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「AVアンプをホームエンターテインメントの核に」 − デノン新製品発表会詳報

公開日 2007/06/25 18:38
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既報の通り、デノンは、AVアンプ新製品7機種を国内で正式発表した。 本項では、本日東京都内で開催された発表会の模様をお伝えする。

■「新規格へのいち早い対応はデノンの伝統」

冒頭に登壇したのは、D&Mホールディングス デノンブランドカンパニー プレジデントの市川博文氏。市川氏は、「ドルビーTrueHDやDTS-HDなどが登場し、HDオーディオ元年にあたる今年は、ホームエンターテインメントが大きく進化し、ユーザーの楽しみ方がますます多様化する」と指摘。今回の新製品の開発にあたって、「ハードはコンテンツを楽しむツールである、という視点に立ち返った。具体的には、すべてのコンテンツにフル対応することを目指した」と振り返った。

D&Mホールディングス デノンブランドカンパニー プレジデントの市川博文氏

旧ラインナップと新ラインナップの関係

また市川氏は、「AVセンターはホームエンターテインメントの核。コンテンツの能力を引き出し、容易に再生できる能力が求められる」と強調。コンテンツの能力を引き出すためには、新たな規格に対応する必要があるが、「新たな規格にいち早く対応するのはデノンの伝統」と述べ、早い段階で新規格にフル対応した意義をアピールした。さらに、「これからのホームエンターテイメントでは、PCやiPodなど、成長著しい新たなソース機器への対応が不可欠」とし、これらにも対応したことを説明した。

さらに市川氏は、今回の新製品の開発スローガン「Power of Integration」を紹介。これまで培ってきた経験と熱意で、最新技術をマネージメントすることを目指したという。

新製品の開発スローガン「Power of Integration」

デノン コンシューマー マーケティング 宣伝販促課 課長の米山良介氏

製品の具体的な機能については、デノン コンシューマー マーケティング 宣伝販促課 課長の米山良介氏が説明した。米山氏は今回の新製品のポイントとして「品質」「接続性」「発展性」「操作性」の4点を挙げ、それぞれ具体的に説明した。

■新製品の「品質」向上への取り組み

まず「品質」については、回路/信号経路/電源の3点に注力したという。回路構成では、同社伝統のディスクリートサラウンド回路構成「D.D.S.C(Dynamic Discrete Surround Circuit)」をHDオーディオに対応させ、新たに「DDSC-HD」として採用。デバイスがディスクリート構成であることはもちろん、高品位なDSPやマスタークロックを採用したことがポイントだ。基本的に、この回路構成をエントリークラスの製品まで採用している点も特筆できる。

信号経路については、「ミニマムシグナルパスサーキット」を採用。各回路の基板そのものを最小限にし、信号の引き回しを最小限にしている。また、基盤内のデバイスの配置にも気を配り、音質向上を図っている。

信号経路は極力短くし、音質向上を目指している(図はAVP-A1HDの経路図)

AVP-A1HDのブロックダイアグラム

AVC-3808のビデオブロックダイアグラム

構造面では「ダイレクトメカニカルグランド」構造を採用した点を強調。振動の発生源となるパワートランスをボトムシャーシに固定することで防振対策を徹底。ラジエーターもフットの間近に直付けし、パワートランスなどほかの振動源との干渉を抑えこむなどの手段を講じている。

パワートランスはボトムシャーシに固定。ラジエーターもフットの間近に直付けしている信号経路は極力短くし、音質向上を目指している(写真はAVP-A1HDのもの)

そのほか電源部も、A1HDではメイン/サブ/CPU×2/FLDの、計5つのトランス構成とするなど贅沢な構成を採用。ブロックコンデンサーにも大容量の高音質タイプを搭載している。トランスからの電源供給も、各パートごとに分けた巻き線構造を用い、各パート間に発生する干渉を抑えている。

さらに、上位機の信号処理には、ビット拡張に加えて、独自アルゴリズムにより時間軸上のデータ補間やアップデートサンプリングを施す「Advanced AL 24」を採用し、トップエンドモデルは全チャンネルが装備している。

独自アルゴリズムにより時間軸上のデータ補間やアップデートサンプリングを施す「Advanced AL 24」も採用

■HDMI 1.3a搭載を全モデルで実現した「接続性」

新モデルの接続性について米山氏は、全機種がDeep Color、xvYCC、リップシンクに対応したHDMI Ver.1.3a端子を搭載したことをアピール。AVC-3808以上のモデルは、モニターアウト2系統を持ち、ディスプレイとプロジェクターなど、2系統の映像機器へ出力できる点も強調した。

