「赤から青の時代へ」 − 日立、BDカム投入で“フルHDカメラ革命”を宣言
別項でお伝えしたとおり、(株)日立製作所コンシューマ事業グループは、世界初のBDカメラ「DZ-BDH7」「DZ-BD70」の2機種を8月30日に発売する。本日、東京・丸の内の丸ビルホールで行われた記者発表会の模様をお伝えする。
冒頭、登壇したのは同社デジタルコンシューマ事業部長の由木幾夫氏。同氏は、ちょうど一年前の昨年8月2日に、同じ丸ビルホールでDVD+HDDハイブリッドカム「DZ-HS303」を発表した際、「カメラ革命」という言葉で製品の革新性を訴えたことを振り返った。また、カメラ革命の実績として、「HS303は昨年8月から5ヶ月連続No.1シェアを達成した。ブランドシェアも10%から20%へと倍に拡大した」と高い成果を上げたことを強調した。
由木氏はビデオカメラの需要予測についても言及。「今後はハイビジョンカメラが市場の主流になる」とし、06年に19%だったハイビジョン比率が、07年には約45%と半数近くになり、09年には73%と大半を占めると予測した。この状況をふまえ、由木氏は「赤から青の時代へ ブルーレイカムでフルハイビジョンカメラ革命」を起こすと宣言した。
なお、昨年と今年で、製品の発表日と発表会場が同じなうえ、発売日も昨年のDZ-HS303と同じ8月30日に設定している。単なるゲンかつぎというより、昨年成し遂げた快進撃を、ハイビジョンカメラでも起こしたい、という強い意欲の表れと言えそうだ。
続いて、同社商品企画本部 戦略部の山内浩人氏が製品の詳細を説明。同氏は今回の新製品を“革命シリーズの第2弾”と位置づけ、「『撮る・見る・残す』の、基本性能を重視」した商品企画と、ニーズに対応する先行技術の開発により、「伸びるハイビジョン市場に本命商品を投入する」とした。
同氏は、ビデオカメラの周辺市場について分析。37V型以上の薄型テレビのフルハイビジョン比率について、06年に26%だったものが、08年には73%まで伸び、「フルハイビジョンが当たり前になる」と説明。
ユーザーニーズを調査した結果、ハイビジョンカメラの購入重視点として、「ハイビジョン画質」と「動画画質」を挙げたユーザーが多かったとして、「さらなる高画質化のニーズはある」と分析。さらに、ハイビジョン方式を選んだ理由を聞いたところ、「子供の映像を綺麗に残すため」と「今後主流になるから」がともに半数近くとなったことを説明し、「主流方式で綺麗に残すのが目的」と結論づけた。
また、ハイビジョンカメラの一日の撮影時間について、DVDやHDD、メモリーカードなどメディア別に調査した結果も発表。それによると、すべてのメディアで「1時間程度撮影する」ユーザーが80%以上を占めたという。
さらに山内氏は、現在のハイビジョンビデオカメラの市場動向についても説明。今年4月からの、1ヶ月ごとのメディアの構成比を示し、「月によって構成比が大きく変動している」と語り、「様々なメディアが乱立し、混沌とした状況になっている」とした。山内氏は、DVDやHDD、メモリーカード、テープなど各メディアの長所と短所を挙げ、「本命メディアが不在であることが原因」と述べた。
そして山内氏は、これらのユーザーニーズを満たすのが、今回の新製品であることを強調。「1,920×1,080のフルハイビジョンで画質を高めたほか、BDの採用で1時間の記録も行える」とした。今回の新製品は、撮像から映像処理、記録までの全行程で1,920×1,080のフルハイビジョンを実現しているが、これを成し遂げるため、「全デバイスを新規に開発した」として、レンズやCMOSセンサー、映像処理回路、8cmBD/DVDドライブを紹介。8cmドライブについては、「一番ここが大変だった」として、開発が難航したことを伺わせた。
また、山内氏はデザインについても触れ、「一番最初に考えたのがデザイン。従来のビデオからとは異なる丸みを帯びたデザインとしたほか、ボタンの配置など操作性にも注力し、ファミリーユースにも合致するよう心がけた。また、BDをモチーフにしたアクセントを加えて、未来的なイメージも喚起するよう工夫した」という。
そのほか、画質を高める機能やダビング機能など、製品の特長について解説。これについては、製品紹介のニュースをご覧いただきたい。
テレビCMは、引き続き黒木瞳さんが担当。「最高の愛をたっぷり残す」をテーマにしたCMで、黒木さんはブルーのユニフォームを着たチームの一員に扮している。黒木さんが庭から家の中を見張っていると、中にいた赤ちゃんが立ちそうに。黒木さんが「立つわね」と真剣な顔で言うと、チームは家の中に移動し、未来的なボックスからBDカムを撮り出す。パパとママがそのBDカムを使い、フルハイビジョンで決定的な瞬間を記録する…という内容だ。このCMは発売前後の8月25日から9月9日のあいだに、集中的に放映されるという。
CM以外のプロモーション策では、8月17日から19日に、六本木で先行体験イベントを開催するほか、8月31日から9月1日にかけて、東京・大阪・名古屋・広島・福岡・札幌の5都市でタッチ・アンド・トライが行える一斉フェアも開催するという。さらに、9月9日までに製品を購入すると、バッテリーパック/8cmBD-R×2枚/エビスビール×12本のいずれかがもれなくプレゼントされる「早期購入キャンペーン」も実施する。
以下、記者発表会で行われた主な質疑応答をご紹介する。
Q: 新製品の販売目標は?
