田氏の講演の内容をレポートする。
■次世代における家庭用テレビの役割と将来ビジョン
(株)東芝 執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長
藤井美英氏
まず初めに藤井氏は、「HD DVDや半導体のことならいくらでも話せるが、テレビについて話してほしいと頼まれて困ってしまった」という挨拶で会場の笑いを誘った。
「家庭用テレビの将来」という本題に入る前に同氏は、テレビを取り巻く現状について語った。最近のテレビ市場は世界的に広がりを見せ、グローバルでの競争が進んでいる。しかしテレビのトレンドは国によって大きく違い、国際化が難しいという。またインターネットに関しては、利用者が急増しており、かなり多くの人が、何か商品を買う際に前もってネットでチェックしているという統計が出ていると説明した。
また、デジタルというキーワードで現状を見てみると、「液晶対PDP」や「HDD対メモリー」など、日本では1対1の対決構造として捉えられがちで、この二極化がまさにデジタルと呼べるのではないかと語った。
そして藤井氏は、「結論から言ってしまえば、市場はコンテンツが主体になっていくと思う。テレビとPC、放送と通信がいかに共存していくかが重要な課題になっていくだろう」と説明した。
現在のテレビは、放送事業者、スポンサー、通信キャリア、メーカー、視聴者など、様々なステークホルダーを満足させる必要が出てきており、「これらのステークホルダーが求めるものが今後のテレビのスペックを決めていくだろう」というのが同氏の意見。さらに、ここ数年でデジタル化、ハイビジョン化といった映像コンテンツ自体の大きな変化や、HDDなどの小型・大容量化によるストレージの変化、AVとPCの融合の急速な進展など、様々な環境の変化が起こっていることを示した。
同氏は、「これらがいかに繋がっていくのかがユーザーの一番の関心ではないだろうか」とし、「テレビ自体の進化、周辺機器に同調した進化が必要だ」と強調。とくにHDMIやDLNAの搭載は2〜3年で必須のものになるだろうと語った。
ストレージに関しては、HDDはより大容量化の方向に進み、小さいデータについてはフラッシュメモリーの利用が増えていくのではないかと話した。
最後に同氏は今後のテレビについて、世界中のどんなものでも体験できる“テレポートマシン”として、また、過去の映像を体験できたり、未来に映像を残したりできる“タイムマシン”として進化していくだろうとまとめた。
■超高画質、高精細を実現する最先端FPD動向
パイオニア(株) 専務執行役 技術開発部長 兼 総合研究所長
山田宰氏
最後に登壇した山田氏は、デジタル放送の普及、高画質PDPを実現するための同社の取り組みなどについて語った。
同社がプラズマテレビを初めに発売したのが1997年で、その3年後の2000年にBSデジタル放送が開始された。同氏は、この時期がデジタル放送&FPDの時代の始まりであると説明。またアナログ放送が終了する2011年は、欧州でもデジタル化が進む時期で、「放送業界の大きな変革の時期になるのでは」と語った。
同社のPDPについては、第1世代モデルからの進化の系譜をパワーポイントで紹介。毎世代で新技術を投入し画質の向上を図ってきたことをアピールした。また、2006年に発売したPDP-5000EXで大きな評価を獲得したことや、先日発表した新モデルPDP-A507HXがさらなる新技術を採用したことを紹介。現在は、昨年のCEATECや年初のCESで公開した、次世代パネル(関連記事)の開発を進めていると説明した。
また同社は、スーパーハイビジョン対応のPDPについても開発を進めており、現時点で画素ピッチ0.36mm×0.36mm、1,150×540画素で18インチというPDPのプロトタイプを完成させている。この画素ピッチの場合、125インチでスーパーハイビジョンを実現できるという。
(Phile-web編集部)