今回の新モデルでは、AVC-2808以上のモデルがドルビーTrueHD/DTS-HDなど次世代オーディオフォーマットのデコードに対応している。その能力をアピールするため、DTS-HD Master Audioの音声信号ををAVC-3808にビットストリーム入力し、再生するデモも行われた。

デモに使ったAVC-3808の表示部には「DTS-HD MSTR」の文字が光る

■PCに保存した音声を再生できる「発展性」

新モデルの発展性については、PC上の音楽ファイルをLAN経由で再生できる機能を紹介。これはAVC-3808以上のモデルで対応する。

米山氏は「これからこの分野は確実に伸長する」として、実際にPC内の音声をストリーミング再生するデモも行った。なお、新製品ではAACやMP3などロッシー(非可逆圧縮)なファイルの再生だけでなく、新たにWMA LosslessやFLACなどロスレス(可逆圧縮)ファイルの再生にも対応した。さらにWAVファイルの再生も行える。また上位機種では、インターネットラジオの再生機能や、USBメモリー内の音楽ファイル再生なども行える。

PC内の音声を有線/無線でAVアンプに伝送、そのまま再生できる

PCなどとネットワーク接続したマルチゾーンシステムのイメージ図

■GUIを一新した「操作性」

操作性向上については、AVC-3808以上のモデルでGUIを一新した。左にアイコンが並び、アイコンを選択すると可能な操作が一覧で表示される。米山氏は、「これまでのものとは全く違う考え方で作られているが、強烈に使いやすくなっている」とアピールした。

背面端子のレイアウトも一新。これまで、映像入力や音声入力端子がひとかたまりになっていたため、同じソース機器の端子を把握することが難しかったが、新しいレイアウトでは、各ソースごとの映像/音声入力端子が縦に並び、まとめて抜き差しすることが容易になった。

GUIは大きく進化。画面は再生中の楽曲を表示しているところ。画面は英語だが、日本語表示にも対応する

新モデルの背面端子はソースごとに端子が縦に並ぶ

さらに、旧モデルでは「ユーザーモード」と呼んでいた、設定した環境を3つまでプリセットし、ワンタッチで呼び出せる機能も踏襲。新ラインナップでは「クイックセレクト」と名称が改められた。

音場補正用のマイクも一新。縦に長い形状のものに変更されたほか、マイクのプラグを本体に差し込むと、自動的にオートセットアップ機能がスタンバイ状態になるなど、細かな改善が加えられた。

「クイックセレクト」ボタンを本体前面に装備

音場補正用のマイクをつなぐと自動的にオートセットアップがスタンバイ状態になる

ハイファイ製品のイメージを踏襲した新デザイン

新モデルはデザインも改められた。旧モデルは、フロントパネルが垂直に立ち、真ん中に切れ込みがあるデザインだったが、新モデルはDCD-SA1など同社のピュアオーディオ機器と同様、上部になだらかな曲線が加えられ、より柔らかい印象を与えるように変更された。

■「AVアンプはいまが市場活性化の好機」

販売面での取り組みについては、デノン コンシューマー マーケティング 代表取締役社長の横間透氏が説明した。

AVアンプ市場の現状について横間氏は、02年度には67億2,500万円だった国内出荷金額が、06年度には28億1,500万円と、半分以下に落ち込んだと説明。同じく下落傾向にあったパッケージタイプのホームシアターシステムは、薄型テレビの立ち上がりに合わせて、05年度の97億1,900万円が、06年度には116億3,500万円と盛り返したが、AVアンプは低下傾向に歯止めがかかっていない。

デノン コンシューマー マーケティング 代表取締役社長の横間透氏

これまでのAVアンプとシアターパッケージの売り上げ金額の推移

これまでの数年間は順風満帆とは言えなかったAVアンプ市場だが、横間氏は「いまが市場活性化、需要喚起の好機」と語る。その理由として、高品位映像や音声圧縮技術の確立や、パッケージメディアの大容量化、次世代光ディスクプレーヤーの発売、薄型テレビ市場の加速、そして購入機会をうかがう潜在的消費者の存在を挙げる。

これらの好条件に対して、デノンでは、新ラインナップにより最新フォーマットに対応したり、エントリーからセパレートまで幅広いラインナップを揃えるなどの施策を実施。さらに、薄型大画面テレビやプロジェクターなど映像デバイスをてこに、本格ホームシアター機器導入の動機付けを行う。

デノンの今後の取り組み

マーケットサポートの施策

さらに販売店向けには、プログラマブルリモコンなどカスタムが必要な機器を投入することで、販売店とユーザーの密接な関係を構築。また、実際に製品を体感できる施設を、東京と大阪に常設するという。

(Phile-web編集部)

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