A: 年度末までに10万台を見込んでいる。
Q: DVD+HDDハイブリッドカメラの時とは異なり、BDについてはまだ再生機があまり普及していないが、これについてはどう考えているか。
A: 再生機が少ないのは全くその通り。ゲーム機や一部のレコーダーなどしかない。しかし、ハイビジョンカメラへの移行のスピードが急であることから、まずはカメラを出して、ニーズに応えていくことが必要と判断した。プレーヤーはまだ高価だが、いずれ値段が下がれば普及に弾みがつくはず。DVD+HDDハイブリッドの時とは逆に、今回はカメラがBD市場を引っ張っていこうと思う。
Q: iVDRを採用することは検討しなかったのか。
A: 今回は内蔵型で、取り外しはできないが、会社全体として、iVDRワールドの構築を目指しており、将来的には検討していきたいと思っている。
Q: 日立はまだBDプレーヤー/レコーダーを発売していないが、発売予定などはあるのか。
A: 現在の状況だと、世の中に広く普及させられる価格まで下げることができない。今のところ、具体的な開発・販売計画はない。
Q: 海外販売を行うのか。行う場合、国内と海外の販売比率を教えて欲しい。
A: 欧米を中心に海外でも販売する。海外は日本の1/5くらいの販売を見込んでいる。
Q: 日立はAVCHD規格に賛同しているが、AVCHDカメラの発売は考えなかったのか。
A: ある規格を進めるために製品を開発するのではなく、ユーザーにとって何が必要かを考えた。AVCHDの開発計画が無いということではなく、開発ロードマップ上でBDを優先させたと言うこと。AVCHDも頭に入れてやっている。
Q: BD-R/-REの実勢価格と、その根拠を教えて欲しい。
A: BD-Rは2,500円前後、BD-REは3,500円前後と想定している。8cmDVDディスクを発売した当初も同程度の価格だった。
(Phile-web編集部)
冒頭、登壇したのは同社デジタルコンシューマ事業部長の由木幾夫氏。同氏は、ちょうど一年前の昨年8月2日に、同じ丸ビルホールでDVD+HDDハイブリッドカム「DZ-HS303」を発表した際、「カメラ革命」という言葉で製品の革新性を訴えたことを振り返った。また、カメラ革命の実績として、「HS303は昨年8月から5ヶ月連続No.1シェアを達成した。ブランドシェアも10%から20%へと倍に拡大した」と高い成果を上げたことを強調した。
由木氏はビデオカメラの需要予測についても言及。「今後はハイビジョンカメラが市場の主流になる」とし、06年に19%だったハイビジョン比率が、07年には約45%と半数近くになり、09年には73%と大半を占めると予測した。この状況をふまえ、由木氏は「赤から青の時代へ ブルーレイカムでフルハイビジョンカメラ革命」を起こすと宣言した。
なお、昨年と今年で、製品の発表日と発表会場が同じなうえ、発売日も昨年のDZ-HS303と同じ8月30日に設定している。単なるゲンかつぎというより、昨年成し遂げた快進撃を、ハイビジョンカメラでも起こしたい、という強い意欲の表れと言えそうだ。
続いて、同社商品企画本部 戦略部の山内浩人氏が製品の詳細を説明。同氏は今回の新製品を“革命シリーズの第2弾”と位置づけ、「『撮る・見る・残す』の、基本性能を重視」した商品企画と、ニーズに対応する先行技術の開発により、「伸びるハイビジョン市場に本命商品を投入する」とした。
同氏は、ビデオカメラの周辺市場について分析。37V型以上の薄型テレビのフルハイビジョン比率について、06年に26%だったものが、08年には73%まで伸び、「フルハイビジョンが当たり前になる」と説明。
ユーザーニーズを調査した結果、ハイビジョンカメラの購入重視点として、「ハイビジョン画質」と「動画画質」を挙げたユーザーが多かったとして、「さらなる高画質化のニーズはある」と分析。さらに、ハイビジョン方式を選んだ理由を聞いたところ、「子供の映像を綺麗に残すため」と「今後主流になるから」がともに半数近くとなったことを説明し、「主流方式で綺麗に残すのが目的」と結論づけた。
また、ハイビジョンカメラの一日の撮影時間について、DVDやHDD、メモリーカードなどメディア別に調査した結果も発表。それによると、すべてのメディアで「1時間程度撮影する」ユーザーが80%以上を占めたという。
