全てのブラウザ搭載テレビで利用可能
ヤフー、テレビ向けポータルサイト「テレビ版Yahoo!JAPAN」を立ち上げ
続いて「テレビ版Yahoo!JAPAN」のデモンストレーションを住友氏が行った。今回のテレビ版サービスは、「テレビで本格的なインターネットが楽しめるサービス」がコンセプトだったという。「テレビでもインターネットが見やすいよう、画像や文字のサイズを最適化している。またテレビのリモコンでスムーズに操作できるよう、シンプルな画面レイアウトも心がけた。画面表示の素速いレスポンスを実現するため、画像のサイズを抑えたり、色遣いや形状にもこだわっている」と説明した。
「テレビ版Yahoo!JAPAN」の検索ページでは、テレビの視聴中に気になったキーワードをリモコンなどから入力してPC版同様のイメージでWeb検索ができる。住友氏は「昨今増えてきた、コンテンツの続きをWebへ誘導し、ユーザーに見せるテレビCMなどがよりスムーズに楽しめるようになるのでは」と語る。また2画面表示対応のテレビでも、テレビ番組とインターネットが同時に楽しめ、ブラウザの文字も見やすいよう、文字サイズなどにも工夫が凝らされているという。
以下に本日の記者説明会で執り行われた質疑応答の模様を掲載する。
A:(坂東氏)動画配信のデモは昨年のCEATEC JAPAN 2008でもご紹介したが、本格的なサービスの構築についてはまだ検討中であり、今のところ具体的なコメントはできない。
Q:テレビ版サービスの利用者目標はどの程度を見込んでいるか。
A:(坂東氏)今現在のインターネット対応TVの普及状況と、今後の出荷予測を当社独自に調査してみた。昨年テレビメーカー大手5社が発売したネット対応テレビの累積出荷台数と今年の予測を足して、だいたい来年までに1,600万台のポテンシャルがあるとみている。その中で、インターネットにつなぐであろうユーザー人口はおよそ20%、述べ300万人くらいの利用者数を想定している。それくらいの規模でユーザーの方々にサービスを使って欲しいと考えている。
A:(井上氏)そんな回答じゃつまらない(笑)。確かに出だしの頃は、インターネットをTVで楽しむ習慣がユーザーに身についていないであろうから、助走期間がかかるとみている。でも一方で地デジの普及拡大がインターネット対応テレビの拡大も牽引すると見込んでいる。今後アナログ放送の終了までに約1億台くらいのデジタル放送対応テレビの出荷が見込まれていると言われているが、そのユーザーから半分くらいの人々に使ってもらえるよう「テレビ版Yahoo!JAPAN」のサービスを拡充して、啓蒙活動も強化していきたい。よって、約5千万の利用者を狙う勢いで頑張っていきたいと思う。
Q:「テレビ版Yahoo!JAPAN」が独立してヤフー全体の収益に貢献できる時期はいつ頃を見込んでいるか。
A:(井上氏)サービスの収益源は当面広告収入によるものになると思うが、広告サービスは視聴者がいないと成り立たないもの。最初の数年は投資の時期と考え、どんどん魅力的なコンテンツを投入していきたい。そうすれば自然と広告媒体としての価値も高まってくるはず。目先は大きな収益は期待していない。まずは利用者を増やしていくことに注力する。
Q:アメリカでヤフーとインテルが共同開発した「Widget Channel」と、今回のサービスとの違いはどんなところか。
A:(井上氏)アメリカのサービスはハードウェアを含めた技術開発をベースにしているもの。私たちが日本で展開する「テレビ版Yahoo!JAPAN」は、インターネット対応のテレビをベースに、その上にどんなサービスを構築できるかを考えながら実現したサービスだ。アメリカのサービスについても研究しているが、これは私たちにとって、もうワンステップ先のものであると理解している。
A:(坂東氏)テレビでインターネットを楽しむ視聴スタイルにはいくつの方法がある。アメリカのサービスはウィジェットのモデルであり、テレビ番組の視聴中に画面の一部に表示されるアプリケーション。一方で「テレビ版Yahoo!JAPAN」は、常時全画面表示で楽しむかたちになる。それぞれにメリットがあり、また今後も様々なモデルのサービスが登場してくるだろうと思っている。
Q:今後PC版にあるような会員登録制、課金制のサービスも考えられるのか。
A:(井上氏)ニーズをみながら順番にやっていきたい。ショッピングやオークションなど、Eコマース系のサービスは家族で選んで買うなどの楽しみ方も想定される。前向きに検討したい。
Q:「Yahoo!あんしんねっと」のAPI公開を検討しているとのことだが、どこか特定のメーカーでの利用を想定しているのか。
A:(井上氏)これについてはまだテレビメーカーとも協議を行っている段階で、具体的なことは想定していない。ただ、テレビにも視聴年齢制限機能を搭載してるものもあり、インターネット機能を取り込んでいくならばフィルタリング機能は欲しいというリクエストも受けている。ヤフーとしては「Yahoo!あんしんねっと」を押し付けるのでなく、テレビの機能と連動したベストなサービスを一緒に実現したいと考えている。そのために私たちがAPIを提供してカスタマイズしてもらうのがベストであるならばぜひ考えていきたい。
Q:ヤフーでは既にシャープやソニーとテレビ向けのインターネットサービスをスタートしているが、「テレビ版Yahoo!JAPAN」との棲み分けはどのように考えているか。
A:(井上氏)現時点ではまだテレビのインターネットサービスは標準化されていない段階と考えている。今後、テレビとインターネットの融合を進めていくにあたって、「標準化」を実現することは大事なひとつのキーワード。もう一つ大事なことは「差別化」を実現し、より良いサービスを追求していくこと。ヤフーとしては、今の段階で全てを「標準化」に振ってしまうのは時期尚早と考えている。今回の「テレビ版Yahoo!JAPAN」は、どのメーカーのテレビでも使える「標準化」のベクトルを指向したサービス。一方でシャープやソニーと実現しているサービスは「差別化」のメリットを活かすためのもの。両方をひきつづき展開して行き、テレビとインターネットの融合を拡大・普及していくことが大事だろう。