「BD-R LTH TYPE」の使い勝手をケースイがチェック! − BDレコーダーでの記録・再生互換を確認
HD DVDが突然終息したことにより、Blu-ray Disc(以下BD)がDVDに変わる次世代のハイビジョン映像記録メディアの座を勝ち取った。対応するレコーダーは徐々にバリエーションが増えており、すでに10万円台前半で手に入る製品も登場している。ハイビジョン記録に悩まされる我々にとって、BDは今後いっそう身近な存在になるだろう。
一方で、BD普及にとって今後カギを握りそうなのがメディアの価格動向だ。2008年3月現在、追記用のBD-R単層25GBの価格は、大手量販店で1枚1,200円から1,600円が相場。これを5枚、10枚のパックで買うと1枚当りの単価は下がるが、それでも1枚あたり900円台の価格がやっとだ。ちなみにBD-Rの1GBあたりの価格を算出すると約40円になり、価格が底打ちしている50枚パックのDVD-Rでの1GBあたり10.6円と比較すると、まだその間にはかなり開きがある。
そこで登場したのが「BD-R LTH(Low to High) TYPE」のBD-Rだ。このBD-R LTH TYPEメディアの内容については、Phile-webの記事等で紹介されているので詳細は割愛するが、いまだ高価なBD-Rメディアの記録層に、DVD-RやCD-Rで用いられてきた有機色素系の素材を使うことで、優れた記録品質とコストパフォーマンスを同時に実現しようとするものだ。
今月に入って有機タイプのBD-Rメディアがいくつかのメーカーから発表された。今回はその中からTHAT'Sブランドの「BR-V25WTY」を使って、書き込みテストを行った。BDレコーダーには、ソニーの「BDZ-X90」、パナソニックの「DMR-BW800」を使用した。
今回、手元にテスト用のメディアが1枚しかないので、すでにバージョンアップが終了しているBDZ-X90を使ってテストを行った。テストはBDZ-X90のHDDに録画した「ワールド・トレード・センター(DRモード/2時間11分/WOWOW)」を有機BD-Rに移動してテストを行った。操作感などは通常のBD-Rと同じで、表示等に違いはなかった。記録時間は約40分だった。
次はパナソニックのDMR-BW800でテストを行った。当初借りたばかりのテスト機はファームウェアが有機BD-Rに対応していなかったので、ディスクが認識されなかった。そこでこの機会にパナソニックのサイト上からファームウェアのソフトをダウンロードしてアップデートを行ってみた。バージョンアップ作業にはCD-Rへ記録できるパソコンが必要になるなど、一手間かかるのだが、バージョンアップさえ終われば、あとは従来のBD-Rメディアと同じように有機BD-Rを使えるようになる。テストではBDZ-X90で記録した「ワールド・トレード・センター」を再生し、さらに残った容量に対して、DMR-BW800のHDDに記録した映像をダビング(ムーブ)してみたが、どちらも問題なく操作できた。
最後に今回テストを行ったBD-R LTH TYPEディスクを使い、SCEのゲーム機「PLAYSTATION3」での再生実験を行った。しかし、残念ながら現バージョンでは有機BD-Rに対応しておらず、再生はできなかった。これについてSCE広報に問い合せたところ「今後の対応については未定」とのことだった。PS3はソフトウエアプレーヤーを搭載しているので、レコーダーのようにソフトウエアのバージョンアップで有機BD-Rに対応する可能性は高いだろう。筆者の予想だが、もしPLAYSTATION 3がハードを理由に有機BD-Rに対応できないのなら、この時点で「対応はしない」とコメントを出すところだろう。「未定」と言うからには、脈はあると踏んでいる。
普通なら「有機BD-Rは安くて便利で便利だね!」と記事を締めくくるところだろうが、現時点ではまだそう言い切るには時期尚早かもしれない。秋葉原にある激安メディアショップ「エフ商会」の元祐泰一郎氏のコメントによれば、「発売最初の週は、注文したすべての数が揃いませんでした。入荷量が少ないので、あるメーカーの製品の入荷分は当日で完売しました。有機タイプのBD-Rが、従来の無機タイプのBD-Rメディアよりも価格が下がるのには、もう少し時間がかかるかもしれません」と予測している。とはいえ、有機BD-Rはまだ生産がスタートしたばかりである。現在はまだどのブランドからも最大5枚のパッケージしか発売されていないが、今後10枚パック、あるいは25枚スピンドルパックなどが登場すれば、価格もいま以上に手頃になり、ハイビジョン録画がより身近に楽しめるようになるだろう。