さらに山内氏は、現在のハイビジョンビデオカメラの市場動向についても説明。今年4月からの、1ヶ月ごとのメディアの構成比を示し、「月によって構成比が大きく変動している」と語り、「様々なメディアが乱立し、混沌とした状況になっている」とした。山内氏は、DVDやHDD、メモリーカード、テープなど各メディアの長所と短所を挙げ、「本命メディアが不在であることが原因」と述べた。
そして山内氏は、これらのユーザーニーズを満たすのが、今回の新製品であることを強調。「1,920×1,080のフルハイビジョンで画質を高めたほか、BDの採用で1時間の記録も行える」とした。今回の新製品は、撮像から映像処理、記録までの全行程で1,920×1,080のフルハイビジョンを実現しているが、これを成し遂げるため、「全デバイスを新規に開発した」として、レンズやCMOSセンサー、映像処理回路、8cmBD/DVDドライブを紹介。8cmドライブについては、「一番ここが大変だった」として、開発が難航したことを伺わせた。
また、山内氏はデザインについても触れ、「一番最初に考えたのがデザイン。従来のビデオからとは異なる丸みを帯びたデザインとしたほか、ボタンの配置など操作性にも注力し、ファミリーユースにも合致するよう心がけた。また、BDをモチーフにしたアクセントを加えて、未来的なイメージも喚起するよう工夫した」という。
そのほか、画質を高める機能やダビング機能など、製品の特長について解説。これについては、製品紹介のニュースをご覧いただきたい。
テレビCMは、引き続き黒木瞳さんが担当。「最高の愛をたっぷり残す」をテーマにしたCMで、黒木さんはブルーのユニフォームを着たチームの一員に扮している。黒木さんが庭から家の中を見張っていると、中にいた赤ちゃんが立ちそうに。黒木さんが「立つわね」と真剣な顔で言うと、チームは家の中に移動し、未来的なボックスからBDカムを撮り出す。パパとママがそのBDカムを使い、フルハイビジョンで決定的な瞬間を記録する…という内容だ。このCMは発売前後の8月25日から9月9日のあいだに、集中的に放映されるという。
CM以外のプロモーション策では、8月17日から19日に、六本木で先行体験イベントを開催するほか、8月31日から9月1日にかけて、東京・大阪・名古屋・広島・福岡・札幌の5都市でタッチ・アンド・トライが行える一斉フェアも開催するという。さらに、9月9日までに製品を購入すると、バッテリーパック/8cmBD-R×2枚/エビスビール×12本のいずれかがもれなくプレゼントされる「早期購入キャンペーン」も実施する。
以下、記者発表会で行われた主な質疑応答をご紹介する。
Q: 新製品の販売目標は?
A: 年度末までに10万台を見込んでいる。
Q: DVD+HDDハイブリッドカメラの時とは異なり、BDについてはまだ再生機があまり普及していないが、これについてはどう考えているか。
A: 再生機が少ないのは全くその通り。ゲーム機や一部のレコーダーなどしかない。しかし、ハイビジョンカメラへの移行のスピードが急であることから、まずはカメラを出して、ニーズに応えていくことが必要と判断した。プレーヤーはまだ高価だが、いずれ値段が下がれば普及に弾みがつくはず。DVD+HDDハイブリッドの時とは逆に、今回はカメラがBD市場を引っ張っていこうと思う。
Q: iVDRを採用することは検討しなかったのか。
A: 今回は内蔵型で、取り外しはできないが、会社全体として、iVDRワールドの構築を目指しており、将来的には検討していきたいと思っている。
Q: 日立はまだBDプレーヤー/レコーダーを発売していないが、発売予定などはあるのか。
A: 現在の状況だと、世の中に広く普及させられる価格まで下げることができない。今のところ、具体的な開発・販売計画はない。
Q: 海外販売を行うのか。行う場合、国内と海外の販売比率を教えて欲しい。
A: 欧米を中心に海外でも販売する。海外は日本の1/5くらいの販売を見込んでいる。
Q: 日立はAVCHD規格に賛同しているが、AVCHDカメラの発売は考えなかったのか。
A: ある規格を進めるために製品を開発するのではなく、ユーザーにとって何が必要かを考えた。AVCHDの開発計画が無いということではなく、開発ロードマップ上でBDを優先させたと言うこと。AVCHDも頭に入れてやっている。
Q: BD-R/-REの実勢価格と、その根拠を教えて欲しい。
A: BD-Rは2,500円前後、BD-REは3,500円前後と想定している。8cmDVDディスクを発売した当初も同程度の価格だった。
(Phile-web編集部)