会田肇のCES2009レポート
ワンセグよりも高音質!北米で始まるモバイル用デジタルTV放送に注目!
日本にはモバイル向けに用意された地上デジタル放送として、ワンセグがある。しかし、地上デジタル放送の全帯域を13セグメントに分け、そのうちの1セグメントをモバイルに用意して対応したワンセグは、もともとは対象を携帯電話などの小さい画面での視聴を想定していたために映像クオリティは決して高いとは言えない。
一方でアメリカでは、より高画質で見られるモバイル用デジタル放送として、『ATSC M/H』方式による放送がこの秋にも開始する方向で動き出しているという。先日の8日にはオバマ新政権が、2月17日に予定していた地デジ放送への全面切り替えを延期する要請書を提出したというニュースが流れたが、この『ATSC M/H』はそれとはまったく別の流れで動いているという。その方式はどんなものなのか、JVC・ケンウッド・ホールディングスの新事業開発センター第三部部長の鈴木章一氏に話を伺った。
これまでにもアメリカでは自動車や携帯電話向けモバイルTV放送用としていくつかの方式が検討されてきた。その中には日本のワンセグが採用する「ISDB-T」方式、ヨーロッパやアジア各国が採用する「DVB-T」方式などがあり、現在、準備が進められている「ATSC M/H」は米国の家電メーカーであるゼニス社が提案していたものをベースに開発されたもの。現在は買収によって韓国LGがこの権利を取得しているが、「ATSC M/H」は現放送システムをそのまま流用できるということで、放送局側の圧倒的支持を獲得。さらに最初は別方式を提案していたGM系のデルファイ、フォード系のビステオンがこの方式に賛同したことで、「ATSC M/H」の優位性は確実になったという。日本メーカーでは、ケンウッドがこの方式を早くから手掛けており、韓国サムソンも早い段階での方針転換を図ったようである。そのため、手続きさえ順調に進めばこの9月にも放送がスタートできそうというところまできているのだという。
「ATSC M/H」の特徴としてはモバイル放送としてはかなり画質が良いと言うことだ。帯域幅として6MHz程度もあり、チャンネル数は各局ごとに映像が6ch、音声が2ch、データ放送用として1chの計9chが利用できる。しかも30フレーム/秒で視聴できるため、日本のワンセグのようなカクカクとした動きもない。また、ビットレートもモバイル放送全体で4Mbpsを使い、安定受信のためのトレーニング信号を乗せても1.5Mbpsは確保できる。416kbpsしかないワンセグと比べれば、はるかに画質は良いことになる。
特にモバイルとして重要な高速走行時の安定性でも理論上は300km/h付近まで可能のようで、この点でも200km/hを限度としているワンセグを上回る。鈴木氏によれば「自社実験ではかなりの高速域でも問題なく受信できたことを確認している」という。また、放送は現在のところ有料化の方式が決まっていないことから無料で提供されるのは確実。地上デジタル放送の動きが気になるが、デジタル放送は車載用にとってはメリットは大きく、この放送に対する期待の声はかなり大きいという。
一方でアメリカでは、より高画質で見られるモバイル用デジタル放送として、『ATSC M/H』方式による放送がこの秋にも開始する方向で動き出しているという。先日の8日にはオバマ新政権が、2月17日に予定していた地デジ放送への全面切り替えを延期する要請書を提出したというニュースが流れたが、この『ATSC M/H』はそれとはまったく別の流れで動いているという。その方式はどんなものなのか、JVC・ケンウッド・ホールディングスの新事業開発センター第三部部長の鈴木章一氏に話を伺った。
これまでにもアメリカでは自動車や携帯電話向けモバイルTV放送用としていくつかの方式が検討されてきた。その中には日本のワンセグが採用する「ISDB-T」方式、ヨーロッパやアジア各国が採用する「DVB-T」方式などがあり、現在、準備が進められている「ATSC M/H」は米国の家電メーカーであるゼニス社が提案していたものをベースに開発されたもの。現在は買収によって韓国LGがこの権利を取得しているが、「ATSC M/H」は現放送システムをそのまま流用できるということで、放送局側の圧倒的支持を獲得。さらに最初は別方式を提案していたGM系のデルファイ、フォード系のビステオンがこの方式に賛同したことで、「ATSC M/H」の優位性は確実になったという。日本メーカーでは、ケンウッドがこの方式を早くから手掛けており、韓国サムソンも早い段階での方針転換を図ったようである。そのため、手続きさえ順調に進めばこの9月にも放送がスタートできそうというところまできているのだという。
「ATSC M/H」の特徴としてはモバイル放送としてはかなり画質が良いと言うことだ。帯域幅として6MHz程度もあり、チャンネル数は各局ごとに映像が6ch、音声が2ch、データ放送用として1chの計9chが利用できる。しかも30フレーム/秒で視聴できるため、日本のワンセグのようなカクカクとした動きもない。また、ビットレートもモバイル放送全体で4Mbpsを使い、安定受信のためのトレーニング信号を乗せても1.5Mbpsは確保できる。416kbpsしかないワンセグと比べれば、はるかに画質は良いことになる。
特にモバイルとして重要な高速走行時の安定性でも理論上は300km/h付近まで可能のようで、この点でも200km/hを限度としているワンセグを上回る。鈴木氏によれば「自社実験ではかなりの高速域でも問題なく受信できたことを確認している」という。また、放送は現在のところ有料化の方式が決まっていないことから無料で提供されるのは確実。地上デジタル放送の動きが気になるが、デジタル放送は車載用にとってはメリットは大きく、この放送に対する期待の声はかなり大きいという。