(レポート:鈴木桂水)
筆者プロフィール
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
>>鈴木桂水氏のブログはこちら
一方で、BD普及にとって今後カギを握りそうなのがメディアの価格動向だ。2008年3月現在、追記用のBD-R単層25GBの価格は、大手量販店で1枚1,200円から1,600円が相場。これを5枚、10枚のパックで買うと1枚当りの単価は下がるが、それでも1枚あたり900円台の価格がやっとだ。ちなみにBD-Rの1GBあたりの価格を算出すると約40円になり、価格が底打ちしている50枚パックのDVD-Rでの1GBあたり10.6円と比較すると、まだその間にはかなり開きがある。
そこで登場したのが「BD-R LTH(Low to High) TYPE」のBD-Rだ。このBD-R LTH TYPEメディアの内容については、Phile-webの記事等で紹介されているので詳細は割愛するが、いまだ高価なBD-Rメディアの記録層に、DVD-RやCD-Rで用いられてきた有機色素系の素材を使うことで、優れた記録品質とコストパフォーマンスを同時に実現しようとするものだ。
今月に入って有機タイプのBD-Rメディアがいくつかのメーカーから発表された。今回はその中からTHAT'Sブランドの「BR-V25WTY」を使って、書き込みテストを行った。BDレコーダーには、ソニーの「BDZ-X90」、パナソニックの「DMR-BW800」を使用した。
今回、手元にテスト用のメディアが1枚しかないので、すでにバージョンアップが終了しているBDZ-X90を使ってテストを行った。テストはBDZ-X90のHDDに録画した「ワールド・トレード・センター(DRモード/2時間11分/WOWOW)」を有機BD-Rに移動してテストを行った。操作感などは通常のBD-Rと同じで、表示等に違いはなかった。記録時間は約40分だった。
次はパナソニックのDMR-BW800でテストを行った。当初借りたばかりのテスト機はファームウェアが有機BD-Rに対応していなかったので、ディスクが認識されなかった。そこでこの機会にパナソニックのサイト上からファームウェアのソフトをダウンロードしてアップデートを行ってみた。バージョンアップ作業にはCD-Rへ記録できるパソコンが必要になるなど、一手間かかるのだが、バージョンアップさえ終われば、あとは従来のBD-Rメディアと同じように有機BD-Rを使えるようになる。テストではBDZ-X90で記録した「ワールド・トレード・センター」を再生し、さらに残った容量に対して、DMR-BW800のHDDに記録した映像をダビング(ムーブ)してみたが、どちらも問題なく操作できた。
最後に今回テストを行ったBD-R LTH TYPEディスクを使い、SCEのゲーム機「PLAYSTATION3」での再生実験を行った。しかし、残念ながら現バージョンでは有機BD-Rに対応しておらず、再生はできなかった。これについてSCE広報に問い合せたところ「今後の対応については未定」とのことだった。PS3はソフトウエアプレーヤーを搭載しているので、レコーダーのようにソフトウエアのバージョンアップで有機BD-Rに対応する可能性は高いだろう。筆者の予想だが、もしPLAYSTATION 3がハードを理由に有機BD-Rに対応できないのなら、この時点で「対応はしない」とコメントを出すところだろう。「未定」と言うからには、脈はあると踏んでいる。
普通なら「有機BD-Rは安くて便利で便利だね!」と記事を締めくくるところだろうが、現時点ではまだそう言い切るには時期尚早かもしれない。秋葉原にある激安メディアショップ「エフ商会」の元祐泰一郎氏のコメントによれば、「発売最初の週は、注文したすべての数が揃いませんでした。入荷量が少ないので、あるメーカーの製品の入荷分は当日で完売しました。有機タイプのBD-Rが、従来の無機タイプのBD-Rメディアよりも価格が下がるのには、もう少し時間がかかるかもしれません」と予測している。とはいえ、有機BD-Rはまだ生産がスタートしたばかりである。現在はまだどのブランドからも最大5枚のパッケージしか発売されていないが、今後10枚パック、あるいは25枚スピンドルパックなどが登場すれば、価格もいま以上に手頃になり、ハイビジョン録画がより身近に楽しめるようになるだろう。
(レポート:鈴木桂水)
筆者プロフィール
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。
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