山之内正のCES2009レポート
CES会場にみる「2009年デジタルAVの進化」 − トレンドの背景を読み解く
■薄型テレビの「画質の進化」に成果はあったのか?
エコロジー、使い勝手、3D、どれも重要なテーマであることはわかるが、肝心の画質の視点で見ると、昨年以上の進化を見出すことはできなかったのが残念である。すぐにでも欲しいと思わせる高画質映像を見せていたのはソニーの21型、27型の有機ELテレビぐらいだが、27型については様々なイベントで見てきたプロトタイプとほぼ同じもので、今回のCESで初めて登場したわけではない。
東芝が満を持して展示したCell TVは、可能性の大きさという点では、今回のCESで各社が展示したディスプレイのハイライトといっていいだろう。特に4k-2kパネル(56型)を用いたCell TVで表示していた1080p信号からのアップコンバート映像は、精細感の高さとテクスチャの豊かさに明らかなメリットが感じられ、フルHDを超える感動を呼び起こすポテンシャルが感じられた。
Cell TVのデモンストレーションで残念だった点は、動きのゆっくりした準静止画的なソースしか見られなかったことである。フルHD解像度で映画を含む様々な高画質ソースを見てみたいものだが、その希望はかなわなかった。東芝の場合、BDでのデモンストレーションが一切ないというのは現在のAVシーンではあり得ないことだ。せっかくのフラグシップディスプレイの実力をCESの会場で確認できないのは残念というしかない。
昨年のCESで最高画質を見せていたパイオニアのブースは既存ラインナップの展示が中心で、プラズマの盟主となったパナソニックは3Dが主役。肝心のNeo PDPの画質をもっとじっくり見たかった。